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勇斗side
マネージャー「わかってると思うけど、個人で勝手に動くようなことはしないで欲しい」
柔太朗がストーカー被害に遭っているらしい。
体調不良で柔太朗がレッスン早退した翌日、集まったメンバーの前でマネージャーが言った。
病気のことだけでも驚きだったのに、ストーカーは寝耳に水だった。
机の上には次々に写真が並べられていく。
過激なコメントや気味の悪い郵送物の写真、そして数十枚にわたる非通知の着信履歴。
❤️「やば、これ…」
💛「…きっしょ」
💙「柔太朗怖かったやろうな」
「なんで…言わないんだよ…」
メンバーが絶句する。
こんなことを数ヶ月も黙っていたなんて…
あいつどんだけ馬鹿なんだ。
奥歯がギリっと鳴った。
💙「柔太朗今、家にひとりなん?」
❤️「それって逆に危なない…?」
マネージャー「こういう時ほど落ち着いて行動して欲しい。君たちに被害が及ぶことは柔太朗が一番望んでないから…」
❤️「そうやけど…」
💙「でもなぁ…」
マネージャー「…俺も!みんなと同じ。悔しいよ…気が付かなかったのもそうだけど、辛い時に頼ってもらえなかったことも」
💛「そう、ですよね…」
マネージャー「警察にも相談してる。それから、引っ越し先も早急に手配してるから…」
マネージャーの話が続くけど、俺の頭には全然入ってこなかった。
今もひとりであの家にいる柔太朗のことを考えると、会いたくてそばにいたくて居ても立っても居られない。
❤️「勇ちゃん、いいの?バレたら怒られるで」
「…警察なんて当てになるかよ」
❤️「まぁ…それはね」
「なんかあってからじゃおせーんだって」
レッスンを終えてから舜太と柔太朗のマンションへ行く。
本当はひとりで行くつもりだったんだけど、仁人に見つかってひとりで行くんならマネージャーに言うって言われたから。
周囲を窺いながらエントランスをくぐる。
柔太朗の部屋のポストを見たら大きな封筒がはみ出していた。
宛名のない封筒。
…こんなもののせいで
強引に引っ張り出したら封筒が破れてコロンと小さな何かが足下に転がり落ちた。
柔太朗が失くしたと言っていたリングだった。
❤️「なんか彫ってある……え、と…Ti amo…?」
リングを拾い上げた舜太が照明にかざしながら言う。
Ti amo:あなたを愛しています
「…ふざけやがって」
❤️「あ!勇ちゃん、それ証拠品…」
俺はリングを引ったくると近くのゴミ箱に力いっぱい投げ捨てた。
ドアが開いて柔太朗の顔を見たら思わず抱きしめていた。
小さく咳をしながら柔太朗の手が優しく背中に回される。
🤍「勇ちゃん、舜太…なんで…」
別れてからまだ1日しか経っていないのに柔太朗はやつれて見えた。
顔は青白いし、声は聞き取れないくらい小さかった。
🤍「勇ちゃ…苦しい…」
「ごめ…でも…」
体を離して儚げに微笑む柔太朗を見たらまた抱きしめたくなった。
舜太も一緒になって柔太朗を抱きしめる。
玄関先からなかなか進めなかった。
溜まった洗濯物を回して、冷蔵庫の補充と簡単な掃除をする。
怯える柔太朗を宥めて締め切っていたカーテンを開けて空気の入れ替えもした。
買ってきたご飯を温めて無理矢理食べさせると、満腹になった柔太朗は眠りについた。
寝顔をふたりで見つめる。
舜太が柔太朗の手を握った。
❤️「柔ちゃん、痩せたね…」
「…でも、顔色は少しマシになった」
❤️「帰りたないなぁ…」
寝顔を撮って太智と仁人に送る。
すぐに既読がついた。
『待ってるって伝えといて』
『あ、ずるい!俺も』
…直接言えよ、それくらい。
柔太朗は生きてるのか心配になるくらい深く眠っていた。
うなされる度に舜太と交代で手を握った。
また柔太朗のスマホが非通知の着信を知らせる。
俺らが家に来てからも鳴りっぱなしだった。
ファンクラブのコメント欄が閉鎖されたから苛立っているのかもしれない。
通話ボタンを押して怒鳴りたい気持ちを抑えて電源をオフにした。
舜太は仕事があるからと泣く泣く先に帰って、俺は翌朝直接撮影現場に向かうことにした。
翌日まだ目を覚さない柔太朗に後ろ髪を引かれつつ、置き手紙を置いてマンションを出た。
夕方になって、マネージャーが慌ててはじめる。
マネージャー「柔太朗君が道で倒れて救急搬送されたみたい…」
「なんで…外になんか…」
少し考えてから俺の目を見てマネージャーが言った。
マネージャー「…佐野君の携帯を持ってたって」