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いるまは、学校でも有名な存在
少し鋭い目つき、ヤンキーっぽい雰囲気。
なのに面倒見がよくて、
男女問わず人が集まる。
「いるま様」
そう呼ぶ女子も、
冗談半分で慕う男子も多い。
一方、なつは目立たない。
無口で、愛想もない。
ただ――顔だけは異様に整っていた。
女子から告白されても
「ごめん、興味ない」で終わる。
それが続いて、いつしか
かっこいいけど近寄りがたい
そんな位置に落ち着いていた。
そんな二人が、付き合った。
放課後、誰もいない場所で
なつが震える声で「……好き」と言って
いるまが一瞬驚いたあと、
笑って抱き寄せた。
「俺もだよ」
それだけで、なつは十分だった。
――でも、それは長く続かなかった。
付き合って数日後。
どこから漏れたのか、
クラスに噂が回った。
「え、いるまとなつって
付き合ってるらしいよ」
「は?男同士?」
「きも……」
「なんでよりによって、なつ?」
「いるま様と全然釣り合わなくない?」
最初は、ひそひそ声だった。
でも、それはすぐ“声”になる。
「なつ、お前さ」
「調子乗ってるよね」
「男同士とか、正直引くんだけど」
机に落書き。
靴がなくなる。
体育の時間、わざとぶつかられる。
「いるまに近づくなよ」
「お前のせいで、
いるま様のイメージ落ちるんだって」
なつは、何も言い返さなかった。
言えなかった。
黙っていれば、そのうち終わる。
そう思っていた。
でも、帰り道。
誰もいない廊下で、
背中を突き飛ばされる。
「きもいんだよ」
「男好きとか、マジ無理」
「いるま様だから許されるんだよ」
床に倒れたまま、
なつは歯を食いしばった。
涙が出そうなのを、必死で堪える。
――いるまに、知られたくなかった。
なのに。
「……何してんだよ」
低く、怒りを押し殺した声。
振り向いた瞬間、空気が凍った。
立っていたのは、いるまだった。
なつの視線が、ゆっくり上がる。
「……いる、ま」
いるまは、なつを見ると一瞬だけ表情を
崩し、次の瞬間、
加害者たちを睨みつけた。
「てめぇら」
「俺の前で、よくそんなことできるな」
拳が鳴るほど、強く握られている。
なつは小さく首を振った。
「……いい、から」
それが、余計にいけなかった。
いるまは、なつの前に立つ。
完全に庇うように。
「よくねぇよ」
「俺の恋人、傷つけてんだぞ」
その一言で、周囲は完全に静まり返った。
なつの胸が、ぎゅっと締めつけられる。
――もう、戻れない。
噂は、止まらない。
いじめは、ここからさらに露骨に
なっていく。
そして、なつは少しずつ
追い詰められていく。
それでも、
それでも――
いるまだけは、なつの手を離さなかった。
ーーー
それからの、いるまは変わった。
いや、変わりすぎた。
なつが登校すると、必ず隣にいる。
教室に入る前も、席に着くまで。
休み時間も、移動教室も、昼休みも。
「なつ、どこ行く」
「……トイレ」
「俺も行く」
冗談じゃなかった。
廊下で誰かがなつを見ただけで、
いるまは即座に視線を遮るように立つ。
「見るな」
「用あんなら俺通せ」
クラスメイトは、徐々に距離を
取るようになった。
なつ本人ではなく、いるまが怖いから。
放課後も同じだった。
「今日はまっすぐ帰るぞ」
「……コンビニ寄りたい」
「俺が行く。なつは外で待ってろ」
財布を渡そうとすると、手首を掴まれる。
「いいから」
「一人で行かせない」
力は強くない。
でも、拒否できない圧がある。
ある日、なつのスマホが鳴った。
クラスの男子からだった。
画面を見た瞬間、いるまの目が細くなる。
「誰」
「……クラスの」
「出なくていい」
なつがためらうと、
いるまはスマホを奪うように
手を伸ばした。
「なつ」
「俺以外と、無理に関わらなくていいから」
声は低く、静かで、優しい。
――だからこそ、逃げ場がない。
夜。
ベッドの上で、なつは小さく聞いた。
「……俺って、ッ迷惑?」
一瞬、沈黙。
次の瞬間、強く抱きしめられる。
「ふざけんな」
「迷惑なわけあるか」
なつの髪に顔を埋め、
いるまは震える声で続けた。
「俺も…お前がいないと無理だから」
言葉はほとんど縛るに近かった。
「学校でも、家でも」
「俺の視界にいろ」
「俺がいれば、何も起きない」
なつは、息が詰まるのを感じながらも
その腕から抜け出せなかった。
――怖いのに、
――安心してしまう自分が、いた。
翌日から、噂が変わる。
「なつに手出したら、いるまに殺される」
「近づくのやめとこ」
誰も、なつに触れなくなった。
声もかけなくなった。
孤立。
でも、その中心には必ずいるまがいる。
なつの世界は、
少しずつ、確実に――
いるまだけになっていく。
それを、いるまは
