テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
1,624
ゲスト
⸻
教室。
雄英高校1年A組の空気は、いつもの授業とはまったく違っていた。
教壇の前には
相澤消太。
腕を組み、静かに生徒たちを見ている。
誰も話さない。
「……さて」
低い声が教室に響く。
「まず一つ」
「お前ら、集団で寮に戻ろうとしてたな」
全員が少し目を逸らす。
「心配なのは分かる」
「だが教師の指示を無視して動くのは違う」
静かな説教だった。
しかし、いつもの軽い雰囲気ではない。
しばらく沈黙が続いたあと――
おそるおそる手が上がる。
麗日だった。
「先生…」
「なんだ」
「……緑谷くんは」
教室の全員が息を止める。
相澤は少しだけ視線を落とした。
「……」
そして、淡々と答える。
「少し安静が必要なだけだ」
その言葉に、教室の空気が少しだけ緩む。
切島が小さく息を吐く。
「よかった…」
蛙吹も頷いた。
「大事じゃないのね」
相澤は続ける。
「今は寮で休んでいる」
「オールマイトが様子を見てる」
教室の後ろで
爆豪勝己 が黙ったまま聞いていた。
しかし相澤は、そこで言葉を少し強める。
「ただし」
教室が再び静かになる。
「しばらくの間」
「緑谷の部屋には近づくな」
その言葉に数人が驚く。
飯田が手を上げる。
「ですが先生!彼は我々のクラスメイトで――」
相澤は途中で言った。
「だからだ」
飯田が止まる。
「今は休ませることが優先だ」
「大勢で押しかけたら余計負担になる」
静かな声だった。
「お前らが出来ることは一つ」
「普通に授業を受けることだ」
教室が少しだけ落ち着く。
麗日はまだ心配そうだった。
「……」
その時、後ろから声がする。
「チッ」
爆豪だった。
椅子にもたれながら言う。
「弱ってんなら休ませりゃいい」
「無理して出てきたらぶっ飛ばす」
乱暴な言い方だったが――
少しだけ安心したような空気も流れた。
相澤は黒板に向かう。
チョークを持つ。
「……じゃあ授業に戻る」
そして一言。
「心配する気持ちは分かる」
「だが今は信じて待て」
チョークが黒板に走る音が教室に響いた。
⸻