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「君達がマフィアの刺客かな?」
部屋の奥には、一人の男性が窓の外を眺めていた。
「貴方が首領ですか?」
「その様子だと、夕稀から何も聞いていないようだね·····。初めまして、僕は長月。爆破を指示したのは僕だから、首領って事になるのかな。まぁ、一つだけ確かなのは、君達には此処で死んでもらうって事だけだ」
ゆうき、と云うのは恐らく先刻の案内人の女性の名前だろう。
「マフィア相手に随分と強気ですね。本気で云っているのですか?」
「それが、本当なんだよ·····」
長月がそう云って、何故か悲しそうな表情になった瞬間、それ程遠くない場所からドンと大きな音がした。
「君達だけでなく、僕も死んでしまうけどね。五つ先の部屋から順番に爆発するようにした。間隔は五分毎」
詰り、其の話が本当ならば、あと約二十分後に此処は私達諸共吹き飛んでしまうのだ。
早く対処法を考えなければ。そう判ってはいるが、今は他の事で頭が一杯になりそうだった。思い出したくない事ばかり浮かんでくる。
爆発に巻き込まれて死ぬなんて嫌。私は、あの子の分まで生きなくちゃいけないのに。こんな処で·····!
「チッ、面倒な事になったな·····」
「さあ、どうする?早く脱出しないと吹き飛ばされてしまうよ」
更にもう一つ爆発音。五分とはあっと云う間だ。
先刻から、中也さんが何か話しかけてきているみたいだが、全く頭に入っていなかった。
あと二つ爆発したら、次は此の部屋だ。
何とかして逃げる手段を考えてはいるが、如何しても浮かんでくるのは、為す術も無く吹き飛ばされる未来だけだった。窓から逃げようにも、此の部屋唯一の窓は、長月が邪魔で其方に行けない。
入口に戻ろうにも、此処は一番端の部屋の為、廊下に出て通路を戻らなければならないのだが、残念な事に崩れた壁等に通路は塞がれている筈だ。
「ぃや、」
此のままでは本当に。
「っ。どうしたら·····」
「おい」
「もう、駄目だ·····」
「玲沙、しっかりし、」
中也さんが何か云っている最中、三つ目も爆発音がした。
そして、私の頭も正常ではなくなった。
「ぃ、いやああああぁ!!死にたくない!こんな処で、爆発になんて巻き込まれたく、ないっ!私は、雪乃と同じなんて、そんなの·····!」
「おい、玲沙!落ち着け!未だ可能性はあるだろっ」
「嫌だ、嫌、いや、私はっ、」
「落ち着けって云ってんだろ!」
突然、苦しくなった。視界が暗くなった。
突然の事に驚いて、先刻までの興奮は何処かへ行ってしまった。
「??」
「はぁ。大丈夫か?」