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一松高校  吹奏楽部

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一松高校 吹奏楽部

4 - 一松高校吹奏楽部の日常 Part1

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2025年04月06日

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※前回の続きからです。

「じゃあ今日からよろしくね!」


「はい、よろしくお願いします!」


「うん。じゃあ早速楽器がしまってある場所案内するね。あ、遅れたけどフルート3年の小柴瑠夏です。よろしくね。」


と私に自己紹介をしてくれた。同時に軽く頭を下げた。


「こちらこそよろしくお願いします!」私も頭を下げた。


「えーと、わがつまさん…?」


「え、あ、違います。あがつまです。」


「あ、あがつまさんか。ごめんね、うち漢字苦手なんだ。」


なるほど。私も最初は初めて苗字を見た時は初めの我の文字をわがと習っていたのでわがつまと思っていたが、お母さんに聞くとあがつまらしい。漢字って難しいんだな、と思った。


「改めて楽器ある場所案内するね。」


先輩が動き出したので私も着いていこうと思い動こうとした瞬間。


「ごめん!会議が長引いて遅れた💦えーと新入生は。」


と辺りを見渡した。私は突然音楽室に入ってきた人にびっくりしてしまい、その場で固まってしまった。


「桐島先生、大丈夫ですか?」


私の前を歩いていた先輩は慌てて先生の元に駆け寄った。


「ごめんね、遅くなって。それと新入生はどちら?」


「あ、そうですね。我妻さん。」


私の名前を呼ばれ先輩の元に駆け寄った。


「私たち吹奏楽部の顧問の桐島先生だよ。」


「こんにちは、顧問の桐島です。よろしくね」


「はい、よろしくお願いします。あ、1年の我妻真由と言います。」


「我妻さんね、よろしくね。」


「はい。 」


「さあ、ミーティングやりましょうか。」桐島先生が部員に声をかける。


『はい。』


「まずは入部してくれた子もいるのでかるーく自己紹介していきましょうか。」


桐島先生の発言で部員の雰囲気が一気にどんよりしているように感じた。めんどくさいのか。でも、しょうがない。私もまだ名簿表を見て少し名前を見たぐらいなものだ。私以外の部員の名前が全員言えるかと言われると微妙だ。自己紹介をしてくれるのはありがたい。


「あの、先生。」


と先生の発言から数秒後に1人の女子生徒が手を挙げて発言した。


先生はすかさず応答した。


「はい、なんでしょうか?白川さん。」


白川…白川葵衣先輩だ。確か私と同じフルートだったような…。


「先生、今回も昨年と同様金管木管打楽器の順でやるのですか?」


質問をしている先輩の眼差しが私にはすごく真剣な眼差しだと感じた。


「はい、そうですね。」


「分かりました、ありがとうございます。」そう言って先輩は静かに座った。


「では、始めましょうか。打楽器からね」


先生の発言が終わるとすぐに打楽器パートの先輩が私たちの前に立った。


「こんにちは、パーカスパート3年の三上零央です。今は打楽器僕一人だけで大変なんですけど、本番前はたまに3年のクラの子が元打楽器経験者で手伝ってくれるのでありがたいですね。趣味はサッカーですね。休日にやることが多いです。よろしくお願いします!」とお辞儀をしたと同時に拍手が響き渡る。そして次金管パート。トランペットの紹介……。


