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⚠︎口調違い、解釈違い⚠︎
「きんさんって、好きな人いないよね」彼は突然掃除中、自分の手を止め2人きりの時に言った。俺も思わず手を止める。
「え?まぁ居ないけど。なんで?」
「ふと思っただけ」
と彼は再び手を動かし始める。彼のマイペースだろうと溜息をつき、掃き掃除を進める。
「もしさ、誰かに告られたら、付き合う?」
「ん〜人によるけどなぁ…どうだろ」
「だよねぇ〜」
その会話の後は彼と一切目を合わせずに黙々と進める。彼はなぜ聞いたのだろう。誰かに聞いて、と頼まれたのだろうか。はたまた普通に気になっただけなのか。考えたところで答えが出てくるはずもない。なんだかその事だけが気がかりでずっと飲み込めずにいた。
「終わった?」
「うん。終わったよ」
「一緒に帰らない?」
彼から初めて聞く言葉だった。彼は家がそんなに近い訳では無いし、とくべつ仲が良くはないので少し動揺した。
「いいよ」
「やった!初めてだね」
彼は机に置いてあったリュックを勢いのまま掴み背負う。
「じゃ、帰ろっか」
と彼は夕日が差し込む廊下に溶け込んで行った。俺はハッとなり掴んであったリュックを背負い追いかける。
「お、おい!なんでさき、に…」
廊下に飛んでいくと出たすぐそこに座って項垂れていた。
「大丈夫?!」
「うん。驚かそうとしただけ!びっくりした?」
「びっくりしたもなにも…まぁ大丈夫ならいっか。帰ろ」
いつもマイペースな彼について行きながら俺たちは夕日に包まれる。彼の顔は夕日のせいでいつもより赤く見える。
「またね。また明日」
「うん。じゃあね」
と手を振り家の方向に振り返る。今日あったことを考えながらトボトボと1人で歩く。どんなことよりも鮮明なのが彼、broooockとの会話だ。好きな人なんか聞いてどうするつもりなんだろう。告白されたら…なんて聞いて何があるのだろう。とまぁ年中恋人がいない人が考えても答えは出てこないだろう。正直、異性の気持ちなんぞ分かるはずながない。所詮他人だし。
「きんとき〜!移動教室行こ」
いつも明るい声で話しかけてくれるのは、nakamuだ。いつもバカ話で笑い合いながら帰る。昨日は少し変わった日なだけだった。
「うん。ちょっとまってね…」
急いでカバンから荷物を引っ張り出しnakamuの元に行く。
「勢いこわっ笑」
「えっ?笑」
と2人で爆笑をする。こんなつまらないことでも笑い合えるのは親友だなと再認識する。
「きんさん、落としたよ。」
振り返るとそこにはbroooockがいる。その手には俺がさっき落としたと見られるハンカチ。
「あぁ!ありがと!助かる」
「うん。気をつけて〜」
と渡した後はまた彼は彼のグループに溶けて行った。
「えっきんときbroooockと仲いいの?」
「いやいや、昨日たまたま掃除当番が一緒だっただけだよ」
「だよね。きんときに限ってそんな話…」
「おっと???」
「いやいやいや冗談ですよぉ笑」
彼は俺たちとはグループが違うから滅多に話さない。だから昨日あんなに話しかけてきてびっくりした。まぁ多様な人と仲良くなるのは悪い話では無い。
そう考えつつnakamuと話してたら移動教室に到着した。
「席って自由だっけ?」
「あー…多分?」
周りを見渡すと移動は遅かったはずなのに誰もいなかった。
「あってる…よね?」
「あってるよ〜」
「うおっ」
後ろから手をポンと叩いたのはbroooockだった。
「なんだよ、びっくりするだろ」
「ごめんごめん〜」
「あってるならいいや!きんとき一緒に座ろ!」
nakamuに手を引かれる。その時、broooockからチョイと裾を掴まれた。
「僕達も一緒にすわっていい?」
「broooockも?nakamu、いい?」
「いいけど、僕”達”って?」
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とnakamuが言うとbroooockの後ろからnakamuくらいの身長の男の子が顔を覗かせた。
「えっ俺も?」
「シャークん…くん?」
「シャークんでいいよ」
