テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ベルリウム
1,646
#スプランキーOC
ベルリウム
132
166
僕は、僕はね。君が苦しんでる顔を見たいんだ。
君は目も眩むほど明るくて。迷う君が、躊躇う君が、全てを諦めた僕にとって何よりも綺麗で。光を失うことこそあれど、濁りはしない君の目が、何よりも憧れだった!
少しだけ、僕の話になってしまうんだけど。
僕は、捨てた。偽りのアイデンティティだけを掲げて、馬鹿のひとつ覚えみたいに他を擲った。悩むのも抗うのも苦しくて、投げやりに、自分を捨てた。
心のどこかでは思ってた。これでいいのかなって。でも、仮面を破ってしまうには遅くて。今更後戻りもできなくて、怖くて、怖くて、仕方がなかった。
怖いんだ。君の前でさえ、嘘を吐かないことを恐れるんだ。君の光があるなら、きっといつか照らされてしまうのに。
あの日、君は、僕に洗いざらい打ち明けてくれたね。君の本当の心を。僕が手を伸ばせるはずもない君の闇を。
それが、本当に、嬉しかった!!
君の目が翳る様を、幾度となく描いた夢想を、眼前に、差し出されて!!
嬉しくないわけ、ないでしょ。
迷う君に憧れた。躊躇う君に憧れた。これでいいのかなってぐるぐる悩んでひとりで泣いてそれでもどうしようもなくなって、昏い瞳で僕を見る君が、羨ましくて憧れで心から尊敬してる!!!
選ぶことを忘れた僕の人生に、薄弱な星あかりが差し込んできた気持ちを、どう思う!?忘れられない、もう一度、もう一度あの顔を見せて!!
絶望に沈んで欲しいんだ。もう何も分からないって嗚いて、助けてって恃んでほしいんだ、僕はずっと傍に居るから。
綺麗だよ、君はずっと綺麗だよ。僕なんかよりずっと綺麗。だからそのままでいてね。諦めないで。最後の最期まで踠き苦しんで自分が正しいかも知らないまま死んでね!?お願い!!
読めなかった? 読めなくていいよ。
そもそも、活字の苦手な君が、こんなところまで読んでいるのかは知らないけど。
(裏面)
君を苦しめてみたいなあ、でも拳は使いたくない。できることならその背中に踵を打ち込んで崩れ落ちる君を見たいんだ。振り向きざまに君は言うでしょ、「どうして」って。不条理に打ちのめされる君はさぞかし見下し甲斐があるだろうと思うんだ!友達だと思っていた僕に酷い言葉をかけられて狼狽する君もその後ひとりで勝手に自責を始めちゃう君も等しく鮮明に描き出せるものだから眩しくて夜も眠れない!あの日頬を打たれた君はそれでもなお声を荒げることすらしなかった。けれど僕は知っている、君が裏切り者と呼ばれて酷く傷ついたことを知っている。たくさん見殺しにした君、見分けもつかない夥しい量の返り血を纏う君。僕に教えてくれた君のいちばん大きなトラウマを使って君の心に癒えない傷を残したいんだ、信用していた友達に裏切られて崩れ落ちる君が見たい!それでも君はこれまでの自分の行いに首を絞められて助けを求めることすらできないんだ可哀想に!!優しい君は誰かを責めることを知らなくて、自分ばかり悪人なのだと思い込んでいて、だからそんなに簡単に命を投げ出せるんだ。もしこの予測が正しいのなら僕は君を縛り付けて檻に閉じ込めて誰とも話せないようにすればいい、誰も救えない君は他でもない君を追い詰めてしまうに決まってる!君を殺せるありとあらゆる言葉を辞書で引く癖が治らない、君があの日打たれた頬にどうしようもなく目を奪われてしまうんだ。絆創膏を貼ってあげたね。もう腫れも赤みも引いたんだ。けれど記憶は君の脳髄に巣食って一生君を放しはしない、君はこれから一生苦しんで生きるんでしょ。いっそのことあの日を記念日にして毎年毎年君の目の前で祝ってしまいたい!君の心を折って嬲って穢して壊して、それでも、それでも立ち上がろうとする君が、見たい。夢見る君が抱く理想を毎日毎日毎朝毎晩嘲って、それでも君の歩みを止められなかった時に味わう、史上の恍惚を浴びて死にたい!!!諦めないでね、苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんだ末に、夢を叶えてね、その時はやっと、僕が、君を、やっとこの手で
こんな友達でごめんなさい
(───裁断された紙片)
コメント
1件
うわあ、これは…重い。でも、すごく引き込まれました。 「僕」の歪んだ愛情っていうか、憧れと執着がぐちゃぐちゃに混ざってて、読んでて息が詰まるような感覚になった。特に「君の苦しむ顔が見たい」って言いながら、同時に「君の光にいつか照らされるのが怖い」って矛盾が、すごく生々しくて。 最後の「こんな友達でごめんなさい」って小さな文字が、めちゃくちゃ刺さる…。裁断された紙片っていう演出も、物語の断片感を強調してて好きです。 ベルリウムさんの描く狂気は、いつも丁寧で美しいですね。続き、気になります。