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「すみません安室さん」と水着の蘭はパラソルの下で伸びている降谷に言う。
「あ」
「博士がさぁ」と園子が後ろから出てくる。「学会あるとかであの哀様も手伝いでいないし…」さらに顔を出す世良。
「眠りの小五郎は事件」
降谷の隣のコナンは呆れて言った。「ただの二日酔いだよーー」
僕もなんだけど。と降谷はパーカーを着て言いかけた。
「ねーっ!」と歩実が浮き輪をつけて手を振る。「早く行こうぜ!」「コナンくんもー!」と3人はプールに走り出す。
「こらプールサイド走るなー!」
という園子も走り出す。
「保護者がいないと今厳しくて…」
「あぁいいよ」と降谷。ところで、と言いかけて世良の声がする。
「や、やめて…」
「早くほら!名前さん!」
「やーー」スミスは目の前に押されて出てきて、降谷とコナンは
「「げっ」」と声が揃った。
ただの白いビキニのはずなのに胸元は零れそうだし、腰にある紐は1発でほどけそうだ。
しかも1番の問題は、スミスがからだじゅうを隠そうとしてもじもじしていることだ。
なんでだよ!?と降谷は叫びたくなる。
いつも素っ裸でうろうろするくせに、どれだけそのからだで男を誘惑してきたくせに?と。
「すごいだろ」にやりとする世良に、男2人は「「いやっ…」」目を互いに違う方向に向けた。コナンには蘭がぷっ、と笑って話しかけてくる。
「安室さん顔赤い…ふふっ」
「そりゃ…」
「っこれじゃあ…」とスミスも赤くなる。「裸のほうがましよ……」
はあっ、と降谷は頭を下げた。わからなくはない。
「蘭さーん!」と歩実が後ろを流れていく。
「…なんで流れてるの?」と不思議そうなスミスに、蘭はぐっと手を引いた。「ふふっ!面白いから!」
「待ってよ僕もー!」
あははははっ…という声にスミスは水をかけられ、困ったように目をぱちぱちさせて目の前から流れていく。
「ん?」気づいたらコナンが降谷を見ている。
「昨日はうまくいった?」
「まあ…」と目を斜めにやる。「ニュースで見たよ。ドイツ国防総省に防衛の支援をする、って…でも」コナンは顎を引く。
「ロシアは今領土問題を抱えているし、支援っていうけど…」
「そっちは防衛省の管轄だから」はあ、と降谷は疲れた。と言いたげにベンチで寝ながら顔をそむける。
「…最小限になるように、防衛省の幹部を入れ替えたんだ」
コナンも同じように、隣のベンチで寝転がる。
アハハ、という笑い声と、水の音。生暖かい風ーーかかる揺るかな洋楽。素直に二日酔いの降谷はうとうとしだす。
ぱた、と水滴がかかり、「うん?」目を開ける。
スミスが立ったまま見下ろしていた。
「わっ」がばっと起き上がると頭痛がする。
「コナンくんもー!」「行こうぜ!」「ほらビーチボール!」「わあったよ!走るなよ」
ばたばたといなくなる子供らに、スミスはコナンのいた場所に座り、膝を抱く。
「…ごめんなさい…」
「は?」
「何も言わなくて…」スミスはそのまま膝に顔を埋める。
何に対しての何も言わなくて、なのかがわからない。心当たりがありすぎるからだ。
降谷ははぁっ、と息をつく。「いいさ」だけどな、と立ち上がる。スミスは顔をあげる。
「約束しろ。必ず、帰ってくるって」
色んな意味で。と付け加える。
「意味、わかるよな」
す、と手を出されて、スミスはそれを見る。
困ったようにスミスは首をかしげながら、その手をとる。引っ張られ立ち上がると、そのまま降谷はプールへ走り出す。
「え、ちょっーー」ばちゃん!と盛大にプールに入ると、彼はにこっと笑って見せる。
「いいさ。なんでも。君が生きていればなんでもいいよ」
「零」
濡れた手で、スミスの碧い髪を耳にかける。
「今はほら。こうしていよう」
ただの恋人同士みたいに。そうは、出会えなかったけどーー…。
「…うん」スミスは微笑んで頷いた。愛おしそうに、その片手に頬ずりする。
「レディ」
「零」
2人はお互いに引き寄せ合い、口付ける。段々激しくなっていき、水が音をたて始める。
周りの人間が指差し赤くなり、2人を避けるように通りすぎていく。
「うわあっ!」と浮き輪をした園子が指差す。
「おいおい」と世良が蘭の背中に隠れた。「ちょっ!」
「おお!」と元太が指差す。「めっちゃおっぱいさわってんな!」「「元太くんっ!」」と光彦と歩実。
「これは下もたぶん…」
「世良の姉ちゃん!」コナンは叫んだ。
「でもこのままじゃ流れるプールだからそばに行っちゃうよ…」蘭は小さく叫ぶ。
2人は口を開けたまま離す。つ、と糸が引いて落ちた。
「ほらっ!」
がしっとスミスを抱き抱え、そのまま行く降谷に、彼女は髪を振り乱して笑った。「あはっーーはははっ…」
「歩実暑い。蘭お姉さん。お水の中なのに」と赤い顔の歩実が蘭に言う。「お、俺も」「僕もです」「ていうかみんな…」「休憩しよう」コナンが言うと、皆赤い顔のままプールから上がった。
「初めてじゃない?」
「ん?」
「こうしてるの」
