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ショコラ🐤
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この時間ならみんな帰ってきてるかな…?
夜も遅くなり、外では雨が強くなっていた。
窓を叩く雨音を聞きながら、ほとけはソファにもたれてぼんやりしていた。
発作は落ち着いたものの、体力をかなり消耗したせいで身体が重い。
「眠いなら部屋戻る?」
りうらが隣で聞く。
「……まだ起きてたい」
「珍しい」
「今日はなんか……一人嫌かも」
ぽつりと漏れた本音に、兄たちは一瞬目を丸くした。
普段のほとけは、苦しくなると逆に部屋へ閉じこもることが多いからだ。
「……そっか」
ないこが優しく笑う。
「じゃあ今日はみんなでリビングいる?」
「仕事の書類あるけどなぁ」
初兎がテーブルのカルテを見ながらぼやく。
すると悠佑が肩を竦めた。
「ここでやればええやん」
「確かに」
そうして結局、兄たちはリビングに居座ることになった。
悠佑はいふと難しい症例の話を始め、ないこはノートパソコンを開き、初兎は書類と睨めっこ。
りうらは静かに紅茶を淹れている。
その光景を見ながら、ほとけは小さく毛布を抱えた。
不思議だった。
みんな別々のことをしているのに、ちゃんと“ここにいる”感じがする。
孤独じゃない。
それだけで、胸の奥が少し温かかった。
「ほとけ、紅茶飲む?」
りうらがマグカップを差し出す。
「……ありがと」
両手で受け取る。
温かい。
ほわりと湯気が上がって、張っていた呼吸が少し緩む。
その時。
「そういや学校どうするん?」
初兎の何気ない一言で、空気が止まった。
ほとけの指先がぴくりと震える。
俯いたまま、答えられない。
行かなきゃいけないのは分かっている。
でも行けない。
体力もない。
途中で倒れることもある。
周りの視線も怖い。
欠席ばかりで、クラスに居場所なんてもうない。
静かになったリビングで、悠佑が初兎を軽く睨んだ。
「今その話する?」
「あっ……悪い」
初兎もすぐ気づいたらしい。
けれど、一度出た言葉は消えない。
ほとけはぎゅっとマグカップを握った。
「……ごめん」
まただ。
また謝ってる。
自分でも分かってるのに止められない。
「僕、ちゃんと行かなきゃなのに」
声が少し震える。
「でも……行こうとすると怖くて」
喉が詰まる。
「みんな普通に学校行ってるのに、僕だけできなくて……」
息が浅くなる。
視界が滲む。
「僕、ほんとにダメだなって……」
その瞬間。
「誰がダメや言うた」
低い声だった。
いふだった。
ほとけが顔を上げると、いふは真っ直ぐこちらを見ていた。
「身体しんどい状態で学校行くんが、どれだけ大変か分かっとる」
「……」
「お前はサボっとるんやない」
静かな声。
でも力強かった。
ないこも続ける。
「学校に行けるかどうかだけで、人の価値は決まらないよ」
「でも……」
「ほとけ」
今度は悠佑。
「お前、自分に厳しすぎる」
「……」
「もっと、自分を甘やかしてええねん」
その言葉に、ほとけは思わず苦笑した。
「悠佑兄、それ患者さんにも言ってる?」
「言っとる」
「絶対モテるじゃん……」
「なんやそれ」
兄たちが笑う。
その空気に、少しだけ呼吸が楽になる。
りうらが静かに口を開いた。
「学校って、“行かなきゃいけない場所”ではあるけど、“命削ってまで行く場所”じゃないからね」
優しい声だった。
「ほとけが生きてる方が大事」
その一言で、涙が溢れた。
ぽろぽろと止まらない。
「っ……ぅ、……」
「おー、また泣いとる」
初兎がティッシュ箱を差し出す。
「今日涙腺壊れてんちゃう?」
「……うるさい」
鼻声で返すと、また笑いが起きた。
ほとけは涙を拭きながら、小さく息を吐く。
外の雨はまだ止まない。
でも今は、その音さえ少し心地よかった。
お名前書きしてみたい、って言ったらダメですか…?
コメント
2件
ぜひお名前書きしてください‼️ 投稿ありがとね💕︎