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うちの友達ならみんな大好き(?)
今回は黒白です!いえいいえい✌
黒(女)(高3)、白(男)(高2)
この連載すぐ終わります!
「ねぇ!こっち振り向いて見てよ!!」
【第1話】放課後の告白襲撃
「……よし、行こ」
チャイムが鳴った瞬間、私は教科書を机にぶん投げて、椅子を勢いよく引いた。
「ちょ、悠? どこ行くん?」
同じクラスの友達がキョトンとした顔でこっち見てるけど、気にしてる場合ちゃう。
「決まっとるやん。今日こそ振り向かせたるねん!」
「またかいな……」
呆れた声が背中に飛んできたけど、聞こえへんフリ。
ターゲットは2年5組、窓際の男、初兎(しょう)。
……ちなみに、私の後輩であり、そして好きな人や。
まあ、片思い歴は軽く半年超えとるけどな!!
でも、今日で終わりや。
今日こそ、初兎に「振り向かせてみせる!!」
そんな強火な決意を胸に、私は2年教室の扉を勢いよく開けた。
「初兎!! おるん知っとんねん!!」
一瞬、教室内の空気がピタッと止まった。
みんなが「また来たで……」みたいな空気になっとるけど、気にしない。
初兎は、相変わらず窓際の席で頬杖ついて、外の空眺めとった。
なんちゅう美しい横顔や。
白と紫がかった髪、色白、睫毛長い、目元キリッ。
しかも関西弁で口悪い系男子。そら好きになるわ。
「……また来たんか、悠姉」
ちょっとだけ眉を寄せて、こっちを振り向く初兎。
その目が合った瞬間、ズギュゥゥン!!って感じの音が心臓の中で響いた。
「好き……やっぱ好き……」
思わず呟いてもうたわ。
「なにブツブツ言うとんねん。もう授業終わったんやし、帰らせぇや」
「帰らんでええから座って!」
「なんで命令されなあかんねん」
「うちは今日、絶対あんたに想い伝えるって決めとんねん!!」
「はぁ……また始まった……」
初兎が呆れた顔して頭をかく。
その横で、クラスメイトたちが「はいはいまたや」「今日何回目やろ」ってヒソヒソしとる。
でも私はそんな雑音を蹴飛ばして、大きく深呼吸した。
そして、思い切り声を張り上げる。
「ねぇ! こっち振り向いて見てよ!!!」
教室に響き渡る声。
初兎は眉をピクリと動かして、ゆっくり私を見る。
その無表情な顔が、少しだけ困ったように歪む。
「……見とるがな。今もガッツリ目ぇ合うてるで」
「そんなんちゃうねん。心で見て欲しいんや!!」
「心!? なんやその宗教みたいなセリフ……」
「うちは、初兎に本気で惚れてんねん!! 半年も前からずっとや!!」
「知らんがな!!!」
初兎が教室の机を挟んで立ち上がった。
その顔は真っ赤やけど、怒ってるのか照れてるのか、ようわからん。
でも、私はもう止まらへん。
「うちは本気や!! 初兎のことが好きで好きで、夢にも出てくるくらいや!!」
「うわあ……ホンマやばいな」
「せやから! こっち見て! ちゃんと! ガチで!」
「何回言うねん!!」
「一生言う!! あんたが振り向くまで言い続けたる!!」
もはや教室は大爆笑や。
「悠先輩今日もやばいわ」「あれ、もはや公開プロポーズちゃう?」
周りがなんぼ笑ってようと関係あらへん。
こちとら真剣勝負や。
「初兎! 好きやって言うたやろ!? なんか返事せぇ!」
「そんなん、困るっちゅうねん……」
「なんで困んねん!」
「うちは恋愛とか、興味ないねん……めんどくさいし」
……それ、前にも言われた言葉や。
でも、そのときはもっと冷たかった気がする。
今日の「困る」は、ちょっとトゲが少ない。
チャンス……なんかな?
「めんどいとか言いながら、うちの話ちゃんと聞いとるやん」
「そら、あんだけデカい声出されて聞かん方が難しいわ」
「つまり、意識してるってことやな?」
「ちゃうわ!!」
「初兎、今ちょっとだけ照れてたやろ?」
「照れてへん!!」
「ほら顔赤い」
「もともとや!!!」
このやりとり、もう100回目くらいかもしれん。
でも、そのたびに、初兎のリアクションがちょっとずつ変わっとる気がして、
私はそれが嬉しい。
「なあ初兎」
「……なんや」
「今日も好きやで」
「……」
初兎は黙ったまま、教室の机を手でトン、と軽く叩いた。
「……もーええわ。うちは帰る」
そのまま鞄を肩にかけて、さっさと出ていこうとする。
「待てコラァ!!」
私はすかさず初兎の腕をつかんだ。
「な、なにすんねん……!」
「うちはまだ話したいことあんねん!」
「うちにはない!! 帰るんや!!」
「せやから帰らせへん言うとるやろ!」
「怖いわ!! ストーカーやんけ!」
「恋する乙女に対して失礼やぞ!!」
もはや教室は爆笑の渦。
でも私は真剣。
初兎に、ほんまに向き合ってほしいだけや。
……たった一回でええ。
好きやって言ったときに、「ありがとう」とか「そっか」とか、なんでもええから、
こっちをちゃんと見て、受け止めてほしいだけや。
「なあ初兎」
「……なんやねん、もう」
「うち、あんたが好きなん、ほんまのほんまやで」
初兎は俯いてた顔を、ほんの少しだけ上げた。
「知っとるわ。……嫌でも」
「せやけど、うちは諦めへん。
あんたが“うちのこと、ちょっと好きかもしれん”って言う日まで、絶対にやめへん」
初兎は一瞬目を丸くして、それからポツリと呟いた。
「……やばい奴やな、ほんま」
「褒め言葉やと思っとくわ!」
「ちゃうわ!!!」
教室中が笑って、私も笑った。
でも、
笑いの奥に――ちゃんと、心臓の音がした。
それは、きっと初兎のも。
……やといいな。
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