葛葉 「 … おー、どしたんすか 長尾さん 」
ツカツカ足音を立てて此方へ寄ってくる彼に、そう問い掛けた。
長尾 「 あんねぇ、死因について話し合いたいなって思ってさぁ 」
彼はそう言いながら俺らの前に、事件ファイルを覗き込むようにしゃがんだ。
… こんな様子だけど、きっと甲斐田が死んだことに関しては結構メンタルやられてるんだろうなと思う。
長年の友が死ぬなんていう状況で、何も感じないという人はいないと思うから。
でも、それでも調査を続けている彼は凄いと思う。
その意図は分からない、甲斐田を殺した奴を処刑したいっていう気持ちでやってるのかもしれない。それはそれで問題だけど。
不破 「 死因 … え、失血死じゃないんか? 」
長尾 「 分からんから来たんよ! 」
不破 「 アッ ナルホド 」
俺がそんなことを考えていたら、彼らの会話が進んでいた。
少しハッと瞬きをしてから、彼の疑問に真剣に考えることにした。
不破 「 さっきも言ったけど、湿った場所があったりちょっと濡れてたりするもんで … 」
長尾 「 溺死とか … ? 」
葛葉 「 アリエールだわ それは 」
長尾 「 これなら死亡場所が用具入れって書かれてないのも納得だなー 」
しかしまぁ、案外すぐに意見は纏まるもので、溺死という新たな可能性が出てくる。
溺死 … 、甲斐田は着物だし、服が重くて泳ぐのも大変だろうから、すぐに殺せたんだろうな。
絶対苦しかっただろうに … 。
そう 想像して無意識に顔を顰めて居たら、1人が声を発した。
不破 「 この … “ 死亡確定時刻 ” ってなんやと思います? 」
葛葉 「 ? 、そりゃ普通に死んだ時間って意味じゃねぇの? 」
不破 「 そうかぁ … なんか書き方ちゃうなぁと思ったんやけどなぁ、ちーさんのやつと。 」
葛葉 「 あーまぁ確かに … 」
うーん、と二人で首を傾げる。
確かに彼の言う通り、ちーさんの方には「死亡時刻」と表記されている。
だから、この表記の違いはきっと意図があるものだと思うんだけど … 。
長尾 「 … 溺死ってさ、心肺蘇生すりゃ助かる可能性があるやん。そゆことじゃね? 」
葛葉 不破 「 それマジか 」
なら、その時に誰かが見つけていれば助かったかもしれないってことか?
いやでも、その場にはクロが居るだろうし … 助けることは難しかったはず。
でも … うーん、なんだか複雑な気分だ。
そして、何か引っかかる気がする。
長尾 「 うわ、ビビったぁ。 」
3人で咄嗟に顔を上げて、顔を見合せた。
どうやら、「休め」と言いたいらしい。
んな事言われても
不破 「 休めー言われましても 休めなくしてんの貴方じゃないですか 」
葛葉 「 ふはは正論! ww 」
言おうとしたこと全部言ってくれた彼に、ふはと笑いを放った。
長尾 「 んじゃまぁ、食堂行きます? 腹減ったし 」
葛葉 「 さんせーい、人多そうだし。 」
不破 「 ゆっくり食いましょうマジで 」
適当な雑談をしながら、食堂へと足を進めていく。
まぁ、朝起きてすぐ探索だったし … 腹減って当然か。もっかい皆でゲームやりたいんだけど。
そんなことを考えていると すぐ着いて、食堂の扉を開けた。
そこにあったのは2人の姿。
伏見 「 あ、ズハくん! … に、ふわっちに長尾くん! 割と珍しいメンツだな〜。 」
夜見 「 ほんとですね〜 」
葛葉 「 人のこと言えないだろそれは 」
伏見ガクと夜見れな なんて聞いた事ない、と思いながら言葉が溢れ出た。
えー?w なんて笑ってる2人は、なんだか仲が良さそうだ。
何だろう、この2人だとガクさんが凄い兄っぽく見える … 。
長尾 「 何食いますー? 」
不破 「 エナドリ無いっすか? 」
長尾 「 …… 無いなぁー 」
不破 「 ないかぁ流石に、 」
葛葉 「 俺はぁー … 、血と肉ぅ。 」
長尾 「 輸血パックとステーキはあるー。 」
葛葉 「 ちょうだい 」
長尾 「 うい 」
しれっとくれるのも怖いな。
長尾景が投げてきた輸血パックを開けて、無心で チューと音を立てながら吸った。
ここに来てから血飲んで無かったから貧血だったんだ、助かる。
多分ここの管理人が用意してくれた … のか? なんにしろ、あったことに感謝しよう。
… ところで、
葛葉 「 … なんでそんな見てくるんすか、 」
伏見 「 え? いやぁ、吸血鬼って本当に血飲むんだなーと 」
葛葉 「 あぁ … 。 」
「 そんな見ないでくれますぅ?! 恥ずかしいんでェ!! 」
伏見 「 ハハハww すいませんw 」
ヂュッッ と一気に血を吸ったら、もう空になったパックをゴミ箱に捨てた。
食事シーンなんて確かにレアだけど、予想以上に視線が痛かった。… 夜見も。
不破 「 そういや、ガッくんともちさんが一緒に居ないなんて珍しいっすね 」
夜見 「 言われてみれば確かにー 」
不破 「 そうっすよね〜 」
確かにー、自分もそう思って彼の方を見ると、彼は言った。
伏見 「 とやさんはねぇー、ちょっと風邪気味なんだよ。昨日オレらプール探索しててさぁ、オレが悪戯で水かけたもんで … 今寝てます。 」
長尾 「 あ、プール行ってたんだ? 」
俺の前にステーキが並べられる。
俺はモグモグと肉を頬張りながら 話を聞いた。
伏見 「 そうッスよー、めっちゃ怒られて … いや、それ以上にやり返されましたけどw 」
不破 「 …… 想像できましたわ 」
「 美味しい? 」
葛葉 「 うん 」
不破 「 良かったねぇ 」
一通り会話を終え、食事も終わる頃には 時刻が15時を迎えていた。
残り2時間だ。
ふわっちの提案で、もちさんのお見舞いに行くことになった。
< ピーンポーン >
そう音を立てると、もちさんの部屋の扉がゆっくりと空いた。
葛葉 「 もちさん お見舞いに … うわっ、顔色悪 」
そこに見えたのは 顔を青くした剣持だった。
風邪言うて咳するくらいだと思ってたが、予想以上だ。
剣持 「 うるせぇよ、なんで知ってんの … 」
葛葉 「 そこの方が 」
伏見 「 いやだって … 心配じゃん? 」
剣持 「 … お引き取り下さい。 」
伏見 「 ちょ待った!!w お見舞いくらい良いでしょ!?w 」
剣持 「 移してとやかく言われるくらいなら僕は孤独を選ぶ。 」
伏見 「 言わないって! 」
10分ほどギャーギャー騒いだ結果、もちさんが根負けしてお見舞いは成功した。
言うて林檎渡すくらいだったんだけど。
その後はもう、部屋に戻って個人個人休もうということで、俺も部屋へ戻った。
コメント
3件
今回も最高でした なんかもう剣持が剣持って感じではい、好きです あと夜見れいのところ、おそらく夜見れなかと 私の思い違いでしたらごめんなさい
確かに和服って何枚も着ていて 脱ぐのが辛いらしい 長尾は何度も仲間の最後を 見てきたから 落ち着いてるけど親しい人が居なくなるのは悲しいと思いました 凄く登場人物の雰囲気が似ていて 見ていて飽きないと思いました! これから頑張ってください 長文失礼しました