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その日の海軍本部はとても騒がしかった。いろんな人間があっちにこっちに走り回っていた。
それもそうだ。エニエス・ロビー、司法の島の頂上にあった世界政府の象徴の旗が麦わらの一味によって打ち抜かれたのだ。それはつまり、麦わらの一味が世界政府に宣戦布告をしたということを意味する。もちろん海軍も黙ってはいられない。麦わらの一味の全員の首に懸賞金がかけられた。記事になるのはもう少し後だろうが……。
にしてもガープさん、すごい勢いで海軍本部飛び出していったな……。行先はウォーターセブンだっけ。俺もついていこうと思ったんだが取り付く島もなかった。
でもエニエス・ロビーの世界政府の旗が打ち抜かれたのなら、もう彼らはすぐにシャボンディ諸島に上陸するだろう。俺自身の準備はもう終わってるけど、どう言ってシャボンディ諸島に行くか……。彼らより先に上陸して待っていたいんだよなぁ……。
エニエス・ロビーのあとはスリラーバークがあって、その一軒が終わってシャボンディ諸島に移動……彼らの行動は早い。もう1週間もないんじゃないだろうか。
「ガープさんが帰ってきたらすぐにシャボンディ諸島に行くって伝えないとな」
その前にセンゴク元帥やおつるさんに先に言っておこう。
俺は2人がいるであろう執務室の方に向かった。
――コンコンコン…
扉の前でノックをする。中から入ってくれとおつるさんの優しい声が聞こえたので、俺はゆっくりとドアノブを引いた。部屋の中には先ほど声をかけてくれたおつるさんとは別に、センゴク元帥もいた。
「おや、ジェイデンじゃないか。どうしたんだい?」
「その、言っておかなくてはならないこと……と言いますか……」
なんと言えばいいのか言葉を選ぶ。
「もう出るのか」
「んぐ……はい、そうです」
センゴク元帥にズバリと言い当てられ、俺は少しだけ口籠った。
「シャボンディ諸島だったか」
「え? 何で知ってるんです?」
「黄猿から聞いたんだよ。お前がシャボンディ諸島の方に行こうとしていたからとね」
「な、なるほど? それなら少し話は早いですね。3日後にはもうここを発ちたいと思っています」
「そうか…。なら4日後にしろ、4日後、シャボンディに行く海兵がいるからそれについていくといい」
「わかりました。お言葉に甘えさせていただきます」
俺は2人に頭を下げる。よし、これで何とかなりそうだ。あとはガープさんにも伝えて、鞄に最低限の物詰めて、それから……
「ジェイデン」
「っ、は、はい!」
突然名前を呼ばれて、俺は思わず背筋を伸ばす。
視線の先には、真剣な表情のセンゴク元帥がいる。
「海賊にはなるな。私は、いや、私たちはお前を捕まえるようなことはしたくない」
おつるさんの方をちらりと見れば、おつるさんも真剣な目つきで俺を見つめていた。
俺は小さく息を吸って、答える。
「俺は旅人なんですよ」
それだけ言って、俺は軽く頭を下げて部屋を出た。
「〝ならない〟とは言わないんだね、あの子は……」
「……あいつが姿を消した4年間の間にアラバスタで少しだけ名を上げた人物、『緋の狐』……もしかしたら、と思う私がいる」
「ジェイデンは、巻き込まれやすい子だからね。でもそれはただの憶測でしかないよ。『緋の狐』が、ジェイデン本人である確証はない」
そう言いながら、おつるはジェイデンが出て行った扉を見るのだった。