放課後、校庭で個性の練習を終えた雷がベンチに座っていると、兄の上鳴電気が近づいてきた。
「おう、雷。今日も静かにやってたな」
雷は顔を上げず、無表情のまま小さく頷く。
言葉は返さない。
「……まあ、無表情でもやっぱり強いな」
電気は楽しげに笑うが、雷は微動だにしない。
掌に残った電流の感覚を確認するように、指先を軽く動かすだけだ。
「……で、次はどんな練習するんだ?」
電気が訊ねる。
雷は短く視線を送る。
言葉には出さず、うなずくか、小さなジェスチャーで合図するだけ。
表情も声も変わらないが、その冷静さの奥で、すべて計算されていることが伝わる。
電気は少し首をかしげるが、笑って肩をすくめる。
「まあ、いつも通りか。お前らしいな」
雷はその言葉に反応せず、ただ静かに立ち上がる。
次の練習の準備を始める――無表情のまま、冷静に、しかし兄の存在は確かに意識していることがわかる。
周囲から見れば、二人はあまり会話をしていないように見える。
だが、その静かなやり取りの中に、確かな信頼と理解が存在していた。






