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第一章:沈黙の序章
柊一(しゅういち)「……七年ぶり、か」
紗季(さき)「あの場所に戻るつもり? やめたほうがいいよ、何も変わらない」
柊一「変わらないのは、奴らの顔だけだ。心も罪も、何一つ変わっちゃいない」
紗季「復讐なんてしても、あの子は帰ってこない」
柊一「だからこそだ。あいつの魂を、無駄にしないために……全員、裁く」
紗季「お願い、もう過去にしようよ。私たち、生きなきゃ」
柊一「俺は“生きるため”に殺す。俺からすべてを奪ったやつらを、一人残らずな」
紗季「……止めても無駄なんだね」
柊一「すまない、紗季。でもこれは、あいつと交わした最後の約束なんだ」
第二章:影の名簿
柊一「まずは“鹿嶋 透”――今は都議会議員か。いい椅子に座ってるじゃねぇか」
紗季「本当に、やるつもりなの……?」
柊一「ああ。アイツが一番最初に手を出した。妹を“事故”に見せかけて殺したのも、こいつの指示だ」
紗季「でも透さんはもう別人だよ、今は正義を語る政治家で……」
柊一「正義を語るやつほど、汚れてる。まずは、顔を暴く」
紗季「やり方は?」
柊一「証拠は揃えてある。次は、“公の場”で地獄を見せてやる」
第三章:第一の断罪
柊一「皆さん、ご静聴ありがとうございます。今日は“都議会議員・鹿嶋透”氏の演説会です」
透「……? 誰だ君は、ここは立ち入り禁止の……」
柊一「七年前の事故を覚えてますか? 黒川美月、16歳。君が命を奪った少女だ」
透「ふざけるな、警備! すぐに……」
柊一「逃げられませんよ。その時の音声記録、メール、共犯者の証言……全部、ここにあります」
透「やめろ……やめてくれ……」
観客A「これ、本当なの?」
観客B「あの鹿嶋が……?」
柊一「これは始まりにすぎない。“次”はもっと、深く潜っている」
透「……お前、誰だ……」
柊一「黒川美月の兄。お前の地獄は、まだ始まったばかりだ」
第四章:黒幕の影
紗季「透さん……自殺したって……」
柊一「想定内だ。自分の醜さに耐えられなかっただけだ」
紗季「次は……誰?」
柊一「“灰原明日香”。当時の検事。あの事件を揉み消した女だ」
紗季「彼女は優秀な人だった。昇進して検察トップに近い位置まで来てるよ」
柊一「だからこそだ。地位も名声も、自分のために使っただけ」
紗季「柊一……あなた、もう戻れないところまで来てる」
柊一「ああ。それでも構わない。俺の命の価値なんて、妹が死んだ日になくなった」
第五章:断罪の連鎖
明日香「黒川……? あの時の、兄?」
柊一「あなたがいなければ、妹は報われた。なのに、あなたは“示談”という言葉で、罪を買い取らせた」
明日香「あの時、私は守るべき正義と現実の板挟みにいた。どうにもならなかった」
柊一「なら、今度は“現実”があなたを裁く番だ」
明日香「何を……する気……」
柊一「公開されるよ。あなたが闇で捏造した資料、改ざんした証拠、封じ込めた証人」
明日香「それは……どうやって……!」
柊一「全部、妹が生きていたら見たかった正義の形だ」
明日香「……あなた、本当に、もう人間じゃないのね」
柊一「そうだよ。“あの日”俺は人間をやめた」
第六章:裏切りの代償
紗季「……全部、記者に渡しておいた。あなたの計画、私が止める」
柊一「なぜだ?」
紗季「あなたはもう“柊一”じゃない。復讐に取り憑かれた亡霊」
柊一「なら、お前もあの日に死ねばよかった。そしたら、理解できただろう」
紗季「その言葉、後悔するよ。私は……ずっと、あなたを守りたかったのに」
柊一「なら、俺を止めてみろ。命をかけてな」
最終章:最後の炎
柊一「お前が……最後の“罪”だ、日向(ひゅうが)」
日向(元刑事)「やっと来たか、黒川の兄。よくここまで辿り着いたな」
柊一「お前が全部仕組んでいた。事故、捏造、揉み消し、そして証拠の抹消」
日向「妹を売ったのは俺じゃない。売ったのは、お前の“信じた世界”だ」
柊一「黙れ」
日向「お前の正義は自己満足だ。妹が望んでたのは、こんな地獄じゃない!」
柊一「うるさいっ!!! 妹は、何も言えずに死んだんだ……俺が、代わりに叫んでやるしかなかったんだよ!!!」
日向「……泣け。叫べ。だが、殺せばお前もあの時と同じになるぞ」
柊一「……」
紗季(現れる)「柊一……終わらせよう、ここで」
柊一「……妹の声が、聞こえた気がした。笑ってた。ありがとうって、言ってくれた」
日向「なら……撃てよ。俺の命で、終わるなら」
柊一「違う……終わらせるのは、お前の命じゃない。“俺の”復讐心だ」
柊一(拳銃を床に捨てる)「さよなら、妹……やっと、明日が来る」
終章:祈り
紗季「柊一……帰ろう」
柊一「ああ……ただいま、紗季」
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