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いつからだろう。
そばに居ることが当たり前になって、
愛し方が分からなくなったのは。
〈岩本side〉
翔太の家を出た俺は、
真っ暗な2人の家へ帰った。
部屋の雰囲気は重く、空っぽで、
ふっかが作ったであろう料理は冷えていた。
俺、最低なことをしたな。
真っ暗な部屋の中で、
俺は1人、頬を濡らした。
ふっかと付き合ったのは、3年前。
俺があいつに惚れて、告白した。
その時は、何もかもが楽しくて、
2人でいるのが本当に幸せだった。
でも、俺はふっかに甘えてばかりだった。
家に帰ると、ふっかの飯があって、
ふっかが待ってる。
それが当たり前だと思っていた。
その頃からか、
仕事が忙しくなって、
家にはほとんど寝に帰るだけになった。
ふっかとの会話もだんだん減ってきて、
ふと思ってしまった。
“俺は、何でふっかと付き合ってるのか”
俺は今までどうやってふっかを愛してきたか、
月日が経つにつれて分からなくなっていた。
心の中でふっかを思っていても、
あいつが離れていくのが怖くて、
思ったことを言葉に出せなかった。
それがあいつを傷つけているということに、
気づけなかった。
俺は、最低な人間だ。
夜が明けて、俺はふっかにメッセージを送った。
岩 “本当にごめん。会って話がしたい。”
返事はなかった。
その後の仕事は、何も手につかなかった。
目 “照さん?大丈夫ですか?”
岩 “ん、あ、ごめん、なんだっけ。”
目 “なんかあったでしょ。”
俺の会社の後輩、目黒蓮。
営業成績も、俺たち2人ならいつもトップだ。
岩 “何でもねぇって。”
目 “まさか、恋人に振られたとか?”
岩 “は、?んなわけ。”
目 “あ、図星だ、笑”
岩 “違ぇって。振られてねぇから。”
目 “別れる寸前ってことか。”
岩 “うるさいうるさい。早く資料作るぞ。”
目 “はいはい。笑
ま、もし振られたら俺と付き合いますか。”
岩 “ふざけてないで、早くやるぞ。”
その時、携帯がなった。
もしかしたらふっかかもしれない。
そんな淡い期待を抱いて、携帯を開いた。
深 “今日の19時、駅前のカフェで待ってる。”
ふっかからのメッセージだった。
仕事が終わって、駅前のカフェに入ると、
ふっかはもう既に席に着いていた。
岩 “ふっか。”
深 “照、待ってたよ。”
席に座って、ふっかと向き合った。
ごめん、本当は愛してる。
そんなことを言いたかったけど、
その前にふっかが言った。
深 “俺たち、終わりにしよっか。”
岩 “え、?”
深 “一緒にいるべきじゃないと思う。”
岩 “昨日のことは、本当に悪かった。
俺は本気でふっかを愛してる。
ずっと一緒にいたい。”
深 “それが分からないんだって。
照が俺のこと好きだって、分かんないよ。
岩 “愛し方が分からなくなって、
ふっかに辛い思いはさせなくなかった。
でも、結局ふっかを追い詰めてた。”
深 “、、ごめん。
これ以上一緒にいるのしんどいよ。”
岩 “ねぇふっか待って、”
深 “部屋にある俺の荷物、捨てていいから。”
そう言ってふっかは店を出ていった。