「大丈夫」「安全」「愛してる」
そう言って、正当化した。
そして、なつもまた
その過保護に、
逃げることをやめていく――。
―――
それに気づいたのは、
本当に些細なことだった。
昼休み。
なつが席を立とうとした瞬間、
肩に手が置かれる。
「どこ行く」
振り向くと、いるま。
いつも通りの距離。
いつも通りの声。
「……自販機」
「俺も行く」
その一言で、胸の奥がきゅっと縮んだ。
(……まただ)
自販機の前でも、
なつが小銭を取り出す前に、
いるまが先に ボタンを押す。
「これだろ?」
「……うん」
“選ばせてもらえない”
そんな感覚が、喉に引っかかる。
教室に戻る途中、
遠くで誰かがなつを呼びかけた。
「あ、なつ——」
その瞬間、いるまが一歩前に出る。
「用事あんなら、俺に言え」
相手は言葉を失い、
気まずそうに去っていく。
なつは、何も言えなかった。
言えなかったけど、
胸の奥で、はっきりと思った。
(……俺、守られてるんじゃなくて)
(……管理されてる)
その夜。
部屋に二人でいても、
なつはどこか落ち着かなかった。
スマホを見るだけで視線を感じる。
少し黙ると、すぐ声がかかる。
「なつ、何考えてるんの?」
「別に……」
そう答えるたび、
自分がどんどん薄くなっていく気がした。
布団に入って、電気を消しても、
いるまの腕は離れない。
「なつ」
「俺のそばいろよ」
その言葉に、
なつは初めて“怖さ”を覚えた。
(離れたい、じゃない)
(……一人になりたい)
でも、その言葉を口にしたら、
この腕はどうなるんだろう。
次の日、授業中。
ノートを取っているはずなのに、
文字が頭に入ってこない。
呼吸が浅い。
胸が苦しい。
ふと、隣を見ると
いるまがなつを見ていた。
心配そうに、
でも逃がさない目で。
その瞬間、
なつの中で、何かがはっきりした。
(俺……息、できてない)
休み時間。
なつは珍しく、自分から言った。
「……一人で、トイレ行ってくる」
一瞬の沈黙。
いるまの眉が、わずかに動く。
「俺も——」
「いい」
なつの声は、小さかった。
空気が、張りつめる。
「……なんで」
低い声。
責めるでもなく、困惑でもなく。
なつは、唇を噛んでから、答えた。
「……ちょっと、苦しい」
その言葉を聞いた瞬間、
いるまの表情が凍る。
「俺が?」
なつは、何も言えなかった。
でも、沈黙が答えだった。
いるまの手が、宙で止まる。
「……そっか」
なつが「苦しい」と言ったあと、
いるまはそれ以上、何も言わなかった。
怒鳴らなかった。
責めなかった。
離れもしなかった。
それが、一番まずかった。
その日から、いるまの“優しさ”は
露骨に形を変えた。
「今日は体調悪そうだから」
「無理しなくていいよ」
「俺が全部やる」
ノートも、提出物も、連絡も。
なつが手を出す前に、全部。
「俺以外考えないで」
その笑顔は、
なつのためだと信じきっている顔だった。
昼休み、なつが一人で窓の外を見ていると
いるまが後ろから、そっと声をかける。
「疲れてるなら、俺に言って」
「無理に人と関わらなくていいからな」
そのまま、肩を抱く。
「俺がいればいいだろ?」
その言葉を聞いた瞬間、
なつの胸に、冷たいものが落ちた。
(……それ、俺のためじゃないじゃん…)
(……いるまが、安心したいだけだろ)
でも、そう思ったところで
身体は動かなかった。
放課後。
「今日は俺んち来い」
「一人で帰ると、不安だろ」
なつが何も言わずに頷くと、
いるまはほっとしたように息をつく。
――まるで、
許可をもらえたみたいに。
部屋に入ると、
いるまは鍵をかける。
「外、うるさいしさ」
「ここが一番、安全だろ?」
なつはベッドに座りながら、
小さく聞いた。
「……俺、信用されてない?」
「違う」
「俺が、信用できないんだ」
自分自身を、という意味で。
「なつが離れる想像すると」
「頭、おかしくなる」
そう言って、
なつを強く抱きしめる。
苦しいほど、
でも壊さない力で。
「だから、近くにいさせて」
「それだけで、落ち着く」
それは、懇願だった。
なつの胸が、ぎゅっと締めつけられる。
その重さに、
なつは逆らえなかった。
それから。
なつが一人になろうとすると、
いるまは体調を気遣う。
なつが黙ると、
いるまは「無理しなくていい」
と口を塞ぐ。
なつが考えようとすると、
いるまは「俺が決める」と先回りする。
全部、
善意だった。
全部、
愛してるからだった。
でも、なつは気づいてしまった。
いるまの呼吸が、
自分に合わせていることに。
なつが笑えば、息が整う。
なつが黙れば、焦る。
なつが離れようとすれば、縋る。
(……俺が、酸素なんだ)
その事実が、
なつを震わせた。
そして同時に、
逃げ場をなくした。
――だって、
離れたらこの人は、
