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「この馬鹿。阿保。ガキ。弱。自分より体が小さい女に負ける気分は〜?」
「ああもううるさいな!フェルマータ、ちょっと静かにしてくれない?」
俺は、今魔法の練習場にいる。けれど、誰も俺に魔法を教えられそうな人がいない。みんな忙しいそうだ。会議があるとかなんとか。というわけで、俺は今ものすごく口の悪いフェルマータと魔法の特訓をしている。
「何回やったらできるようになるんだぁ?そんな弱っちい光線じゃ命奪えないだろ!」
「いやなんで殺す前提なの!?ほんと魔法って野蛮だな…この組織もだけど」
「…あっちの闇組織よりはホワイトだよ!ここは!あそこなんて毎日1人は殺すのが当たり前だぞ?」
「闇組織ってさっきから言ってるけど何!!」
という調子で、口喧嘩をしながら練習をしているのだが…
全く上達する気がしない。
すると、練習場の扉が開いた。
「あら、頑張ってるじゃない。懐かしいわねぇ…私もよくここで特訓したっけ」
「彩さん…?仕事は?」
「ちょっと疲れたから休憩。でも、ごめんなさいね。私が教えられることはあんまりないし…教えるの苦手だし…」
いやいやあんな口の悪いフェルマータと練習するより悪魔…いや天使みたいな彩さんに教えられる方がいいです!!
「教えて欲しい?誘惑に使う魔法」
「あ、大丈夫でーす…」
やっぱり悪魔だ…
彩さんはしっぽをゆらゆら揺らしながら、得意げに微笑んでいる。
「でもだいぶ上達したと思うし…人間なんだから、魔法を使えることでも凄いのにね。どう?フェルマータと一戦交えたら?」
「えー…フェルマータ…」
「俺は別に構わないけどな…怪我してもいいんか?」
「うーん…防御魔法で防ぐよ」
「じゃあやるか。彩、審判」
「…はいはい。凪野くん、頑張ってね〜」
てかフェルマータって、どんな魔法使うんだろ。普通のやつかな?
「じゃ、いくぞ」
「攻撃魔法〈アングリフ〉!」
だいぶ上達したし!
「あまーい。スタッカート」
「えっ?」
何今のー!!消えたんですけど!?
これがフェルマータの魔法…音楽で使う名前が由来なのかな…
「いくぞ。f.f.f.fm」
「?」
こっちも仕掛けないとかな…でもまたさっきみたいに防がれたら困るし…
とりあえず防御張って…
「刃物魔法〈シュヴェールト〉」
これやっと使えるようになったんだよなぁ…うん。
フェルマータは防御を張りながら、身軽に避けていく。くそ、当たらないかぁ…
じゃあこれだ!
「破壊魔法〈ツェアシュテールング〉!」
「お…」
俺の家の壁を破壊した魔法…今度は練習場のフェルマータの近くの壁が破壊された。
「危なっ!ちょっと、練習場壊さないでよー」
「あ、ごめんなさい…えいっ!」
「はーっ…まぁ、結構魔法には慣れたんじゃね?まだまだだけどな」
「フェルマータ。だって凪野くんと私たちでは魔法を使っている年月が違うもの。でもちょっと今日はこれぐらいにしない?じゃないと建物が壊れるってぇ…リリー先輩たちに起こられるよ?」
「うっ…フェルマータ、今日はこのくらいに…」
「そうだな。よし、帰るぞー」
「さよなら。もっと仲を深めてねー。仲良しになってちょうだいよ。あと、今度は私が魔法教えてあげる」
「え…教えられるんですか?」
「失礼ね。あと他の教官にも空きをもらっとくから。あ、もうこんな時間!潜入先に戻らないと〜」
「ずっと気になってたんですけど、彩さんってどこに潜入してるんですか?」
「えー?内緒」
「内緒て…」
「君にいえないくらい危険なところなの」
そうなのか…?