テラーノベル
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楡井「桜さん。何かしたいことありますか?」
桜「…」
ルート抜去が終わったあと
特に済ませる用事がなかった楡井は
そのまま桜の部屋に留まった。
やりたいことを尋ねると、桜は首を振るでも要望を言うでもなく
絆創膏に描かれたニコちゃんマークを見ていた。
楡井「(ただの笑顔に負けるんだ、オレ…)」
という気持ちはさておき。
楡井「…桜さん。外、見てみますか?」
桜「そと?」
楡井「そうです 。
面白いものが見つかるかもしれませんよ」
桜「…ん、みる」
窓に近づくため、楡井が抱っこしようとすると
ガシャッ─
桜を持ち上げた時、一緒にベッドの柵が動いた。
桜「ぃ、ッたい」
楡井「あっ、すみません。1回下ろしますね」
桜「これ、なに?」
それは自己抜去防止に着けた布だった。
楡井「これは桜さんに繋がってた薬の管が抜けないようにするためのものです。
いわばシートベルトのような感じですかね」
桜「…しーとべると?」
楡井「桜さんの安全を守るんですよ」
桜「…へぇー」
もう彼自身は点滴をしていないのでつける必要はないが、
一応確認することが重要なので
楡井はピッチで梅宮に連絡する。
プルルル…プルルル…
さかな
1,622
#WB夢
紅葉 転生
53
梅宮『はい、梅宮です』
2コール目で梅宮は出た。
楡井「梅宮さん」
梅宮『おー、楡井か!どうした』
楡井「桜さんの身体拘束の件なんですけど…」
梅宮『あぁ点滴のやつか』
楡井「先程ルート抜去したので、
もう外していいかなと思いまして」
梅宮『そうだな。もう必要ないしな』
外していいよ、確かにその言葉を受け取る。
楡井「桜さん、取っていいと言われたので
取りましょうか」
右手と柵を結ぶ布を解いた。
楡井「よいしょっ、と。
どうですか。見えますか?」
桜「…たかい」
楡井「ふふ、確かに高いですね。
ここ4階ですから」
桜「おちたら、しんじゃう」
楡井「落ちませんよ。オレがしっかり支えてますから」
桜「…あれなに?」
桜が指さしたのは、住宅街の中でもひときわ目立つ
建物が連なる場所。
楡井「あれは商店街ですよ」
桜「しょーてんがい」
楡井「お店がいっぱいあるんですよ。
洋服とかお薬とか、パンも売ってますよ」
桜「へぇ」
楡井「あ、そうだ 」
桜に検査のことを話してないと気づいた楡井。
楡井「10時になったらもう一度来ますね。
長い針が12で、短い針が10の時です!」
桜「なにするの」
楡井「採血って知ってますか?」
桜は首をかしげた。
楡井「桜さんの腕から、血を採るんです。
少し痛いですけど、すぐ終わっちゃいますよ」
桜はピンと来ていないようだが、
なんとなくこくりと頷いた。
楡井はそのまま病室を出た。
コメント
1件
うわ、14話、すごく良かったです…。絆創膏のニコちゃんマークを見てる桜さんに「ただの笑顔に負けるんだ、オレ」って楡井さんが思うところ、沁みました。あと、窓辺で「落ちたら、しんじゃう」に「落ちませんよ。オレがしっかり支えてますから」って返すのも、すごく優しい信頼関係が感じられて。採血の時間を「長い針が12、短い針が10」って教えるところも、ちゃんと桜さんの目線に合わせてるんだなって。お二人の距離がじわじわ縮まってるの、ほっこりしました。