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注意
・この物語はフィクションです
・政治的意図はありません
・実際の国や地域に関係はありません
・銃を撃つシーンがありますが、死人は出ません。でも地雷だ、という方はパラオといっしょに海を見に行きましょう(???????)
・連盟が怖いです
・誤字、脱字があるかもしれません
「ふー疲れたぁー」
NATOの疲れ切った声が部屋に響く。また今日も残業かぁと思いながら時計を見るともうすでに深夜零時を回っていた。
「えっ?もうこんな時間?」
「ほんとだ。時間の流れは早いねぇ」
「君いたんだ」
「NATOひーどーいーよー!」
「あそうだ今日飲みに行かない?」
「いいな、それ。国連さんはどうします?」
なんでこの二人はこんなに元気なのだろうか、と不思議に思いながら、私はまだ作業が終わっていないため
「私はまだ仕事が残ってるので、申し訳ないですが今回ははお断りさせていただきます」
と、パソコンの画面を見たまま返事をした。
「そっかぁ、、、じゃあ仕事手伝いますか?」
「気持ちはありがたいのですが、これは自分でやらなければいけないものなので、、」
「…わかった。無理はしないでくださいね?」
「じゃあお先失礼します!」
「失礼します」
帰ってしまった。時計を見るとあともう少しで一時になるところだった。
やけに寒いオフィス。外の車の音とともにカタカタとキーボードの音が響いていく。
「あああもう疲れたああ!もうヤダあ!僕らはただ平和にしたいだけなのに、なんで人間たちはっ、、!」
思わずそう叫んだそのとき、背後から
「じゃあ、終わらせてやろうか?」
という冷たい声が聞こえた。絶対ASEANやNATOではない。冷たく鋭い、でもかすかに聞き覚えのある声だった。
恐る恐る振り返ってみる。
「お、、お兄、さ、ん、?」
そこには兄である国際連盟がいた。特徴的な星の模様、鋭い目つき、、でも前はなかった真っ黒で少し乱れている大きな翼が背中に生えている。その点だけを抜けば、彼は絶対に兄なのだが、、おかしい。なぜここにいるのか見当がつかない。なぜならここでお兄さんは働いていないし、そもそも彼は
「ははっ。久しぶりだな」
「兄さん、、どうしてここに、、、?」
血はつながっているはずなのに、何故か無性に怖く感じた。
「そりゃこの世界を終わらせに来たからに決まってるだろ?」
「兄、さん、、なぜ?、、ど、どうして、、?」
思わず目を見開いた。その間も彼はこちらに詰め寄ってくる。怖い怖い怖い怖い怖い
「君は世界の平和のために働いている。それは俺もおんなじだった。」
「けどよく考えてごらん、俺らがこんなに大変な思いをして働いているのに、世界は平和になるどころか、どんどん離れていってるじゃないか。」
「…」
「だから俺は思ったんだ。」
「‥?」
「そもそも俺らはあの馬鹿な人間の駒の一部じゃない。なのにアイツラは自分の都合の良いように俺等を利用してやがる」
「…っ」
「長年我慢してきたけれど、こっちもお前が理不尽な目にあってるのを見ていてもう我慢の限界だ。だから、手伝ってくれるよn」
自分の思った以上の大声が出た。
「確かに、今も戦争や紛争は絶えないし、長年問題になってる麻薬の問題も解決できてないし、環境問題とか、アメリカの関税処置とか、人間たちは勝手にいろいろ馬鹿なことしかしないかもしれない!……でも、でも、一生懸命頑張って平和にしよう、皆が幸せに生きていけるようにしよう、そう思って必死に毎日生きている人達もいる!だから僕は、、僕は、
「ハア…ハア…ハア…」
「…チッ」
「……残念だよ、弟、いや”国際連合”。君ならわかってくれると思ったけれど、、、」
「…」
しばらくの沈黙のあと、国際連盟は口を開いた。
「…君は思わないのかい?度の国の歴史を見ても、つかの間の平和が訪れたあと、その平和は崩れ去り、また訪れ、崩れていく。この繰り返し。どうしてそんなに何度も壊れたものに執着するんだ?」
「……だって…これが僕達の仕事dん、ん゙ん゙!」
突然口を塞いできた。必死に引き剥がそうとするが、力が強く、彼の腕はびくともしない。
「それって、俺らが平和を実現させるよう、プログラムされてるからじゃないか?だとしたら、俺らが一生懸命作り上げてきた平和がすぐに崩れ落ちていくのとも辻褄が合うよなぁ?機械が作った平和はただひたすらに消費されていくだけで、自分たち人間が作ったものじゃないからなぁ。な、そうだろ???」
笑顔でそう問いかけてくるが、目が笑っていない。瞳孔には少しも光が宿っていなかった。恐怖はすでに頂点に達していた。
どうにかしてこの手をどかさないと、このことで頭がいっぱいになった。もしここで引き剥がして、言い返さなかったら、、、僕も人間たちもどうなってしまうかわからなかったから。
「…ハァ…ハァ…ッ、ゲホッゲホッ、カヒュー、カヒュー、!!」
「!」
なんとか引き剥がすことができた。花も抑えられてしまっていたから息が苦しい。でも、これでようやく、話せる!
