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翠玲
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黒い亀裂。
その奥から現れた人物。
長いローブで顔は見えない。
なのに。
こさめの心臓は激しく脈打っていた。
知っている。
会ったことがある。
忘れているだけで。
絶対に知っている。
🦈「……誰」
こさめが呟く。
その瞬間。
未来の少女が叫んだ。
未来「だめ!!」
今まで聞いたことがないほど大きな声だった。
全員が驚く。
未来は震えていた。
青い瞳に恐怖を浮かべて。
未来「近づいちゃだめ!」
ローブの人物は立ち止まる。
そして。
静かに笑った。
?「相変わらずだな」
低い声。
不思議な声だった。
優しくも聞こえる。
冷たくも聞こえる。
?「未来」
その呼び方に。
未来の少女が一歩下がる。
未来「来ないで」
?「ひどいな」
ローブの人物は肩をすくめた。
?「迎えに来ただけなのに」
その言葉。
どこかで聞いた。
つい最近。
未来も同じことを言っていた。
――迎えに来たよ。
ぞくりとする。
何かがおかしい。
🌸「お前は」
らんが前へ出る。
珍しく笑っていない。
🌸「まだ諦めてなかったんだな」
ローブの人物が笑う。
🌸「三千年だぞ?」
?「だから何だ」
🌸「執念深いな」
?「お前にだけは言われたくない」
空気が張り詰める。
こさめは二人を見比べた。
知り合いだ。
それも。
かなり昔から。
すると。
すちが静かに言った。
🍵「目的は何」
ローブの人物は答える。
迷いなく。
?「回収」
🍵「何を」
沈黙。
そして。
その人物は真っ直ぐこさめを見た。
?「未来管理者を」
空気が凍る。
なつが顔をしかめた。
いるまも警戒を強める。
だが。
ローブの人物は気にしない。
ただ。
こさめだけを見ていた。
?「帰ろう」
その声を聞いた瞬間。
また頭痛が走る。
🦈「っ!」
記憶。
また記憶だ。
真っ赤な空。
崩れる世界。
きっとこれは未来消失事件当日。
今までで一番鮮明な記憶。
叫び声。
警報。
泣いている未来。
そして。
目の前にいる。
黒いローブの人物。
?『間に合わなかったか』
昔のその人物が言う。
過去のこさめは立っている。
巨大な未来の光の前で。
🦈『来たんだ』
?『当然だ』
ローブの人物が答える。
?『未来は管理するものだ』
🦈『違う』
過去のこさめが首を振る。
🦈『未来は生きてる』
?『だから暴走する』
🦈『それでも』
二人の間に緊張が走る。
🦈『渡さない』
過去のこさめが言う。
🦈『絶対に』
そこで映像がぶつりと切れた。
🦈「はぁっ……!」
こさめが膝をつく。
すちがすぐ支える。
🍵「大丈夫!?」
🦈「……思い出した」
🍵「何を」
震える声で答える。
🦈「敵だ」
静寂。
ローブの人物が少し笑った。
?「敵か」
どこか寂しそうに。
?「そう思われても仕方ない」
そして。
ゆっくりとフードを外した。
全員が息を呑む。
現れた顔。
年齢は二十代くらい。
整った顔立ち。
しかし。
こさめが驚いたのはそこではない。
その顔を見た瞬間。
記憶が弾けた。
🦈『過去』
昔の自分がそう呼んでいた。
思わず口から零れる。
🦈「……過去」
男が目を細めた。
過去「やっと思い出したか」
静かな声。
過去「久しぶりだな」
未来管理室が揺れる。
封印解除率。
91%。
92%。
93%。
数字が上がっていく。
誰も止められない。
そして。
過去と呼ばれた男は静かに告げた。
過去「未来消失事件の真実を話しに来た」
らんの表情が険しくなる。
すちも黙る。
未来の少女は青ざめている。
それだけで分かる。
この男が知っていることは。
誰もまだ話していない核心だ。
男は真っ直ぐこさめを見る。
そして。
ゆっくりと言った。
過去「未来を隠したのは君だ」
過去「だが」
過去「君が消えた原因は君じゃない」
その瞬間。
未来管理室から音が消えたような気がした。
こさめの瞳が揺れる。
過去は続ける。
過去「君は誰かを守るために犠牲になった」
過去「そして」
瞳が細められる。
過去「その事実を、一番隠しているのは――」
過去の視線が動く。
向けられた先。
そこにいたのは。
すちだった。
コメント
2件
えっえっ今緑さんに展開が戻ってくるのは聞いてないです😭😭 1番最初に引き止め始めてたからこそ今回のことを迎えたくなかったんですかね…!? 続き楽しみです…߹ ߹
うわああ…第21話、めっちゃ重かった…! 「過去」って名前のキャラが出てきたときの衝撃、やばかった。こさめが思い出した「敵だ」って言葉と、でも「寂しそう」な雰囲気のギャップが切ない。 そしてラストの「すち」に視線が向くところ…まじか、そこに核心が隠されてるの?嘘でしょ… 展開が深すぎて、言葉が追いつかないんだけど、確かにここ大事な回だった。このエピソード、めっちゃ好きです。ありがとうございます翠玲さん…!