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#文芸アクション
大正
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「先生……ごめん。あのチンピラの件、彼の言う通り、僕のせいなんだ」
睦月君がしゅんとした様子で謝った。まるで叱られた子供が所在なさげに困っているような……。
思わず愛おしくなって、ぎゅっと睦月君を抱きしめた。「大丈夫。ちゃんと話してくれたらいいから。迷惑かけたから私の前から消えようとか、そんな風に思っちゃダメだからね?」
「先生……」
睦月君は震える手で私を抱き返してくれた。「ごめんなさい、先生……」
「大丈夫よ。私はどこも怪我していないし、睦月君が守ってくれたんだもの」
「先生のことは僕が命を懸けて守るからね!! ぜったい、なにがあっても」
強い口調でまるでナイトが姫に忠誠を誓うように言ってくれた。かわいいと思ったらカッコいい私の旦那様はずるい。ドキドキしちゃうから。
「睦月君、でも、無茶はしないで。あんな…拳銃でもし撃たれたりしたら…」
「あれ、ニセモノだよ」
「ニセっ……!?」
「本物はもっと重厚だから、すぐにわかるよ。あんな下っ端がホンモノを持っているわけないし。それに、万が一本物だったら銃刀法違反で刑務所送りにされちゃうから、奴らはそんなもの持たないよ」
「そっか…でも、すごく心配したから、無茶はしないでね」
「わかった」
指切りをしてくれた。体を張って守ってくれるのは嬉しいけれど、もっと自分のことを大切にしてほしいな。
「あの…それより、三人組のチンピラの話なんだけれども、どうして睦月君に関りがあるの? きちんと説明して欲しい」
これ以上の営業が見込めないために看板の電気を落とし、私は睦月君と向き合った。
「なにから話せばいいのか…」
ゆっくりと、でも隠さずに睦月君の口から小平というトレーダーの話、今TENGAで関わているプロジェクトの話、フジノ商事の話、マルヨーさんの話、そしていちばん驚いたのが、彼に、婚約者がいたこと。そして、四井財閥の御曹司だったこと――…
そんな彼の複雑な背景から、湯川翠子さん――彼女が、私の店にチンピラを送り込んできた可能性がある人物である、と。
「どうしてそんなこと……」
私は湯川翠子さんに会ったこともない。恨まれる筋合いはなかったはずだ。しかも半年前なんて……。
「翠子は親が決めた許嫁で、僕が中学の時からの付き合いがある。でも、安心してね。ずっとこの縁談についてはお断りしていたから」
にっこり笑ってくれるけれど、もし、チンピラを派遣してきたのが湯川翠子さんであるならば、あちらは睦月君と私が結婚したことに納得していないんじゃ……?
「睦月君、もしかして私との結婚は、彼女からのアプローチを逃れるため?」
「違うよ!! 僕はただ純粋に――……」
睦月君はなにか言おうとして、そのままきゅっと唇をかみしめて黙ってしまった。「誤解しないで欲しいんだけど、僕はいい加減なつもりで先生に結婚を持ち掛けたわけじゃないから。先生に恩返しがしたいって、ただそれだけだから。そんな風に利用したなんて思わないで……」
あまりに悲しい顔――睦月君は純粋に私を助けようと契約結婚を持ち掛けてくれたのだとその表情からして見て取れた。
「いいのよ。睦月君、最初に言っていたじゃない。アプローチされて困っているから、女性避けに契約婚をしたいって。私のことは、利用してくれてかまわないのよ」
「先生っ……そういうのじゃないって! 僕はっ、ずっと先生のこと……大事に思っているから……っ」
「わかってる。ありがとう」
私はにっこり笑った。
「現状、チンピラが来なくてもうちの店は右肩下がりの売り上げだったし、ちょうどいい節目だったんだよ。借金して行き倒れになるところだったんだから。それを助けてもらえただけで、ありがたいよ」
「先生。僕は折り紙をこのまま閉店させるつもりはないよ。僕は先生に恩返しがしたいんだって。高梨親子から受けた恩は、計り知れない。あの頃の僕を助けてくれたのは、先生と、お父さんだけだもん。助けるのは当然のこと! それに、僕は……」
睦月君の秀麗な顔が近づいた。頬に手を寄せられ、引き寄せられていく。
「先生……僕はあなたのためなら死ねる。どんなことだってできる。だから……捨てないで」
揺れる瞳があまりに切なくて。きゅっと心が掴まれる。まるで捨て犬みたいに見えて、全てを包んであげたくなった。
「私がそんなことすると思うの? 睦月君は昔から苦労しているから、信じられないかもしれないけれど、大丈夫だから」
「じゃあ……キスしてもいい?」
至近距離で綺麗な顔が私をしっかり見つめて言った。目をそらせなくて、こっちまで目が潤んでくる。私は気が付かないうちに頷いていた。無意識と言ってもいい。睦月君の要求を拒んだりできなかった。
ゆっくりと彼の秀麗な顔が近づき、唇が重なった。
2度目のキス――
コメント
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うわっ、第41話でついに睦月くんの過去と正体がどんどん明らかになってきたね!四井財閥の御曹司で婚約者がいたっていう衝撃の事実…でも「純粋に先生を助けたい」って気持ちはブレてなくて、そこがすごく尊いわ。「捨てないで」って捨て犬みたいな目で言うシーン、胸がぎゅっとなった。そして2度目のキス!この2人の関係、契約から本物に変わってきてる感じがたまらない🔥 次どうなるのかマジで気になるわ!