「……僕は、、ゲホッ、たとえ自分の意志がゴホップログラムされたものであっても…、、平和になっても長続きしなかったとしても…
「…失望したよ、国際連合くん。君もやはり、”そちら側”だったんだな。」
カチャッ
「え、それって…」
「そう、銃だよ。俺等が銃を持つのは規則違反だったっけな。でもそんなのもう関係ねぇ。俺はもう死んでるし、お前を葬ったあと、お前と入れ替わって新しくルールを作ればいいだけだからな」
「五秒以内にだったら急所は外してやる。」
頭が真っ白になった。当たり前だが、僕らが銃や殺傷能力の高い刃物、その他の武器を持つことは原則禁止されている。特に僕やWHOなど、血を一滴も流すことなく、平和を実現させる目的がある者は当然だ。だから僕は身を守れそうなものは何も持っていなかった。
「…っ、け、警察、よb」
「残念だけど、世界中の通信指令センターはハイジャックして繋げなくしたから通報はできないよ。そういや、俺幽霊だがら通報しても意味ないんだったっけなアッハハハ!!」
「そ、そんなぁ‥」
ここで死ぬしかないの…? あぁ、最後くらい、NATOたちと一緒が良かったな。
「五秒たったな。あばよ、兄弟」
高く、乾いた音が聞こえたと同時に、
そう声が聞こえたのを最後に、僕の意識はブラックアウトした。
「ーーーーれーーい、ーくーいーーめー、こーれーー」
「!」
あれ、僕、何してたんだっけ。記憶を探ってみる。ああ、あの時、僕は実の兄に、、撃たれたのか。
「もー心配したよお!グズッ」
心配して駆け寄ってくる彼。他のみんなも「銃で撃たれて倒れてたって言ってたから心配したよお!」とか「無事で良かった」とか「次は絶対に一緒に帰ろう」とか、声をかけてくれてなんだか嬉しかった。でも、、
「WHO…!その怪我は、、、」
「?、ああこれか、たいしたことないから大丈夫だよ〜」
仲間の一人の翼に包帯が巻かれていた。昨日まではなかったはず。もしかして…
「もしかしてさ、その傷、僕のお兄ちゃんに…?」
周りのみんなが戸惑っているように見えた。でも当たり前だ。彼は死んでるはずだから。
でも彼女は涼しげな顔で
「まあね〜」
と返事をした。
あとから聞いたが、彼女は僕が被弾するはずだった銃弾のうちの一つを庇ってくれたらしい(本当は全部庇ってやりたかったみたいだが)。そして、もし彼女が居なかったら銃弾は急所に当たり、大ダメージを受けていた可能性が高かったそうだ。それを聞いて、僕は、思わず身震いした。
数日後。僕と彼女の傷はほぼ完治していた。だからお礼に前から彼女が気になっていた、いい感じの喫茶店で二人でお茶をすることにした。
「…結局、兄さんはなにがしたかったのかなぁ」
テラス席で、夕日を浴びながら彼女に問いかける。
「さあ、、、。でも、私達がやれることはまだまだあるでしょう?」
「そうだね。僕達、運よく世界大戦のときに生まれてないから、その分できることはいっぱいあるだろうね。」
その後、僕は2人分の会計を済ませ、帰宅した。
家に帰っても、まだ兄さんのことを考えていた。
昔アメリカさんに聞いたことがある。
「アイツは、国際連盟は、自分が努力しても、どんどん平和から離れていく世界を見て、精神を病んでいった。オレらもなにかしてやりたかったけど、国民たちは彼のことなんか1ミリも気にしていなかったな。そしてとうとう連盟は狂ってしまった。俺等が頑張っても何も残らないなら、いっそのこと、世界を壊してしまおう、って。」
彼は自分一人で抱え込みすぎるタイプであること。これは自分も知っていた。でも、ここまでだったなんて。
はじめは嘘だと思っていた。いつも軽口を叩いているような人だったからそんなことはないと勝手に思い込んでいた。
「兄さん…」
返事はない。でも心に決めた。
「兄さん‥僕は兄さんが”本当に”目指していた世界をいつか見せられるように頑張るよ…」
「…うーーーん!じゃあ今日も頑張りましょうか!」
元気よく伸びをし、周りに声を掛ける彼女。それにつられて周りも声を掛け合っている。
「今日も頑張ろーうっ!」
「ASEAN、今日は仕事サボるんじゃないぞ^^」
「ヒッ」
「あははっ、NATOやり過ぎ〜」
なんかこっちも笑顔になってきたな。
「では皆さん、今日も”みんなで”頑張りましょう!」
FIN