昼間に、会った彼は誰なんだろう?
夜、ベッドに横になりながら考える。
私は長い間、この病院に入院しているが、生憎見覚えはない。
そして何より、お礼り言ってない。
「明日、会えるといいなぁ。」
少し期待して、胸を踊らせながら眠りに就いた。
私は彼を探すと誓って、今は後悔中だ。
何故かって?
大方、一時間は院内をうろうろしているが、中々見つからない。
お陰で、顔見知りの看護師さんからは、「何してんだコイツ」みたいな視線を頂いている。
「(他にも行っていない所は…)」
「…あるにはあります。」
…否、そもそも彼は患者さんなのか?
親族の、見舞いに行っていた可能性もある。
私服だったし。
「行くだけ行ってみますか。」
と言うことで来たのは、図書室だ。
図書室と言っても、殆どが難しい本ばかり。推理小説とか。
絵本等は、数冊しかない。
「いませんね…。」
今日は諦めるか…。
図書室から出ようとすると、カーディガンの袖がクイッと引っ張られた。
振り向いて下をみると、そこには長い髪をお下げに括った可愛らしい女の子がいた。
年は小学生ぐらいだろうか。
「どうかしましたか?」
「…本、よんで。」
女の子が、差し出した本を見て驚いた。
「えっと…。」
「………。」
彼女が持っている本が、子供が読むような本じゃなかっただったからだ。
私も読んだことがある。確か、主人公の親友が事件の黒幕だったはずだ。
中々グロテスクな表現もあるため、あまりお勧めできない。
「?どうしたの。」
「あ、はい。いいですよ。」
しまった。押しに負けて思わず、本を受け取ってしまった。
受け取った物を押し返す訳にもいかない。
読んであげよう。
私は女の子を連れて椅子に座り、本の内容を声に出して読み上げた。
結果。
「スッゴくおもしろかった!」
「っふふ、それは良かったです。」
少し…いや、大分懐かれた気がする。
元々この子は、頭が良い…と言うよりは、努力家みたいだ。
難しい言葉でも、ちゃんと意味を理解しようとしていたし、大人びている。
「…それにしても、おねぇさんって かわってるね。」
「…。」
小学生で推理小説を読む貴女が言います?
「だって、だれもよみ聞かせしてくれないんだもの!よみたい本があっても、みんな気味悪がって読んでくれないし。」
女の子は、不貞腐れたように言った。
「だれも、わたしのことなんか分かってくれない。」
その姿は、年相応に見えた。
「私は友達も居ないので、気の効く事は言えませんが…、
ありのままの自分でいていいと思います。」
「え…?」
「貴女の人生は、貴女のモノです。
自分の意見を、突き通していいんですよ。」
「…ふふふ、ありがとう。おねぇさん!」
女の子は安堵の表情を浮かべた。
少し長かったかな?
幼女っていいね…(?)
♡···100
コメント
8件
えーと 、 尊いですね...()ෆ