ぱらぱらと何かが降ってきた。
コンクリートの破片だった。
「此処ですか」
屹度、此の楼閣の最上階で事務仕事をしようとすれば、間違いなく紙類は飛ばされる。なぜなら、天井が無いから。
「本当に爆破したんですね。これなら、かなりの威力の爆弾が必要かなぁ?」
「ええ、そうですね。貴方達も吹き飛ばされぬよう、精々気を付けて上へお上がり下さいな」
「「!!」」
突然の声に驚いて、中也さんと同時に振り返る。
其処に居たのは、黒い着物を着た女性。灰色の髪を横で束ねている。
「ご機嫌よう、マフィアさん。私は案内人に過ぎませんのでご安心を。けれど、此の先は命の保証は出来ません故、足を踏み出すのは遠慮された方がよろしいかと」
「·····まるでお葬式みたいな格好。喧嘩を売っているのですか?」
「真坂!此れは私達の所為で既に亡くなられた方々へ、賞賛の意味を込めて着ているのですよ」
「賞賛、だと?」
「ええ。彼等は、私達の発展のため死んでくださったのですから」
何其れ。可笑しい。
「·····其の顔、私達が再び戻って着た時には、絶望に染まってる事間違い無しですから。精々今は笑っていればいいですよ」
硝子が割れれしまい、扉として機能していない扉の取っ手に手を掛けて、後ろを振り返った。先刻の女性は、本当に何もしないらしい。付いてすらこない。
黙々と階段を上がって、とある扉の前に来た。この部屋に組織の首領が居ると云っていたからだ。
扉に手を掛けて、止まる。
「·····開けた瞬間、爆発したりしませんよね」
「はぁ?警戒し過ぎだろ。嫌なら俺が開けるぜ」
「嫌な訳ではないですけど·····お願いします」
本当は凄く嫌だったので、其の申し出は有り難かった。
扉が開いても、爆発はしなかった。取り敢えず一安心。
する暇もなく、大量の銃弾が飛んできた。
此の距離で避けるのは不可能と判断し、慌ててナイフを手にし、弾を切断するために構えた。が、何も飛んでこなかった。
代わりに、カラカラと弾の落ちる音だけが聞こえた。その全てが、中也さんの足元に落ちていた。その光景を見て、自分が必要のない事をしているのに気が付いた。
「そうか、重力操作·····。銃弾にも有効なんだぁ」
と、小声で呟いたのに、中也さんに得意げな顔をされてしまった。聞こえていたらしい。
今の顔、写真に納めたかったな。などと余計な事を考えしまったのは秘密だ。
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