後ろから出てきたのは同じクラスのシャークん。彼もbroooock同様、あまり話す機会がない。
「どこ座る〜?」
と紹介し終えた瞬間broooockは呑気に席を吟味し始めた。
「席割りは?」
「僕きんさんの隣に座る!」
「じゃあそれでいこっか」
と1番後ろの4人席にさっき言った通りに座った。broooockはずっと嬉しそうだった。
座るとぞろぞろとクラスメイトが教室に入ってきた。
「……」
やっぱりお互い仲があまり良くないから自然と沈黙が流れる。それを見兼ねてnakamuは口を開く。
「なんで一緒に座ろうと思ったの?」
「え〜…まぁ2人だったし?」
まぁそうだろうなという返事が返ってきた。
「まぁあとbroooockはき……あっえーっと」
「き?」
「シャークん!!!なんもない!」
と勢いよくbroooockはシャークんを止め、その流れでまた沈黙が生まれる。と思うと授業が始まる。
「きんさん?」
板書をしているとbroooockがコソッと名前を呼ぶ。
「なんだよ」
「みてあの先生描いた」
指を指した先の絵にはとてもでは無いがかなり酷い先生の似顔絵があった。
「ちょっ笑broooock笑」
俺はつい吹き出してしまった。
「おいそこ2人何してるんだ」
さっきの声でクラスメイトの視線が集まる。息が詰まった瞬間、
「先生で見えなかったんで教えて貰ってました〜」
「そういう事なら言いなさい。」
「はぁーい」
先生は再び授業を進める。
「ありがと」
感謝するというか、broooockに庇ってもらって当たり前なんだけどな…と複雑な気持ちになりながら、俺は授業に集中する。
「broooockまじ勘弁して」
「ごめんごめん笑」
授業が終わると同時に俺はbroooockに詰寄る。
「ほんっとに死んだかと思った」
「きんとき急に吹いてびっくりしたぁ」
「あれbroooockのせいだから!!」
「いやいやぁ僕は似顔絵を見せただけですからぁ」
そういいわけをしながら教室を出ていく。
俺は彼に呆れながら、次の授業を思い出す。
「次選択科目じゃない?」
「あっホントだ!俺音楽だから先いくね!」
とnakamuはすごいスピードで駆け抜けていった。
「あ、俺も音楽だわ。nakamuー!ちょっと待って!」
とシャークんもついて行くように走っていった。
残されたのは俺とbroooock。
「broooockは?」
「僕美術〜」
「俺もだわ。一緒に行く?」
と言うと彼の顔はぱあっと明るくなった。
「うん!行く行く!」
「こんなこと聞くの野暮かもしれないけどさ、なんで昨日好きな人聞いてきたの?」
俺は昨日一晩中頭を悩ませられたことを聞く。
「えー…」
「誰かに聞いてって言われたとか?」
「……」
彼は静かに悩みこんでしまった。俺は彼にそんなことをさせたかった訳ではなかったので少し慌てる。
「別に言えないならいい!ごめん!」
「…ごめん」
「謝らなくていいよ、こっちもごめん」
少し気まずい空気が流れる。俺は申し訳ない気持ちを抱きながら廊下を歩く。
「もし、友達って思ってる人から告白されたらどうする?」
「うーん、男から、ってこと?」
「どっちでも」
「…相手が本気だったら考えるかなぁ」
そう言葉を選び、答えると彼はどこか嬉しそうな顔をした。やっぱり誰かから聞いてと言われたのだろう。そうに違いない。と俺は心のなかで納得することにした。
「それさ、もしかしてbroooockがきんときのこと、好きなんじゃない?」
お昼休みにnakamuとすっかり青くなった葉っぱがある中庭でベンチに座り昼食を食べる。
「えぇ?そんなわけ」
「だってさ、急に仲良くなったし、好きな人いるか聞いてくるし、一緒にも帰ったし、その質問だって好きな人にしかしないでしょ」
そう言われてみれば……?と恋愛に疎すぎる俺にはその話を聞けば全てそれっぽく聞こえてしまう。
「でも、仮にそうだとしてこれからどう接したらいいの?」
「告白されるまで自然体でいるしかないね!」
「まぁ確定でもないし、そうだよなあ」
俺は膝に置いた食べかけの弁当を見る。俺は卵焼きを持ちそれを見る。
「まぁそんなに悩まくていいんじゃない?」
そんな俺を見かね、nakamuは俺を励ますかのように言葉を足す。俺はnakamuの弁当に持っていた卵焼きを入れる。
