テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

スタンリーの監視が強化されたことで、玲央の自由な行動はますます制限されることになった。


(……さすがに、厳しくなってきたねぇ。)


実験室でも、ゼノの視線を感じる。食事の時間ですら、スタンリーが遠巻きに見張っている。


玲央はテーブルに肘をつきながら、ゆっくりと水を飲んだ。


(このままじゃ、千空たちに連絡を取るどころか、下手に動けば本当にスパイ扱いされて終わるねぇ。)


玲央はわざと気だるげにため息をつくと、テーブルに突っ伏した。


「……ダルいねぇ。」


「おや、疲れているのか?」


向かいに座るゼノが、静かに声をかける。


玲央は片目を開けてゼノを見た。


「まあねぇ。ずっと監視されてたら、誰だって疲れるでしょ。」


「それはそうだな。」


ゼノは淡々とした口調で答えながらも、玲央を注意深く観察していた。


玲央は何気ない仕草を装いながら、ゆっくりと視線を動かす。


部屋の片隅にある無線機——それが今の玲央にとって最も重要なものだった。


(どうにかして、これを使う方法を考えないとねぇ。)


しかし、ゼノの警戒心は高い。下手に触れれば、一瞬で疑われる。


そこで、玲央は別の作戦を考えた。


——まずは「信用」を得ること。


千空のように知識で信用を勝ち取るのは難しいが、玲央には玲央なりのやり方がある。


それは「音」の力を使うことだった。


玲央は目を閉じ、静かにリズムを刻む。


(ゼノが油断する瞬間を作る。スタンリーが監視を緩めるタイミングを狙う。)


音楽には、人の心を動かす力がある。


そして、玲央が得意とするのは「ノらせる」こと——。


玲央は、ゼノたちの前で、ある計画を実行する決意を固めた——。


***


その夜。


研究所の片隅で、玲央は静かに口を開いた。


「……ノってきたねぇ。」


静かな夜の空気に、玲央の歌声が響く。


最初は小さな声だったが、次第にリズムが生まれ、空間を支配するように広がっていく。


ゼノたちは驚いたように振り向いた。


スタンリーも、銃を肩にかけたまま立ち止まる。


「……へぇ、お前、歌えるのか?」


玲央は笑みを浮かべながら、さらに音を重ねていく。


「まあねぇ。オレの戦い方は、リズムに乗ることだから。」


歌声は、研究所の無機質な空間に溶け込んでいく。


不思議なことに、ゼノもスタンリーも、その音に引き込まれていた。


(このタイミング……今しかないねぇ。)


玲央は、静かに足を動かし、無線機のそばへと近づいた。


カチッ


その音が鳴った瞬間、スタンリーは玲央に銃口を向けた。


「……やっぱ、誰かと繋がってんな?あんた。」


「…あっは、これでバレるとかまじ…?」


「警戒をしておいてよかったよ。つい昨日、謎の周波に繋がってね。」


玲央は近くにある薬品に目を向けた。


ゼノが言っていた衝撃を加えるとと白い煙が出るというものだ。


「くくっ、やっぱり化学は面白ぇな!」


玲央は薬品を手に取り地面に投げその瞬間走り出した。


白い煙がボワっと出て視界を塞いだ。


ダダダダダダッ!


後ろから銃声が聞こえる。


玲央はそれを無視して走り続ける。


「ここで捕まるかよッ!!」


玲央は走った先にあった窓から飛び降りた。


「さぁ!!ノってきたよ!!」

もう一度、世界に音楽を

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

102

コメント

1

ユーザー
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