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「あ、ブルー、カネンちゃんと一緒に買い物に行ってきてくれないか?」
「えっ」
ブルーはすまない先生からの頼みに思わず固まった。
ブルーは、女性が少し苦手なのだ。
理由はアマゾネス族の族長。アンティオペさんに、死ぬほど鍛えられたことがあり、まぁ、そのせいで少し女性が苦手なのだ。
ブルーはカネリをじっと見る。
金を一本一本糸にしたかのように美しい黄色の髪。その眩しい黄色の髪を目立たせる為にあるような真っ黒なドレス。そして、ルビーのように燃える赤い瞳。
ブルーは少し体を強ばらせる。すると、マネーはブルーの肩に手を置き、こたえた。
「はぁーッ!!何ビビっているんだぁ!?ブルゥー!!」
「び、ビビってないし!?」
「安心しろ、彼女の腕は俺が認めよう!!」
「マネー、うるさい」
ドガァァァンッ
「ハーッ!!」
相変わらずの騒がしさに、ブルーはただ苦笑した。
✵✵✵✵✵
「・・・とりあえず、これで終わりですね。ブルーさん」
「そ、そうだ、ね」
ブルーは苦笑しつつ、そう答えた。彼女が怖い人では無いことはもう分かる。なんなら買い物の重いものを率先して持ってくれたり、サラッと車道側では無いとこに誘導したりなど、恐らく普通の女子が百%落ちる行動を取っていた。だが。やはり少し女性が苦手だ。
はぁとブルーがため息つくと、
「・・・ブルーさん」
「ひゃい!?」
突然話しかけられ、声が裏返る。すると、カネンは指を指した。指した場所はアイスクリーム屋さんだ。
「・・・確か、ブルーさん、アイス好きでしたよね?買ってきます」
「え、いや、あ、じゃあ、お金くらいは払わせて?」
「大丈夫です。それじゃ」
と、カネンはアイスを買いに行く背をブルーは眺めていた。ふと、疑問が浮かぶ。
(・・・あれ?俺、アイス好きなんて、言ったか?・・・兄貴かすまない先生が教えたのか?)
と、ブルーは首を傾げた。
✵✵✵✵✵
そんな疑問は、バニラアイスを食べて吹っ飛んで行ったブルーであった。
「うっま!!やっぱアイスは最高だな♪」
と、美味しそうに笑顔を綻ばせた。そんなブルーを見ながら、カネンはチョコアイスを口に入れる。ふと、ブルーはアイスを掬うスプーンを止めた。
「・・・?ブルーさん」
「・・・あ、あの、カネン・・・そのッ・・・ごめん!!」
ブルーはバッと頭を下げる。それにカネンは目をぱちくりさせた。
「・・・俺、ちょっと昔特訓してたところで、その、女性が苦手になって・・・で、でも、カネンが嫌いって事じゃなくて・・・ええっと、でも・・・ちょっと、避けるような態度取ってごめん!!」
と、ブルーは頭を下げたまま、そう謝る。すると、
「・・・気にしてませんよ。だから、顔を上げてください。」
そうカネリは伝える。ブルーはゆっくり顔を上げると、ずいっとチョコアイスを顔に近づけた。
「・・・1口入りますか?」
そうカネンは微笑む。それにブルーは少し泣きそうになりながらも、力強く頷いた。
「うん!頂戴!」
✵✵✵✵✵
そして、帰り道。少し慣れたのか、ブルーはカネンと楽しく会話していると、
「あれ?君たち二人だけ?」
「かーわいいー、俺たちとお茶しね?」
と、柄の悪い男が絡んできた。どうやら、ブルーを女の子と勘違いしているようだ。ブルーは少し顔を顰めると、スッとブルーを庇うようにカネンが前に出る。
「ちょっ!!」
「ん〜?なんだ?騎士気取り?可愛いことしちゃって〜」
と、男が手を伸ばす。だが、
グイッ
ガンッ
カネンが男の腕を掴み、そして、綺麗な背負い投げをし、男を地面に叩きつけた。ブルーがぽかんと口を開けていると、
「黙れ、クズ」
そう冷たい目と声でそう睨む。それに怯え、男達は即座に逃げて行った。
「・・・・・・」
ブルーはぽかんと口を開けていた。すると、カネンは先程の恐ろしい表情からコロッといつもの表情へと戻った。
「帰ろっか?」
「・・・あ、ひゃい・・・」
思わずブルーはそう返すしかなかった。