テラーノベル
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今日の取材は、顔馴染みのスタッフさんと雑談を交えながらの、比較的ゆるい空気だった。
新曲のリリースが近いこともあって、インタビューを先に終えてから、新曲衣装で写真撮影をする流れになる。
用意してもらった楽屋を覗くと、3人掛けのソファが2つ、テーブルを挟んで向かい合うように置かれていた。他にも、差し入れが並べられたテーブルにパイプ椅子がいくつか置いてあった。
舜太と太智はもうソファに並んで座っていて、仁人は窓際でコーヒーを飲んでいる。
空いている場所はいくつかあった。
なのに気付けば、ソファにひとり座る柔太朗の隣へ腰を下ろしていた。
「あ、はやちゃん。おはよ」
「おはよ」
柔太朗は自然に笑う。
それだけで、昨日から胸のどこかに残っていたざらつきが薄れていく。
…また隣だ。
座ってから気付いて、小さく息を吐く。
別に意味なんてない。空いていたから。
たまたまだ。
そう自分に言い聞かせていると、柔太朗が体を寄せてきた。
「ねぇ、はやちゃん」
「ん?」
「昨日、あのドラマ最後まで見た」
「お、早いじゃん。どうだった?」
「最後さあ、」
少し照れたように笑いながら柔太朗は続けた。
「めっちゃ泣いちゃって」
予想通りのその言葉に、こちらも思わず笑う。
「またぁ?」
「またです」
そう言いながら、ぐっと顔を近付けてきた。
「そのまま寝ちゃって、朝起きてすぐ冷やしたんだけどさ」
前髪を指先でかき分け、隠れていた形の良い瞳が露わになる。
「腫れてない?」
近い。
思ったより、ずっと近い。
朝の光を受けた白い肌も、きれいに通った鼻筋も、少し開いた唇も、ぜんぶ目の前にあって、どこを見ればいいのか分からなくなる。
「今日撮影あるし、大丈夫かなって」
確認しろってことか。
こんな距離で顔を近付けてくるのは、相手が俺だからなのか、それとも。
無防備に顔を寄せられて、なぜだか喉が詰まったけれど、平静を装って目元を確かめる。
「……大丈夫」
やっとそれだけ言えた。
「ほんと?」
「おう」
「よかったぁ」
ふわっと笑って離れていく。
その瞬間になって、ようやく息を吐けた。
……何だ今の。
「ん? んん? ねえねえ」
舜太が向かいからニヤッと笑う。
「どうしたん、はやちゃん。顔赤ない?」
「あ?」
後ろめたさに、必要以上に低い声が出る。
「おお怖!何でもあらへん、何でもあらへん」
肩を揺らして笑う舜太に、仁人は呆れたようにため息を吐く。
「舜太、朝からうるさい」
「俺はなーんも言うてへんよー」
それ以上うまく返せず、テーブルの上の台本を手に取った。
開いたページは、1文字も頭に入ってこなかった。
コメント
2件
読了しました🌙 柔太朗くんが前髪をかき上げて顔を近づけるシーン、だめだ…距離感が近すぎて読んでるこっちまでどきどきしちゃった。はやちゃんが平静を装って「大丈夫」って言うとことか、もう感情が全部にじみ出てて可愛すぎるよ…。「また隣」って自分に言い聞かせてるところも、その無意識がもう答え出てるじゃんって思っちゃった。舜太のツッコミも絶妙だし、今日も最高の1話だったよ🤍🥀
眠りひめ
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