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⚠︎口調違い、解釈違い⚠︎
雨がしとしとと降り続けている。外で部活をしている野球部やテニス部が
雨宿りをするために走っている。
それを見ている俺は窓辺の席に座って人を待つ。
「もうすぐ卒業か…」
この言葉も冷たい窓に跳ね返ってくるだけ。
この生活もあと早5ヶ月。 この思い出は昨日のように鮮明に思い出される。
その中でも特に彼との思い出が自分の心を重くさせる。
「ごめんごめん。長引いた」
彼というのはこのシャークんだ。 俺は彼に3年間好きという感情を抱き続けた。
「何外見てんの、雨だよ」
「雨だから考え事してた。」
「ふーん」と彼は前の席に座り向かい合わせになる。
「俺たちずっと友達で居れるかな」
突如、耳に入った言葉に表紙抜けたが、落ち着いて返す。
「居れるだろ」
「だよな、」少し寂しそうに言った。
友達、か。
別に告白とかしなくても生きていける。
友達として傍にいれれば。
「帰ろっか」
とシャークんが立ち上がる。 俺も言葉に従い、帰る準備をする。
「明日、文化祭だな」
そう。明日は文化祭。
学校行事で楽しめる最後の学校行事だ。
「そうだな」
「あのさ、嫌ならいいんだけど
明日一緒にまわらない?」
彼の口から出た言葉に少し動揺する。
「あっ、本当に嫌ならいいんだけど」
「…別にいいけど。」
内心は嬉しいのに感情に出せない。
いや、出さない。というのが正しいだろう。
「まじ?助かるわ」
と俺に笑顔を向ける。
その笑顔で、ただの友達としか見られていないのは分かるのだが、こんなことがある度、少し期待してしまう。
少しは同じ気持ちなのかも、と。
西方向にある電車の窓から、差し掛かったオレンジ色の光を彼が浴びる。緑色の瞳にスマホの光が反射している。
「なんだよじっと見て」
誰かに追われてるかのような声で囁く。
「いや…目が緑色で、珍しいなって」
この世界では別に珍しくはないこと言い誤魔化す。
「別に緑の目は珍しくもなんともないだろ、
言うならスマイルの目の方が珍しいだろ。」
彼は俺の紫色の目をジッと覗く。俺は思わず引き込まれそうな彼の目から目線を逸らす。
「え、見せろよ」
「眠い」と冗談混じりに自分の行動を少しでも正当化させるように答える。
彼は少し呆れたように肩を落とし、席に座り直す。
彼と見つめ合える機会だったのに、
自分で逃してしまった。
目をつぶりながら1人で考える。
「スマイル?降りるぞ」
シャークんの声が脳裏に響く。
考えるより先に体が動く。
「すまん。寝てた」
「眠いって言ってたからな〜」
人混みと一緒に階段を上る。
外に出ると赤や黄色に変化し終えた木が一直線に並んでいる。 その奥には店が立ち並ぶ。
シャークんはジッと店をじっと見る。 そして、その1つを指さす。
「謝るんならラーメン奢れよ」
彼は笑う。
「今月金欠なんだけどな」
「文化祭準備もあったしな、確かに
まぁ、でも、関係ないよな?」
と無理矢理腕を引かれ店に入る。
1100円のラーメンを頼み、来るのを待つ。
「お前って、どんな人がタイプ?」彼が問う
異性の好みのタイプのことだろう。異性に興味が無いと、とてもでは無いが言い難い。
と言っても正直に言うのも違う。
「…」
「…どうだろうな。考えたことないかも」
「そっか。確かにイメージ無いわ」
「ありがと、美味かったわ!」
「俺のお小遣いが…」
「次なにか奢るから」と彼は笑いながら言う
「あ、」
途端に声を出し、止まる1歩前を行く彼。
「…なに?」
「あ、いや、」
言うのを渋るので俺は何も反応せず彼を追い抜かす。
「…」
ジッと一点を見つめてその場に留まる。
「なんだよ。行かないのか?」
俺が問うと思い出したかのように歩き出す。
「ごめん、なんも無い」
俺は彼の行動を少し不審に思ったが気にせず再び歩き出す。
2人で挨拶を交し別れる。
街灯しか明かりがない道を1人で歩く。
家の門を通りドアノブに手をかける。
「ただいま」
元気よく「おかえり」と帰ってくる。
よくある一般的な家庭だ。
風呂に入り自分の部屋に行こうとした瞬間
リビングに軽快な音が鳴り響く。
「シャークん?!」
ドアを開けるとそこに居たのはシャークんだった。
「こんな夜にごめん。家入れないんだった…」
秋とはいえ夜は冷え込むので家に招き入れる