きっと壊れる。
なつは、
その責任を背負わされていることを
まだ、言葉にできないでいる。
―――
放課後の教室。
夕方の光が、
机と椅子を長く引き伸ばしていた。
なつは、一人で立っていた。
(……今日、言う)
胸が苦しい。
喉が詰まる。
それでも、もう限界だった。
「少し距離を置きたい」
「別れよう」
何度も、頭の中で言葉を並べた。
――なのに。
約束の時間になっても、
いるまは来なかった。
(……遅いな)
スマホを見る。
通知は、ない。
「おかしいな……」
そう呟いた、そのとき。
ガラッ。
教室のドアが開く音。
ぞろぞろと、
見覚えのある顔が入ってくる。
前に、なつをいじめていた連中。
一瞬で、血の気が引いた。
「……ぇ」
声が、出なかった。
逃げようとした足は、
床に縫い止められたみたいに動かない。
「まだここいたんだ」
「一人? いるま様は?」
嘲るような笑い声。
次の瞬間。
鈍い衝撃が、頬に走った。
視界が揺れる。
床に倒れる前に、腹に蹴りが入る。
「っ……」
息が、抜ける。
「調子乗りすぎなんだよ」
「マジで気持ち悪い」
何がどこに当たっているのか、
もう分からない。
肩。
背中。
脚。
蹴られて、殴られて、
身体が勝手に丸くなる。
(……いるま)
名前を呼ぼうとして、
声にならなかった。
頭が、真っ白になる。
(来て……)
でも同時に、
ひどく、ひどく思ってしまった。
(……来ないで)
この場面を見せたら、
あの人は、きっと――。
誰かが言った。
「ほら、起きろよ」
「まだ終わってねぇだろ」
腕を掴まれて、
無理やり立たされる。
視界が霞む。
音が遠い。
(……俺、別れ話しに来たんだっけ)
その考えすら、
次の衝撃で途切れた。
教室の床に倒れ込み、
なつは動かなくなる。
そのとき――
廊下の奥から、
ありえないほど重い足音が近づいていた。
ドアの向こうで、
何かが壊れる音がする。
――そして。
ガラッ、という音が
さっきとは比べものにならないほど
荒々しく響いた。
「……いるま……、ッ」
その名前を口にした瞬間、
なつの張りつめていたものが
一気に切れた。
涙が、止まらない。
そこに立っていたのは、
間違いなく――いるまだった。
息が荒く、肩が上下している。
目は、なつしか映していない。
次の瞬間。
いるまは、一切の躊躇もなく動いた。
なつを囲んでいた一人の胸ぐらを掴み、
壁に叩きつける。
「……触るな」
低く、抑えきれない怒り。
拳が振るわれ、
鈍い音が教室に響く。
止まらない。
蹴り飛ばし、動けなくなるまで。
誰も、止められなかった。
止めようとも、思えなかった。
――全てが終わったあと。
教室には、重たい沈黙だけが残る。
いるまは、震えるなつのもとへ戻り、
ゆっくり、ゆっくりと腕を回した。
壊れ物を扱うみたいに。
「……悪かった……」
「遅くなった、ごめんな……ッ なつ」
なつは、その胸に顔を埋めて
嗚咽混じりに言った。
「……いるま…助けてくれてありがとうッ…」
「……大好き……」
その言葉は、
付き合ってから初めて口にした、
飾りのない本心だった。
危機から救われた脳と心が、
この人は“???”だと
深く、深く刻み込んでしまう。
いるまは、少しだけ目を見開いてから
いつもの――
なつが一番好きな、
爽やかな笑顔を見せた。
「……そっか」
頬に触れる手は、優しい。
なつの頬についた赤を見て、
ハンカチを取り出し、丁寧に拭う。
「こんなになって……」
「もう大丈夫だからな」
軽く、額に。
そして、そっと唇にキスを落とす。
なつの身体が、びくっと跳ねたあと
力が抜ける。
頭を撫でられて、
その手の温度に、完全に身を委ねた。
「……いるま……ッ」
「すき……すき……」
照れたように、
でも嬉しそうに、何度も。
「すき……」
その笑顔は、
さっきまで殴られていた人のものとは
思えないほど
満たされていた。
――守られた。
――選ばれた。
――必要とされた。
なつの世界は、
この瞬間、完全にいるま中心に
組み替えられた。
そして、いるまは
その変化を、
誰よりも近くで、確かに感じ取っていた。
腕を、少しだけ強くする。
「……俺がいる」
「ずっと、そばにいる」
それが、
救いなのか、
それとも――
もう戻れない依存の始まりなのか。
なつは、もう考えなかった。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
フォロワー200人ありがとう🥹
コメント
6件
めっちゃ良くて本当に好きです、🥲 もし、主様がいいのであればリクエストしてもよろしいでしょうか、?🤔
ぁぁぁぁだいすきです😭😭😭😭😭😭😭😭😭
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