「……だよね、」
本当にbroooockが俺に好意を持っているのか確信がつかめなかった。だから俺は今から彼の行動一つ一つを注意深く観察することにする。
まず1つ目。よくbroooockは話しかけてくれるということ。確かに意識にしてみると沢山話しかけてくれるようになったなと思う。
次に2つ目。broooockはよく俺を見ているということ。例えば、先生に任されて重い荷物を持っていると、
「きんさん、荷物持とうか?」
と言ってくれるし、よく行動を見てるなと思った。
、、、などなど、俺に好意を抱いてくれているのはおそらく確かだろうということだ。
俺はその確信した日は丁度、掃除当番が回ってきた日だった。
「えーっどうしよう気まずいよね」
「まぁ大丈夫でしょ!聞いてみなよ!俺も気になるし」
「、、、え?聞くの???」
その会話をしてからポンポンと授業が進み、あっという間に放課後はやってくる。
「またね、また明日」
とnakamuに別れを告げ教室に残る。
「じゃっ。掃除やろっか」
「うん。」
と少し顔を合わせ、ほうきを掴み、ワシワシと床を掃く。
「……、」
俺はちらっと彼の仕草を見る。彼は背中を向けていたものの、らんらんとしているのが目に見えてわかる。
「……あ、あのさ」
「ん?なぁに?きんさん」
彼の優しい返事に脳の思考が巡る。本当に聞いてもいいのか、踏み込みすぎてばないか、とか色々考える。
「お前って……
いややっぱりなんも無い」
色々考えた結果、中途半端なところで聞くのを辞めるという最悪な決断をしてしまった。
「えーっ!なになに?!」
中途半端なところで切ることでこういう反応をすることは予測していたがどうしようかは考えていない。
「いや、帰りに言うわ」
未来の自分に全てを託し、一旦保留する。
「はーい」
「で、さっきの話なんなのー?」
この前と同じ帰り道、西日が差し掛かる道路で俺の思考を読み取ったかのように彼が聞く。
「あー……」
俺は聞こうか迷う。
「お前ってさ、俺の事さ」
この先の言葉はなんだか申し訳なくて喉につまる。俺はどうにでもなれ!というように無理やり言葉をだす。
「俺のこと好き?」
彼は豆鉄砲を食らった鳩のように固まる。
「……」
「違ったら本当にごめん」
「…友達として、だよね?」
「っぇ?う、うん…!」
「もちろん!大好きだよ!」
彼はいつものパッと明るい笑顔に戻る。
「あ、僕ここで曲がるわ!じゃあね!また!」
「あ、broooock…またね」
彼は早歩きで背を向け、道を歩いていった。
彼は前回ここで曲がっていないはずだし、それよりいつもの明るい笑顔がさっきはひきつっていたような気がした。
「聞いたけど躱躱された?!」
いつもより気が重い昼休み。いつものようにnakamuと食べる。
「うん。『友達としてだよね?』って躱された」
俺は昨日のことを振り返りながら考える。
「うーん……俺が聞こっか?」
「いや、大丈夫」
あいにく今日はbroooockは休みだ。体調不良だとシャークんからは聞いたが本当かどうかは分からない。というか連絡先交換すらもしていない。
「やっぱり、俺の思い過ごしだったかも」
そうだとしたらかなり申し訳ないことをしてしまった。
「まぁお詫びとして行くならお見舞いがてら家行きなよ」
「うーん、それもそうだな。よし、今日あいつの家いくわ」
俺は、彼の家に行くことを決心した。
いざ放課後、俺はシャークんに教えられ、彼の家に着いた。
「ありがとうシャークん。」
『別にいいよ。代わりに頼むわ』
「代わりにって……」
『じゃな』
シャークんはそそくさと電話を切った。まぁ彼のことだからなにか用事があったのだろう。
「よし!」
俺はインターホンに震える手を伸ばし、ボタンを押し込む。すると軽い音が機械から鳴る。
『はーい。』
「broooockくんいますか」
『あらbroooockの、ちょっと待ってくださいね』
とお母さんらしき人が返事をしてくれたようだ。俺はドクドクと高鳴る心臓を抑えながらbroooockを待つ。
ガチャっとドアが開き、そこに居たのはbroooockだった。
「きんさん…」
「broooock、体調大丈夫?」