事情を聞く前に風呂に入れ、服を着替えさせた。
「…で、何があったわけ?」
「朝に親と喧嘩して…勢いで、家出…」
都合が悪いのか目線をそらす。
「今日は泊まる?帰る?」
「…泊まりたいです」
申し訳なさそうに答えるシャークん。
親も許可を出してくれたのでうちで1泊。
「ほんとにごめん!助かる!」
寝る前に布団に正座して手を合し言った。
「恩が増えたな」と冗談混じりに笑いながら俺は言う。
「た、確かに…」
困った時に自分を頼ってくれるのは自分を信頼してくれているから。それだけでなんだか十分だった。
朝、目が覚めてすぐに着替え、隣で寝ている人を起こす。
「まだ夜だよ……」
と言って再び瞼を閉じる。
「んなわけないだろ、起きろ」
と布団をひっぺがす。
「あぁ〜寒い〜」
「はい起きてくださーい」
手を握り引っ張ると胴体が起き上がる。と思ったが意外と俺の力がない。
「うわっ」
体制が崩れ、俺は勢いよくシャークんの顔の横に手を置く。俺は心臓の鼓動を抑えれなかった。彼の顔立ちがはっきり分かるからだ。
「スマイル、まだもうちょっと寝かせて……」
そのセリフでハッと我に戻る。
「起きる!遅刻するぞ!」
渋々起きたシャークんを置いて廊下に1人で出る。着替えさせるためと、俺の気持ちを整えるためだ。
1人廊下で大きいため息を着く。
よく考えたら、なんで好きな人が泊まりに来ているんだ?何か自分は徳を積んだのか?
なんであんなラッキーな事が……?
1人で頭を抱える。
ガチャっと俺の部屋のドアが開く。
「スマイルー?着替えたけど…」
中からまだ眠たそうに目を擦るシャークんが顔をのぞかせる。
「あ、終わった?飯食べに行こ」
「え、ご飯もいいの?」
「当たり前だろ?行くぞ。」
キョトンとしている彼の手を引いてリビングに連れていく。
「おはようございます、朝ごはん本当にありがとうございます」
とシャークんは礼儀正しく親に感謝する。そんな姿を見て親は満更でもないようだ。
「そうじゃん今日文化祭じゃん」
「だから言ったじゃん。」
俺たちは午前の仕事なので午後から自由時間だ。そして一緒にまわれる。
ついに仕事が全て終わり午後から自由になったシャークんと合流する。
「あー疲れた!」
「お疲れ様。はい」
俺はシャークんに飲み物を渡す。
「おっ、サンキューたまには気きくじゃん」
「一言余計だな」
シャークんはキョロキョロと周りを見渡しながら飲み物を飲む。
「結構人いるんだな」
「まぁ全校生いるし、毎年これぐらいいるんじゃない」
「それはそうだけど、てかどこ行く?!」
「どこでもいいよ」
友達のところを行くのもアリだが、彼の行きたいところに合わせるのがセオリーだろう。
「えーないの?俺もどこでもいいんだけどな…」
と2人で悩みに悩みまくった結果、共通の友人のクラスに行くことにした。というか俺のクラスだけど。
「あ、シャケとスマイルじゃん!食べてく?」
と入口付近で売り込みをしていたのはnakamu。彼は口が達者なのでこの役割にあっていると思う。
「うん食べにきた」
「あれ、broooockは?」
そうbroooockも、このクラスの一員だ。
「broooockは中で焼いてる」
「あーね、てか甘いのしかない?」
「いやまだご飯系のあると思う。シャケ甘いの得意じゃないもんね」
「そうなんだよ〜」
「スマイルは…いつ言うの」
とコソッと聞く。
「いや言わないし」
彼は俺の良き理解者だ。このご時世にも関わらず、応援してくれているひとりだ。
「えー2人きりとかチャンスでしかないじゃん」
「友達でいいんだよ俺は」
「ん〜まぁいいならいいや早く並べよ」
彼は再度通行人に売り込みを始めた。
「並ぼ!」
とシャークんはワクワクで列に並ぶ。そんな姿も愛らしい。
「あー美味しかった。次どこ行く?」
全て食べ終えたシャークんが俺を急かす。
「ちょ、ちょっと待ってあとちょっとだから」
「お前、いつも遅いよな」
と意地悪そうに笑う。俺は急いで口に放り込む。
「次は…食べ物系じゃない方がいいかな」
「もう腹一杯か?」
「まぁね」
シャークんは少食気味なので彼に合わせる他ない。
「あ、あそこ行こ」
「あー疲れた」
ついに文化祭が終わり、片付けも済まし、今は薄暗くなった帰宅路にいる。
「楽しかったな」
「うん。」
2人で歩きながら今日に耽ける。今日のことは忘れないだろう。
「あのさ、スマイル、」
「ん?」