「まあ…」と降谷は目を横に向ける。
「風見なしではそうかもな…よっ」とスミスをプールサイドに乗せ、膝の上に腕を置く。
ぴちゃり、ぴちゃり、と鳴る水。
少し塩素でひっかかる降谷の髪に、指を入れて撫でていくスミス。
「ん?」きょとんとする降谷に、スミスは思いきり笑ってみせた。
「すきよ、零ーー」
「!」
「零…あなたが……」スミスが腕を伸ばすのをしっかり水の中で受け止める降谷は、満面の笑みで笑った。
「あなたを……あいしてる………」
「ぶっ」とコナンは食べていたホットドッグを吹く。
「いたいた」と降谷とスミスが手をつないでやってくるから。
「もーっ」と歩実が頬を膨らます。「だめよ、あんなえっちなことしたら…」
「彼女の言うとおりだよ、安室くん」と世良と園子。「そうですよ」「兄ちゃんえろいぞ」「みんな…」と蘭。
「名前が食べられそうなものは…」とテーブルを見回す。
「アイスは?」とコナン。「砂糖と牛乳だよ、ほとんど。わかるよね?」
「え?ホットドッグとかだめなの?」と不思議そうな園子に、「…苦手で」と名前はちら、とコナンを見た。
「アイスキャンディーかな?見てくるよ…」と行く降谷に、「どうぞっ」と光彦が横を開ける。
「ありがとう」スミスは隣に座る。
「ねぇ次はさっ!泳ぐの練習しよう!」
「えぇ!25メートルプールありますからね!」
「でも帽子とゴーグルあるのみんな?」
へへ!と3人はそれを後ろから取り出す。
「私たちはじゃあどうしよっか?」
「スライダー並ぶ?」
「でも誰か保護者いないと…あ」
「ほら」と戻ってきた降谷がキャンディーを2つ持っている。
「これはミルク、こっちは苺」
どっち、と聞かれる前にスミスは2つもぎとり食べる。
誕生日席にいる降谷は、それを食べるスミスを、頬杖をついて笑いながら見る。
「やばい。またなんか」と園子。
「…でも、わたし名前さんうらやましいな」蘭が小さく言うので、コナンは見た。
「…名前さん。安室さんにすごく大事にされてるんだと思う…安室さんの顔見れば、わかるよ…」
「らっ蘭ねえちゃんも大事にされてるんじゃない!」コナンは叫んだ。「新一兄ちゃんに…」
「えーっ」と不服そうな蘭に、皆が笑う。「そりゃね?」「離れてても心はつながってるからねっ!」「ちょっと園子!」
「んっ…」ぽたぽたと胸元に赤い汁が垂れて谷間に吸い込まれていく。
「あーー」
えっ、と皆が声を出すのも気にせずに降谷は胸元に顔を埋める。ぺろ、と舐めたあと彼女を見た。
「あはっ」スミスは彼を抱く。「くすぐったい…やだやめてーーあははっ透ってば…」
「なんじゃ今日…」園子が固まる。世良が首を振る。「蜜月ってやつさ…」
「歩実っ!」
「がんばれ歩実ちゃんっ」
25メートルプールで平泳ぎする歩実の隣を、光彦と元太は応援しながら歩いてく。
「君どれくらい泳げるんだ?」と降谷が尋ねる。スミスは肩をすくめた。
「ハワイまで」
愚問か。と降谷は思って歩実を見た。
「あら。精子は卵子を求めて日本からハワイと同じ距離を泳ぐわよ?」ふふん。とスミスは腕を組むので、降谷は気まずそうに答えた。
「僕、精子じゃないんで」
「ぷはっ!」と歩実がたつ。「あ、歩実にはまだ無理ー!」
「僕も無理でしたよ」とあがる歩実を手伝う。
「俺歩実よりおよげねーから大丈夫だ」
「そういう問題じゃないもん」
「少し休憩したら?」と25メートルのゴールからスミスが言う。
後ろから声がした。「どうだった?」と世良。「まだ無理だろ?」とコナン。
「あははっーー」と走っていく子供に、歩実たちの横の高い椅子に監視員は言う。「プールサイドを走らないでーー君たち……あっ!」
ガタン!と高い椅子が子供がぶつかっていき揺れる。
迫る椅子を歩実が見上げた。
「危ないーー!」
スミスが走り出す。あぁ、間に合わない!思いきり彼女は飛び出しながら言った。
「Keep your head down!!」
「え?」
「頭を下げろ!!」コナンが怒鳴る。
悲鳴とともに子供らが頭をおさえると、スミスが彼らをプールに向かってずらす。
ガァン!という鈍い音がして、ざばぁん!とプールに子供らとスミスが落ちた音がした。
「レディーー!」
「え?」蘭たちは飛び出していった彼が言う知らない女性の名前に、素直に驚いた。
「大丈夫っ!?」皆が顔を出す子供らに聞く。「わ、私たちは大丈夫!」「でもっ」「おっぱいのねぇちゃんが!」
ぷか、と浮いたスミスは目を開けない。
「おい!」ざば!と水に入り彼女を起こした降谷ははっとした。
手が赤いーー「名前さん!」蘭が口元を押さえる。水はだんだん薄い赤になっていった。
コメント
2件
ありがとうございます!
プールでのんびりした空気が続くからこそ、ラストの事故の衝撃が際立ちました。子供たちを守ったスミスさんが血に染まる水に浮かぶ場面、すごく切なかったです。安室さんの「君が生きていればなんでもいいよ」が伏線みたいに響きますね。あと「レディ」っていう呼び名も意味深で気になります…。続きが待ちきれません!