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レイブの問いにアスタロトは澱みなく答えた。
遥か昔、地球を滅びから救う為に天空に旅立った悪魔達。
彼らが苦難の結果その役目を全うし得た事。
その身のみならず魂魄の本質たる魔核すら砕き、存在すら消したかに見えた悪魔達であったが、事前に魔王種たちから齎された知識によって、復活の準備を整えて戦いに赴いたのだそうだ。
その知識による手段とは、真核を作成し、そして自分と親和性の高い血族に真核をアートマンとして忍ばせて置く事であった。
真核はそれを作った悪魔の体、精神、魔核までも再生する力を持つ。
無論、想像を絶する程長い年月を要するが確実に復活させるのだと言う。
地球を滅ぼすはずだったデイモスの襲来から数千年を経て、徐々に悪魔達が復活し始めているのだ、そうアスタロトは話して聞かせた。
まずは最上位の魔神、アスタロトと三人の兄弟、サタン、バアル、ルキフェル、そして強大な力を持つ死者の王イーチが復活したのだと続けた。
魔神である四兄弟が、それぞれ過去に依り代とした血族から、より純粋性を保持した人間を選んで真核を与えた一族をかつてハタンガに集めて保護したのだそうだ。
言うまでもなくアスタロトが選んだゼムガレがレイブの祖先に当たるらしい。
シパイは神殺しと呼ばれた魔神バアルの真核を、イシビベノムは魔神王ルキフェル、ガトは偶像神サタンをそれぞれ引き継いでいるのだとも説明を加えた。
驚き目を見開いて固まっているレイブに、アスタロトは言葉を続ける。
『悪魔は依り代にした人間に強大な力を与える、シパイの『混沌領域』が良い例だ、あの技は我が兄バアルが得意とする物だ…… ルキフェルの創造力を持つイシビベノブやアイドル神サタンのガトも同様だろう』
「じゃあ俺にも、いいえ俺達スリーマンセルにも神様、アスタロト様の技が使えるんですね」
『いや…… すまぬがそれは無理なのだ』
「え」
暫くの間、口篭って言い難そうにしていたアスタロトであったが、やがて表情を覚悟を決めた物に変えてその理由を話し始めるのであった。
曰く、
四魔神のアートマンを真核という形で受け継いだ者には、かつてハタンガを中心に活動していた幹部たちから、身を守るためのスキルを譲渡されていたと言う。
レイブの一族、ゼムガレの場合は『ロードランナー』、高速で長時間走り続ける事が出来る能力であった。
長じて成人していなければ、強大な魔力を有する魔神をその身に宿す事が出来ない為、それまでの間、依り代を守る為の苦心の策であったという。
万が一、夭折してしまった場合は、次に適した一族の者へとアートマンと共にスキルは受け継がれ、その者の成人を待つ、そう言う仕組みらしい。