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《 死体が発見されました 》

《 ライバーの皆さんはプールの用具入れに集まってください 》


弦月 「 … 晴くん …、ほんとに死んじゃってたんだ。 」

長尾 「 … あーあ、ハルぅ。死んだんかお前。…… 頑張ったなぁ。お疲れぇ、 」


血の香りが強い、遺体の出血が多い。

俺が血に唸ってる頃、2人は甲斐田の横に屈んで言葉をかけていた。

あの2人からしたら、甲斐田は長年の付き合いで同期だ。

そして、戦場も共にしてきた同期だ。

それなりの覚悟はしていたのだろう、2人が泣くことは無かった。

そして気づいた頃には、皆が集まっていた。


剣持 「 え、は …? 」

伏見 「 … うわ、 」

不破 「 … マジかぁ、」


《 一定時間の経過後、裁判を行います。 》

《 捜索して、生き残るための証拠を集めてください。事件ファイルの確認は各自どうぞ。 》


そのアナウンスが鳴ると、皆それぞれ動き始めた。

素直に証拠を集め始める者も、泣き崩れる者も、気分悪げにどこか行く者も。

俺はただ、遺体を見つめて口元を手で覆っていた。


不破 「 …… ズハ! 大丈夫? キツそうやなぁ、俺が捜索しとくから部屋戻る? 」

叶 「 うーん … 血が多いもんねぇ、ちーさんの時より。僕が送っとくよ。 」

不破 「 おけーい、証拠集め終えたら部屋行きますねぇ 」


ふわっちと叶のそんな会話が聞こえた。俺は返事をする余力も無かった。

叶は俺の背中を押して、部屋の方向へ押し進めて行く。

プールを抜けて、更衣室も抜けた後、俺はようやく息ができた気がした。


葛葉 「 マッ … ジで ヤバかった今、 」

叶 「 うん知ってる、だってほら、翼出てるし 瞳孔は開いてるし爪は伸びてるし 」

葛葉 「 oh …… 」


彼に言われてそれに気付いた。

言われてみれば牙も出てきてるし、吸血鬼丸出しだ。

心配されるのも納得というか、なんというか … 。皆の視線が痛かったのもそういうことだろう。

それらをしまい、ふぅと溜息を吐いた。


叶 「 いやー、今回は捜索無理そうね 葛葉、 」

葛葉 「 少なくとも遺体は無理だろうな … 、アリバイ訊き行く? 」

叶 「 今 人 ほぼ プール 」

葛葉 「 この世の終わり? 」


目を見張ってそう言うと、叶は笑った。


叶 「 とりあえず部屋戻っときな、ふわっちが来てくれるだろうしさ。 」

「 ファイルの確認も出来るんだから良いんじゃない? 頑張ってそこから手がかり見つけなよ。 」

葛葉 「 確かに … じゃあ部屋戻るわ。 」

叶 「 ん、お大事に〜 」


叶はそう俺に手を振って、プールの方へ戻って行った。

… 俺、不利だなぁ今考えたら、怪しまれたりしねぇかなぁ。

うーん、と首を捻ったが、考えてばっかじゃ仕方ないので、大人しく部屋へ戻ることにした。


葛葉 「 うっはぁ 疲れた … 」


ベットにダイブしてそう呟く。

血の量えげつなかったけど … なんであんな血が出てたんだろう。


葛葉 「 … あ、ファイル。 」


そう思い出して、電子手帳からそれを確認した。


ー事件ファイルー


被害者:甲斐田晴 死亡確定時刻:22時 30分

遺体の状況:後頭部に殴打跡。両足首の腱が切られている為、切られた後は歩けていない。


____


葛葉 「 腱 … そりゃあんな血も出るわ。 」


ファイルを見て、身震いがした。こんな残酷な殺し方があってたまるかって。

このファイルはどうやら、死体の様子が写ってる写真と、少しだけ情報が載っているみたいだ。

割と優しい … かもしれないけど、情報少なっ。


葛葉 「 死因とか書かねぇんだ 」


それくらい分かるだろってか? 今んとこ失血死か殴殺だけど … 。

