「…無理…です…」
ピストルを持つ一夏さんの手は震えている。
「早くやってください。」
圧を感じたのだろうか、一夏さんはこめかみにピストルを当て…
…不発だ。
一夏さんは渚さんにピストルを慎重に渡した。
「…全ては猫の為です。」
バンッ!!
その音を聞いた途端、不快感と絶望感を感じた。
視界は血まみれだ。
…これじゃ私が殺したみたいだ。
私が殺したというのも…強ち間違えではない。
渚さんを止める時間だって…いくらでもあった。
みんな青ざめた顔をしていた。
1人を除いて。
「はははっ!おもしれーじゃねぇーか!」
あの男性だ。
「分かります。」
分かります…?
「は?」
「…どうしました?」
怒りと後悔と悲しみが混ざって…どういう感情なのか分からない。
「いい加減にしろよ…!!」
怒ってるはずなのに涙が出てくる。
そもそも誰に怒ってるのかさえ分からない。
「だからどうしたんですか…?」
「…うるさい…」
「うるさい!!」
私の声って…こんなのだっけ。 もう何もかも分からない。
…ただ、今の私には全て夢だと思うことしかできなかった。
ただの悪夢だと信じて。
続く