生きる意味。
主人公 青
僕は精神障害を抱えている。
僕は普通じゃない。
人と関わることが怖い。
人の目が冷たい。
人の嘘に似た優しさが嫌い。
人が嫌い。
僕はみんなとちがう。
それもまた、僕を苦しめる。
虐待を受けていたり、
虐められてる訳じゃない。
でも、
自分が自分の1番の敵で、
自分が自分を1番苦しめる。
そんな僕は
保健室登校をしている。
保健室の先生は
この学校で1番のイケメンである、
黄先生。
黄先生は僕を否定しない。
そして、
人の苦しみを理解しているような
暖かい空気を纏っている。
僕が唯一話せる人。
ガラガラッ
「おはよッございます、ッ」
僕の小さな挨拶にも、
「おはよ!今日も来れて偉いねナデナデ」
元気に挨拶を返してくれる。
「先生ッ、おは、よのぎゅぅッ、?」
「うんっ!しようねおはようのぎゅー」
ギューッ
「ん、あッりがとッ」
「いいよお!てか青ちゃん、
今、タメ口で話してくれたね」
「ぅあ、やぁ”ッごめ、なさッポロッ」
「ッ!あ、えと、いや、違くて、
えーとッ、、、
青ちゃん?黄先生はね、青ちゃんが
タメ口で話してくれて、
嬉しいって思ったんだよ
だから、これからも、黄先生には
タメ口で話してくれていいからね!」
「、、、んッ!ありがッと!」
「うん!えらいねぇっ!!」
ダメダメな僕のことも認めてくれる。
僕はそんな黄先生に恋をした。
でも、僕は高校3年生。
もう、卒業してしまう。
黄先生に会えなくなってしまう。
好きと言う思いを
伝えられなくなってしまう。
それは嫌だから
だから
思いを
伝えなくちゃ、!
ガラガラッ
「黄先生ッ!おは、よッ、!」
「お!おはよ〜!ナデナデ」
顔が赤くなる感覚がある。
ふーっ
呼吸を整えて、黄先生と目を合わせた。
そして伝えた。
「黄先生ッあの、ぼく、ッ
ずっと、ねッポロッ
黄先生ぇッが、黄先生がぁッ、
ポロッ大好きだッッた、の、ッ」
泣いてしまった。
きっと、黄先生は
僕が泣いたこと、
僕が男の人を好きと言ったこと、
そして、
生徒の僕が先生の黄先生に恋をしたこと
で、気持ち悪いと思っているだろう。
断られるのはわかってる。
だけど伝えられてよかった。
そう安心しきっていると、
「青ちゃんッ、ぼくもだよッ、
僕もずっと、青ちゃんの彼氏に
なりたかったんだよッポロッ」
予想外すぎる言葉。
驚きで時が止まったみたい。
しかし、あたたかい匂いに包まれた。
それによって
時間は止まっていないことに気づく。
匂いの正体は、黄先生の体だ。
ハグ。
毎朝してもらって、慣れてるはずの
ハグ。
でも、ドキドキして、ホッとするような
不思議な感覚。
嬉しくて、また泣いちゃった。
泣く僕を撫でながら、
「青ちゃん、僕と付き合ってください」
息が整わなくて、
すぐに答えられなかった。
その間も黄先生は
背中をさすってくれた。
そして、
「こんな僕ッ、だけどぉ、
おねがぃッしま、すッ」
僕は、黄先生と付き合った。
そして、高校を卒業し、
大学生になった。
大学生だから、黄先生と
一緒に暮らし始めた。
生徒と先生の禁断の恋
から開放されたのだ。
「青ちゃ〜ん?朝だよ〜?」
大好きな人の声から始まる朝。
そして、
「黄ちゃ、ぎゅぅー?」
「はいはい笑ぎゅーねナデナデ」
毎朝高校の時と変わらないハグをする。
僕は今、すごく幸せだ。
人が嫌い。
何もできない。
話せない。
そんなダメダメな僕は、
認めてくれる人に出会えた。
認められたら、誰だって
嬉しくなることを知った。
自分が経験したことだからこそ、
夢ができた。
“こんな職業に就きたい!”
というような
具体は決まっていないが、
ぼくは
『誰かの存在を認めてあげられる人。』
そんな人間になりたいと思う。
もちろん、黄先生に
恩返しをする意味も込めてね。
これからも、
何かに苦しめられることが
いっぱいあることを
僕は知っている。
でも僕は、負けない。
どんな壁にも立ち向かい、
たくさん乗り越えてみせる。
そして、大好きな人に
たくさんぎゅーしてもらう。
これが、僕の”生きる”意味だから。