そう思いながらスクロールをしていたら、あるものが目に止まった。


____


被害者:勇気ちひろ 死亡時刻:24時 10分 死因:胸から横腹にかけての刺傷

死亡場所:倉庫

遺体の状況:横腹の傷は内臓まで行き届いていて即死。

____


葛葉 「 … あ、 」


勇気ちひろの事件ファイル。遺体の写真もしっかりある。

… ああ、たった数日前の話だ。よくもまぁ思い出させてくれた、忘れたかったんだけど。

… でも、それで異変に気づけた。


葛葉 「 …… ? 死因と死亡場所が書いてある … 。 」


これには書いてある。ちーさんのやつには。

でも甲斐田のには書いてない。

なんで? 書き忘れ?


『 … 書き忘れじゃないから。 』

葛葉 「 うわっ?! 」


さらっとそれだけ言って、ホログラムは消えた。

ビッッックリした、画面に急に表示されたんだけど。

心拍数が落ち着いてから、もう一度首を捻った。

書き間違いじゃないなら____


ピーンポーン


葛葉 「 うお、はいー 」


ふとした瞬間インターホンが鳴って、ガバと立ち上がって扉へ向かう。

このインターホンの主はきっと ……


不破 「 お待たせしましたー 不破湊ですー 」

葛葉 「 お待ちしてましたーw 」


予想通り、不破湊だ。どうやら死体現場の操作は終わったらしい。

彼を部屋へ招き入れて、ベットに座らせた。


不破 「 んじゃ、適当に言いますねぇ 」

葛葉 「 ちゃんと言って 頼むから 」


相変わらずの言葉遣いな彼に笑いながら、俺は話を聴く。

結構長いこと聴いた … と思う、30分くらい?

簡単にまとめると、


死体の状態としては、

・服やら髪やら、全体的にちょっと濡れてる

・後頭部にたんこぶがある

・足首の腱がかっ切られてる、これが大量出血の原因

・抵抗した跡とかが全く無い


死体周辺の状態としては、

・引きずられたような跡は無い

・用具入れまでの道に湿った跡、辿ってみるとプール付近で人が寝転がれる位の広さの湿った場所がある


葛葉 「 … 濡れてんのか、甲斐田 」

不破 「 そうなんすよねぇ … プール入ってたんかなぁ 」

葛葉 「 湿った跡かぁ … 」

不破 「 んー … 謎っすねぇ これは 」

葛葉 「 … お? 」

不破 「 ん? 」

葛葉 「 なんか分かったかもしんn 」


長尾 「 たのもー!!! 」


ふわっちと変わらず会話を交わしていたら、唐突にバァンと音を立てて扉が開いた。

振り返ってみると、そこに居たのは声の通り長尾景。

何かあったのだろうか …… ?





________



証拠

事件ファイル ⤵

被害者:甲斐田晴 死亡確定時刻:22時 30分

遺体の状況:後頭部に殴打跡。両足首の腱が切られている為、切られた後は歩けていない。


被害者:勇気ちひろ 死亡時刻:24時 10分

死因:胸から横腹にかけての刺傷

死亡場所:倉庫 遺体の状況:横腹の傷は内臓まで行き届いていて即死。


遺体周辺 ⤵

・服やら髪やら、全体的にちょっと濡れてる ・後頭部にたんこぶがある

・足首の腱がかっ切られてる、これが大量出血の原因 ・抵抗した跡とかが全く無い

・引きずられたような跡は無い ・用具入れまでの道に湿った跡、辿ってみると

プール付近で人が寝転がれる位の広さの湿った場所がある

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コメント

3

ユーザー

めっちゃ細かいですけど健じゃなくて腱だと思いますッッ 続き楽しみにしてます!!

ユーザー

しっかり書かれてあって 考察がしやすいです! 甲斐田さ〜ん。゚(゚´Д`゚)゚。

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