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「・・・レッドさん、釣り上げたどー」
「おう、まずは降ろせ」
と、レッドは塔屋の上から釣竿で釣られたまま、そうギョクにツッコミを入れた。
✵✵✵✵✵
どういう状態なのか説明すると、レッドはまたいつものようにサボりで屋上へやって来た。屋上へ続く扉をくぐった途端、上にグイッと釣られ、現在の状態に至る。
「ったく、なんで俺のサボり場にお前がいんだよ」
と、レッドはフードに刺さった竿の針を取る。それにギョクはこたえた。
ギョク達は帰るまでの間、すまない先生の授業を受けたいと言うことで、授業に数人決め、参加していた。
「・・・私も、ここはいいサボり場だと思ったので」
そう答えると、レッドはふはっと笑うような声をこぼした。
「まじか、お前、かなり真面目そうなのにサボりとかすんだな」
「・・・リンよりかはマシだと思う」
そうギョクは答える。
「・・・リンなんか、よく迷子になりすぎて都市伝説のシード値に行ってるなんてざらにあるし」
「それ、ざらにあったらダメじゃね???てか、それはサボりか???ただの迷子だろ」
思わずレッドはツッコミを入れた。
そして、しばらく2人はぼんやりと空を見上げていた。
空は清々しく、鳥のさえずりも聞こえる。
平和と言っても過言ではないくらい。
ふと、ギョクがレッドに聞いた。
「・・・レッドさんは、ブルーさんのこと好きですか?」
「はぁあ!?!?」
その平和は途端に崩れ去ったが(笑)。その平和を崩した張本人であるギョクはじっとレッドを見ていた。
「・・・あー・・・まぁ、言うこと聞いてくれるし?あいつは泣き虫で臆病だし・・・」
「あっ、そういうのいいんで。」
「・・・・・・」
レッドは、はぁと深いため息を付き、答える。
「そりゃ、好きだよ。家族だし。俺の自慢の弟。あっ、これ弟に言うなよ!!絶対言うなよ!!」
「はい」
そうレッドの言葉に、ギョクは頷く。そして、ふと、ギョクは膝を抱え、ポツリと話す。
「・・・私は、兄のことは好きです。・・・でも、時々、“怖い”時があるんです」
その言葉に、レッドは首を傾げた。
「・・・いつからって言われたら、いつからか分からないんですけど、ふとした時、兄の瞳が違う遠いどこかを見ている時があって。私や仲間達がいるのに、それをまるで認識していないような・・・そんな風に感じることが多々あるんです。・・・何なんでしょう、これ」
そうギョクは呟くように口を開いた。それに対し、レッドの答えは。
「知らねーよ」
「・・・」
と、レッドはそう吐き捨てるように零し、ゴロンと屋上の床に転がる。
「・・・それを兄に言ったことあるのか?」
そうレッドが聞くと、彼女はふるふると首を振る。
「・・・兄ってのは、意外と弟や妹の異変に気づきやすいんじゃねぇか?・・・兄を信じてるなら、兄が話してくれるまで待ってみるのはどうだ?・・・ま、お前がそれを待てるのならな」 と、背を向けた。すると、ギョクはこたえた。
「・・・そうですね。“やっぱり”貴方に相談して良かったです」
彼女はそう微笑む。ふと、レッドは何やら“違和感”を感じた。
「・・・ん?“やっぱり”?俺、お前とそんなに相談なんかしたか?」
「あ」
「?」
ふと、そう聞くと、ギョクはそう一言零す。レッドは、ギョクの目線の方へと体を向けると、「レッドく〜ん???それに、ギョクちゃ〜ん???」
「・・・ゲッ・・・」
レッドはひくひくと口角が引きつった。
✵✵✵✵✵
「・・・くそぉ・・・話しててつい周りを警戒するの忘れてた・・・」
「〜♪」
と、レッドとギョクは共に反省文を書かされたのだった。