突如シャークんは足を止める。それに合し、俺も足を止める。
「変なこと言ってもいい?」
俺の中で嫌な予感が走り、少し足の方向は前に向いた。
「俺、スマイルのことがすき」
言葉を聞いた瞬間、俺は走り出していた。
「えっちょっ、スマイルっ…!」
彼の必死に呼ぶ声も耳に入らないくらい死ぬ気で走った。
彼からそんな言葉、聞きたくなかった。ただお前は今までのままでいて欲しい。俺なんかに好意を寄せないで欲しい。
俺が強かったら耳をかせて、彼の気持ちを受け止めきれたかもしれない。
俺は…彼とはつり合わなすぎる。
「えっシャケから告白されたのに逃げたぁ?!」
と昨日のことをnakamuに打ち明ける。昨日はそのせいで一睡も出来なかった。
「ほー…シャケも同じだったんだ」
シャークんとは今日は一緒に学校に来なかったし、まだ距離を保っている。クラスが違うくて良かったと心底思う。
「なになに〜?恋バナしてるの〜?」
と割って出てきたのはbroooock。
「そうなんだよ、スマイルがさぁ」
「そうかぁ、なんで走っちゃったの〜」
「なんでかって…言うと…」
自分の不甲斐なさに嫌気がさした。
俺は…
「俺は、シャークんにつり合ってない」
「えっ!自分がかっこいいからってそんなナルシストみたいな…!」
「ちげーよ」
「さすがにやばすぎ笑」
と2人は笑う。そんな姿を見て少しほっとする。緊張が解けたのだろう。
「いまシャークんも相談してんじゃなーい?」
「多分そうだよ絶対に」
そうだ、彼のクラスにも共通の友人はいる。
「好きなら向きあったらいいのに〜」
「それはそうだけど」
「昼休み2人で話しなよ」
「僕たちが屋上開けてあげる!」
と2人に催促され、俺は渋々了承した。
俺は催促された後、授業中に彼とどう向き合うべきか、悩み続けた。
俺から打ち明けるべきか?いやシャークんなら言ってくれるはず…でもその気持ちを…
そうだ。俺は何を弱音吐いてるんだ。せっかくチャンスをくれるなら俺は彼が向けてくれている感情をとにかくちゃんと受け取らないと。そして自分の気持ちも伝えないと。
友達のままなんて嫌だ。
気も体も鉛をつけているかのように重くなりつつ、屋上に続く階段を上る。比喩で言えば、そり立つ壁のようなものだ。やっとこさの思いで、屋上のドアに手をかける。
開くと風が俺の前をとおりすぎ、目の前が光でうめつくされる。少したち、目を慣らしたところで、シャークんが目に入る。
俺は思い切って傍に行き、声をかける。
「あ、あのシャークん…」
「スマイル…」
彼は疲れきったような顔をしていた。
「昨日は本当にごめん」
「俺も、あんなこと言ってごめん。困らせるだけってことはわかってたのに、」
下を向き、哀愁が漂う。
「ごめん、気持ち悪いよな、同性愛なんて、本当にごめん」
と彼の目から涙がこぼれ落ちる。そんな見たことがないほど弱気な彼に俺は圧迫され、喉に言葉が詰まる。
「ごめん、忘れて、これからは友達としていてくれたら」
「…俺は、」
ようやく喉からでかかった言葉が出てくる。
「友達の関係は嫌だ」
「えっ…と、友達も嫌…?」
「あっ、えっとつまり…」
思わぬ方向に話が飛び、軌道を戻そうと必死に脳内で話を組み立てる。
「お、俺も…シャークんが、好きってことなんだけど…」
「えっ?」
「付き合いたい」
「えーっと…俺と同じ?」
「うん」
「LOVE?」
「うん」
「恋愛?」
「うん」
「よかったぁ…」
また彼の目から涙が出始める。その涙は先程とは違う、嬉し涙だった。
「わーっちょ、泣くなよ」
俺は思わず彼を抱きしめる。彼は少しびっくりしていたが少しするとシャークんは抱きしめ返し、再び泣きはじめる。俺のブレザーが…
「俺嫌われたかと思った」
「ばか嫌うわけないだろ」
「だよな、今考えたらありえん笑」
「…本当にごめん」
「もう大丈夫だって、こうして付き合えたんだし。」
俺らは一緒に昼食を食べ、教室に戻ろうと屋上の扉を開けた瞬間。
「「「「あ」」」」
と声が揃った先にいたのは、なんと友人達…
「あーいや本当、何も無い!」
「俺、課題あるんだったー」
「僕もあるんだったーやらないとー」
「先生呼んでたような〜…」
とそれぞれ戻ろうとしている首根っこを掴み、
「お前ら…」
「盗み聞きしてただろ!」
拷問のような説教が始まったのだった。
結局卒業までに彼の気持ちがわかったので結果オーライ。終わりよければすべてよし。
おしまい