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もう一度、世界に音楽を

24 - ゼノとスタンリーの警戒

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2025年04月29日

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玲央の背後から響いたゼノの冷静な声は、鋭い刃のように突き刺さった。


「……何をしている?」


(ヤベェねぇ……。)


玲央は心の中で舌打ちする。通信機のスイッチはすでに切ったが、ゼノに何をどこまで気づかれたかは分からない。


振り向くと、ゼノは静かにこちらを見つめていた。その瞳は冷静そのもので、じっと玲央を観察している。


「ちょっと、機材の調整をねぇ。」


玲央は軽く肩をすくめ、できるだけ自然に振る舞う。


「この機材、微妙にノイズが入ってたからさ。ついでにチェックしてたんだよねぇ。」


ゼノは微動だにせず、通信機のパネルに目をやる。


「それにしては、不自然な操作だな。」


玲央は内心、警戒を強める。


(……バレたか?)


「この周波数……短波通信に適したものだ。もしや、誰かと交信しようとしていたのでは?」


ゼノの指摘に、玲央の脳内に警報が鳴り響く。


(こりゃ、マズイねぇ……。)


張り詰めた空気が流れる。


「さて、玲央。君は一体、誰と話そうとしていたのかね?」


ゼノは口元に微かな笑みを浮かべながらも、その目は鋭く玲央を見据えていた。


その時——


「ゼノ、その子をあんまり問い詰めてやるなよ。」


低く落ち着いた声が部屋に響く。


(……スタンリー。)


部屋の入り口に、ライフルを肩に担いだ男——スタンリー・スナイダーが立っていた。


ゼノは視線を向ける。


「スタン、私はただ彼が何をしていたのかを知りたいだけだよ。」


スタンリーは肩をすくめ、玲央の方をチラリと見る。


「そいつが敵に通じてるってか? まあ、可能性はゼロじゃないが……」


ゆっくりと歩み寄りながら、スタンリーは玲央に向かって問いかける。


「なあ、坊主。お前、マジでスパイなのか?」


玲央は一瞬目を細めるが、すぐに余裕の笑みを浮かべる。


「まさかぁ。そんな面倒なこと、するわけないでしょ。」


スタンリーは玲央をじっと見つめた後、鼻で笑った。


「まあ、そんな簡単に”はいそうです”とは言わねえか。」


「当然ねぇ。」


玲央は肩をすくめる。


ゼノはなおも冷静に玲央を観察していたが、やがて深く息をついた。


「……スタン。彼の監視を強化したまえ。しばらくは慎重に観察する必要がありそうだ。」


「了解。」


スタンリーはライフルを肩にかけ直すと、玲央に視線を向ける。


「お前、妙な動きをしたら即座に止めるからな。覚えとけよ。」


玲央は苦笑しながらも、内心では冷や汗をかいていた。


(……ゼノとスタンリー、両方に警戒されたのは面倒だねぇ。)


玲央は慎重に動く必要があると悟った。


(このままじゃ、千空たちと連絡を取るのがますます難しくなる……。)


だが、諦めるつもりはない。


玲央の頭の中で、新たな作戦が動き始めていた——。


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