テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
えっと♡1000越えなのは何事ですか???
夢でも見てるのかな??
ちょー嬉しいんですけど🥹
コメントもまっじうれちぃ😍
全然雰囲気変わるけど最終章です
どぞ
「——なつ」
声に出した瞬間、世界が静まった。
彼の目が、ゆっくり見開かれる。
「……やっと」
小さく、笑う。
なつ。
小学校からずっと一緒で、
俺より背が高くて、
紫色が好きで。
紫苑を見るたびに、
「いるまの花みたい」って笑ってた。
全部、戻ってくる。
「ごめん」
言葉が、勝手に落ちる。
「俺、怖くて……お前のこと思い出すの」
あの日から。
救急車の音も、病院の匂いも、
なつのお母さんの泣き声も。
全部、自分のせいだと思ってた。
だから、閉じ込めた。
忘れたふりした。
紫苑だけは、なんでか毎年来てたくせに。
なつは首を振る。
「いるまのせいじゃない」
「でも俺が——」
「違う」
少し強い声。
「おれが、走ったの」
夕焼けの中で、彼はちゃんと俺を見る。
「早く会いたくて」
胸が、痛い。
「だからね」
なつは紫苑を差し出す。
「後悔で覚えててほしくなかった」
花びらが、指の間からこぼれそうになる。
「忘れないで、って意味」
静かに言う。
「でも、“苦しみ続けろ”って意味じゃないよ」
紫苑が風に揺れる。
「追憶ってさ」
彼が笑う。
「ちゃんと思い出して、大事にすることだと思う」
涙が落ちる。
止められないけど、叫ぶほどじゃない。
ただ、静かに溢れる。
「俺、忘れない」
ちゃんと、言う。
「なつのこと。あの日のことも」
逃げない。
「でも、ちゃんと笑う」
なつの目が、やわらぐ。
「うん」
その輪郭が、ゆっくり薄くなっていく。
もう透けてる。
夕焼けが、向こう側まで見える。
「いるま」
「なに」
「好きだったよ」
心臓が跳ねる。
でも、不思議と苦しくない。
「……知ってる」
ほんとは、気づいてた。
言わなかっただけ。
なつは、満足そうに笑う。
「紫苑が咲いたら、思い出して」
「うん」
「でも、前を向いて」
風が吹く。
花びらが舞う。
その中で、なつの姿が溶けていく。
最後に残った声。
「あなたを忘れない」
それは、たぶん俺の言葉でもある。
◇
翌年の秋。
紫苑は、また咲いた。
俺はフェンスの前に立つ。
「今年も、咲いたな」
風が揺らす。
もう姿は見えない。
でも。
胸は、前より静かだ。
忘れてない。
苦しみのためじゃなく。
ちゃんと、思い出として。
紫苑は、遠くにある人を思う花。
届かなくても、消えなくても。
ただ、大事にする花。
俺は一輪、空に向けて掲げる。
「じゃあな、なつ」
風が、優しく吹いた。
紫苑の花言葉
「追憶」
「あなたを忘れない」
「遠方にある人を思う」
コメント
2件
完結おめでとうございます🎉 主🈂️の作品の書き方がすごい好みで大好きです🥹 これからも頑張ってください😻