「……うん、おかげさまでね」
彼は体調不良には見えなかった。
「その…昨日は変な事聞いてごめん。忘れて」
「…………きんさんは悪くないよ。僕が悪いの」
「え?broooockはなにも……」
考えていなかった返答を耳にし、少し動揺する。
「実は僕、きんときのこと好きなんだ」
「……」
「素直になれなくて、ごめん。気にかけてくれたのに突き放すようなことしてごめん。
ほら、僕風邪ひいてるからさ、帰った方がいいよ」
「……俺はbroooockの気持ち、聞きたい。素直じゃなくてもいいから」
そういうと彼は涙目になり大きな溜息をつき、顔を足に埋める。
「そういうとこ、ほんと、ズルい」
「えっ」
「無意識なのもズルいよ」
顔を上げた彼はどこかスッキリしたような顔をしていた。
「…で、broooockは俺とどうしたいわけ?」
「引かないよね?」
「もちろん」
「大好きで付き合いたい…でもこの関係のまま付き合えるかも分からない」
葛藤も欲望も入り交じっているのが見て分かる。
「…いいよ、俺のこと大事にしてくれるならね」
俺も葛藤の末、今まで思っていたことをまとめ、口にする。
「broooockのこと見てて思ったの。頼りやすくて、俺のことよく見てて、一緒にいると楽しいし。」
「そこまで言われたら嬉しいよでも、きんさんが変な目で見られるかもしれないから…」
「そんなのどうだっていいから」
彼を力強く説得するような目で見つめる。彼はそんな俺を見て笑みをこぼす。
「思い出した、僕はきんさんのそんなとこが大好きなんだよね」
俺もbroooockにつられ、笑みを浮かべる。俺はばっと両手を開き彼を見る。彼はギュッと俺を抱きしめる。俺も呼応するように優しく抱きしめる。
「ありがとう。愛してる」
耳元で話しているからなのか、聞き慣れていないからなのか、くすぐったくて、暖かくなるような気がした。
「あ、俺帰るね」
「うん、今日はありがとね〜」
彼の雰囲気はいつものふわふわとしたマイペースな感じになっていた。
「じゃ、最後に!」
彼は腕を広げる。
「はいはい」
俺はbroooockに近寄り彼の体温を全身に感じる。
「きんさん、大好き」
「…俺も」
ゆっくり体を彼から剥がし、荷物を持つ。
「ありがとう!またあしたね!」
「こちらこそありがとう。またね」
とドアに手をかけ、外に出る。カラッと乾いた風が俺の頬を撫でる。俺は今、broooockの恋人になったのだと自覚する。
「くぅ〜……」
どっとさっきまでの恥ずかしさが出てきて頬が熱くなる。その熱も風で冷める事は無さそうだ。
「おはよ!シャークん!」
彼の言葉に耳を澄ます。というか横目で彼を見る。するとbroooockと目が合う。俺は目線をそらす。
「きんとき、どこ見てるの?」
そうだ、今はnakamuと話してるんだった。
「えーっと……」
「結局さ、broooockとどうなったの」
俺は動揺して飲んでいた水を吹き出す。人が居なくてよかった……
「全く、分かりやすいね、君は。
言ったの?」
「いいました……」
「で、好きだったの?」
「うん、俺のこと好きだったよ」
「やっぱりね!俺の言った通りじ」
「で、付き合った」
と言うとnakamuはピタリと動きが止まる。
「…えっ?付き合った?」
「うん、付き合った」
「なるほどね…」
彼はどうやら付き合うとまでは行かないと思っていた様で頭がキャパオーバーしたようだ。
「きんさん、おはよ」
broooockが後ろから抱きついてきた。
「ばか、学校だろ」
「まぁ別にいいんじゃない?」
彼のマイペースだろうと溜息をつき、彼の手に手を重ねる。
「今日一緒に帰ろ?」
「nakamuも一緒だけどいい?」
「当たり前じゃん」
nakamuはまだ考え込んでいるようでまだ口は開かない。
「付き合ってる……???」
「そうだよ、nakamu!可愛い恋人だよ!」
「なるほどね…」
「おい、困惑してるだろ、ほっといてやれよ」
やばいなと思ったとき、シャークんがbroooockを止める。
「はーい」
「まぁ、きんときも大変だな」
「そうだね」
これからこの恋がどうなるかは分からないが喧嘩とかした時に仲間はついてくれそうだなと、確信した。
おしまい