家族の名前いわゆる苗字が無いものは、下民。下民で終わっていたら、まだマシだった。住むための家さえ無くなったものは、強制的に施設に運ばれる。 施設、そう聞くとなんだか生活が保証されるかのような響きがあるが、実際は、牢屋と同じ。 違うとすれば、血液管理があり、血液が採られる。
そして俺は、吸血鬼の家畜となった。
「カーネル、準備をしろ!」注意とは、程遠い命令口で声をかけるられる。今日会ったばかりだけど、この接し方には、慣れている。命令に従えばいいだけだ。 「腕を出せ!」服は、ボロボロで裾が長い訳もなく、腕を突き出して、命令に従う。彼らは、鼻でふんっと確かめたように偉そうに頷いたあと、ある器具を持ってきた。
家畜の人なら分かる。血を吸血する物だと。周りの家畜は、怯えていた。当たり前だ。こんなの痛いに決まっている。
そんな痛みを終えたあとは、日々彩りが変わらない日常を過ごす。
「くそ、本当になれないなぁ。」赤く傷んでる腕を抑えながら、そう呟く、ハカヤ。2週間前に来たやつだけど、良い奴で直ぐに打ち解けた。
「でも、カーネルは、すごいなぁ。もう塞がってるな。」自分の腕を抑えながらも、俺の腕を見るハカヤ。
「慣れてるから?……」自分でも分からない。ただ、痛いのには、変わりない。治りが早いからか、皮膚のカサブタは1日一日で取れて、皮膚がぼろぼろになるわけもない。そのわけか、皮膚が頑丈になることもない。痛いに決まっている。
「そーいえば、吸血鬼が直接血を飲んだら痛くないって知ってるか?!」目を輝かせながら、高ぶった声で彼は、言う。
「……痛いよ。」
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