「う、うぅん……。」
長い夢を見ていた。しかし夢の内容なんて覚えていない。ただ一人、印象的な人物はいた。人形エラ、とかいう名前だったか。やけに明るい性格をしていた。しかし印象的だったのは張り付けたような笑顔だったこと。よく笑っていて、どれが本物の笑顔なのか分からないくらい演技が上手かった。夢の内容をもう少し思い出してみる。
「ノーシュっていうんだ!いい名前だね!!僕は人形エラだよ!!」
「人、形…??」
「うん、そういう人外、聞いたことない??」
「知らない…。」
ここまではなんとなく思い出せた。掘り返す必要はないけど、自分が思い出したいから必死に記憶を辿る。しかし何時間記憶を辿っても、思い出すことは出来なかった。人形エラとやらが、なんだか懐かしい存在な気がしたこと、それだけは感じる。実在するのかは分からない。けれどもし、もし実在しているなら、いつか話したい。顔を見て話したい。こう思ってしまう俺を、どうか許してほしい。
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