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あれから数日が経つが、レンブラントからの返事はない。最近は毎日の様に届けられていた手紙が、急に来なくなってしまった。何度考えてもやはり思い当たる節は一つしかない。


(あんな事、書かなければ良かった……)


冗談を間に受けた自分は莫迦だ。きっと彼を困らせてしまったに違いない。

もうずっとため息しか出ない。



「何突っ立ってるんだよ、遅刻するだろう」


不機嫌そうな声にティアナは我に返り、振り返る。


「ミハエル様……」

「ほら、行くぞ」


強引に腕を引っ張られて連れて行かれる。


「お身体はもう、宜しいんですか」

「……治った」

「それなら良かったです。ずっと休まれていたので心配していました」


そうは言っているが、人の事は言えない。実はティアナも暫く学院を休んでいたので登院したのは昨日からだ。


「なら、見舞いくらい来いよな」


彼は口を尖らせ不満気にしており、拗ねた様に言った。意外な言葉に目を丸くするが、子供みたいだと笑いそうになる。


「申し訳ありません、でも私などが出過ぎた事かと思いまして」

「別に……友人だろう」


消え入りそうな声だったが、ティアナには確りと聞こえた。


(今、ミハエル様、私の事……友人って仰ったわよね)


互いに足が止まる。すると彼は顔を見られたくないのか、手で顔を隠しながらあからさまにティアナに背を向ける。だが耳が真っ赤になっているのが見えた。


「はい、友人です」

「……花、嬉しかった。ありがとう」

「ふふ。喜んで貰えて、私も嬉しいです」


思わず声に出して笑ってしまう。

最近は色々な事があり、気持ちが晴れない事が多かった。だが、ミハエルのお陰で少し気持ちが軽くなった気がした。





「実は私も色々あって暫くお休みしていたんです」


昼休み、何時も通り裏庭でミハエルと二人でお昼を食べていた。

今日彼が登院するか分からなかったので、お弁当は一人分しかない。なのでティアナはミハエルに自分の分のお弁当を半分分ける。


「知ってる。大変だったみたいだな」

「え、あの、ご存知だったんですか」


驚いて彼の顔を見ると、呆れた顔をされてしまった。


「お前さ……俺一応、王子なんだけど。流石に細かな部分までは把握してないが、銀髪が事件に巻き込まれた事くらいは聞いている。まあ報告を受けたのは全て片がついた後だったがな」


ミハエルは話終えると、ティアナから受け取った生ハムとチーズ、トマトを挟んだパンを齧った。あっという間にそれは彼の胃袋に消えていく。食べ方は綺麗だが、何時見ても食べるのが早いと苦笑した。


「おい、早くしないと昼休み終わるぞ」

「食べます! 食べてます!」


ティアナは慌ててフルーツとクリームを挟んだパンを急いで咀嚼する。

横目でミハエルを確認すると、珍しくまだ座っていた。


「花の礼に、お茶を用意する」


急に小声で話す様子を見て、照れているのだと分かった。それは分かったが……脈略の無い話に首を傾げる。


「だから、次の休み城に来い!」


どうやらお茶の誘いだった様だ。

そしてミハエルは例の如く立ち上がりそれだけ言って去って行ってしまった。


それにしても何時も思う。


(教室は同じなのだから、先に行かなくても……)


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