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公式ウォームアップ。
俺は緊張で震えながら対人パスをした。
「 ふぅ… 」
「 わかる。わかるよ叶くん。俺何回試合出ても慣れない… 」
三波さんがひきつった笑いと共に言った。
「 こら楓良!叶にそんなこというな!お前もそろそろ慣れろ! 」
後ろから喜清先輩が言う。
そして試合開始。
条善寺高校は自由奔放で読めないプレースタイル。
「 よっしゃ~!!遊ぶぞ~!! 」
向こうの横断幕は「アソビバを作れ!」
アソビバ…アソビバってなんだろ…
プレーを遊ぶこととしてる条善寺…
その遊び場…
あ、土台のことか。
遊ぶには遊ぶ場所が必要。そのことか…!!
「 サッコーイ!!!! 」
飛和の打ったサーブを目で追いかける。
レシーブされボールが条善寺のセッターの頭上にくる。
すると条善寺はスパイカーもブロッカー全員一気に出てくる。
フォローもなし。
誰が打つか分からない。
そして俺は動けなかった。
でも蘭はブロックに飛んでいた。
トスが上がったのを見てからするリードブロック。
俺は冷静に物事を対処するのが下手だ。
だから、動けなかった。
「 クッソ…ワンチ…! 」
蘭は初見でワンタッチをした。
でもきっとトスを見てブロック飛んでる。
リードブロックだ。
俺が苦手なやつ。
それからトスに繋がり晴香さんがバシッと点を決める。
「 晴香さんナイスキー! 」
「 ナイスキー 」
あぁ、なんかジレンマはまりかけてる。
自分の今の実力で太刀打ちできる相手なの…?
負けちゃうかもしれない。
どうしよう、ベンチ下げられるかも…
トスも、上げて貰えないかも…
「 なに考えてんのさ、何考えても試合は止まんないんだよ? 」
嫌味な蘭の声が今はただただ「そうだね」と言わざるを得ないと思ってしまった。
「 そんなことしてたら飛和に笑われんじゃないの?あ、仲良くしないとだから良いのか 」
こうやって蘭は俺のことを煽るけどきっと心では真剣に俺にしっかりしろって思ってんだろな…
それに、
飛和に笑われんのだけはいやだ!!!
「 飛和!負けねぇーかんな! 」
「 はぁ?何と戦ってんだよバカ 」
「 叶くんと早瀬くん、何か言い合っている感じですが… 」
ベンチから武田先生が呟く。
だけどその横に居る鵜飼さんは
「 大丈夫だ、喧嘩じゃなさそうだからな 」
と笑った。
俺と飛和は喧嘩が少ないとは言えないけど飛和のことが嫌いとは思わない。
たまにホントにムカついたら「こいつ嫌い」とも思うけど…