ホルン…。




そして、いよいよ木管の紹介に入った。木管はサックス→クラリネット→フルートの順番で行うらしい。つまり私たちフルートの紹介が1番最後ということになる。




「何度か関わったこともあるので知ってる人もいらっしゃいますが、フルート3年の小柴瑠夏です。よろしくお願いします。次白川さん」


「はい!!」


白川先輩の大きな返事が聞こえた。


「フルート2年白川葵衣です。お願いします。次真由ちゃん。」


いよいよ私の出番が来た。ここはシンプルに楽器と学年と名前だけ言えばいいのか?それとも一言付け足した方がいいのか…?どうしようどうしよう💦


「あ、えーと。フルートを吹くことになりました。1年の我妻真由です。どうぞよろしくお願いします。」私は深いお辞儀をした。


👏👏👏


「真由ちゃん。頑張ったね。これからよろしくね😊」白川先輩が駆けつけてくれた時には緊張のしすぎか体が震えていた。


全員の発表が終わりぞろぞろと席に着く。私もその後を追い元の場所に座った。


「遅れましたけども、私の方からも紹介させていただきますね。顧問の桐島幸恵と言います。専門はフルートです。よろしくお願いしますね。 」拍手の音が音楽室に響く。


「それと、部長と副部長の紹介と係の紹介です。みなさんお願いします。」


『はい!!』


先生の呼び掛けで数人の先輩が前に出てきた。


「フルート3年部長の小柴瑠夏です。皆さんのお助けとなる部長として責任を持って頑張ります。」


👏👏👏


「3年ユーフォ副部長の木下佳織です。部長の助けをしながら、皆さんともっと距離を縮めたいです。」


👏👏👏


「3年サックス副部長の藤田花楓です。特に言うことはありません。」


👏👏👏


今日から私は自己紹介してくれた先輩と先生と活動することになるのか。不安でいっぱいだけれど、お母さんの期待に応えるためだ。頑張ろう。私は自分に言い聞かせた。


「それでは、練習を始める前に軽くこの部活の仕組みを説明しておきますね。部長、副部長お願いね。」


『はい!』


と言うと私たちの前に3人の先輩が来た。


「みなさんも知ってるかと思いますが、忘れてる人も多いと思うので、メモも書いておいてください。」先輩はそう言うと黒板に書き始めた。


「この部活の活動日は週4日。月木金土の4日です。前までは火もあったのですが、新型コロナウイルスの拡大と影響もあり、週5日から4日になりました。ただ本番前は多少活動時間も増えるのでそこはご了承ください。そして次なんですけど、普段の活動時間は主に16:00から17:00の1時間ですが、最長で18:00まで練習することも可能です。最長は2時間ですが、本番前に最長になることが多いので把握お願いします。ちなみにここの部活だけのルールなんですけど、活動時間を選択することができます。時間は練習始めて30分、1時間、2時間の中で選ぶことが出来ます。 」

吹奏楽部には初めて入るが、私のイメージはとにかく毎日練習するという感じだったが、練習日が思ったより少なくて、時間も管理されているから、練習しやすい。この部活に入ってよかったなぁ。

「次、係」

部長の小柴先輩の指示で係の担当の先輩が数人前に出てきた。

「楽譜・譜面係を担当してます。トランペット2年の夏川愛莉とトロンボーン2年松山ひかるです。主に部員に新譜を渡したり本番前は譜面を集めます。楽譜整理の時は皆さんにもお手伝いしていただくこともあります。」

「衣装係クラリネット2年の堀真尋とホルン2年の岡柚姫です。本番の衣装では個々で購入してもらい最終的にサイズがちょうどいいかの判断をするのが衣装係の仕事です。でもたまにフェスティバルの時は制作部と一緒に衣装を制作するのでとても楽しいですよ。」

「振り付け係です。ホルン3年の中島とバリサク3年の石川です。今年から新しい係として導入されて桐島先生が踊るの好きなので振り付け係を作ったそうです。」

「出し物係のトロンボーン3年の岸川とパーカスの三上です。引退式での出し物を中心に行っています。」

「係は以上です。ありがとうございます。」

ぞろぞろと係の説明を終えた先輩が席に着く。

「それで今日なんですけども、新入生が来てくれたのでみなさんでゲームをしましょう。」

部長の言葉で部員たちは大きな歓声をあげた。ちなみにゲームは絵しりとりとだるまさんが転んだという小学生のような遊びのように感じだったが、部員が楽しんでるのを見て私もほのかに笑みをこぼしていた。

ゲームが終わり部活が終わると、部員は挨拶をして元気に帰っていった。

「ねぇねぇ、我妻さんで合ってる?」

私が帰る準備をしていると背後から突然声をかけられた。

「エ、ア、ハイ、ダイジョウブデス」

「あはは、ロボットみたいな喋り方になってるよ。」

声を上げて笑ってる先輩に対して私はロボットという単語を聞いて俯いてしまった。

「ごめんごめん、嫌味で言った訳じゃないんだ。」

私の様子に気づいた先輩が私の頭に手を乗せながら言った。

「私ね、初対面の人とは仲良くしようと思ってるんだ。トロンボーン2年の松山ひかるだよ。よろしくね。」

先輩は私に向かってニカッと笑顔を見せた。

「あわわ、どうぞよろしくお願い致します(お願いします)我妻真由です。」

「フルートの子だよね。やったことはあるの?」

「いえ、初めてです。やろうと思ったのは私の幼じみがフルートをやっててよく演奏会を開いてたんです。その子のお母さんがフルート奏者で。私のお母さんがフルートやりなさいと言われたのがきっかけです。幼じみのお母さんが私のように美しく素敵な音を奏でて欲しいという思いで美音と名付けたそうです。」

「へぇ、すごいね。美音ちゃんか、すごく素敵な名前だね。」

「はい。」

先輩は長話ながら静かに聞いてくれていた。

「そいえば、今日一緒に帰れる?」

どうやら先輩も帰る時間が近づいているらしく肩にスクバをかけていた。ちなみに一松高校は公立高校で通学バックの指定は無いのだが、ほとんどの子はリュックではなく、肩にかけるスクバが多い。私の場合は高校から荷物が多くなるのが心配なのでリュックにした。

「帰れますけど、私電車なんです。」

「おお、偶然だね。私も電車だよ。南道高速線って名前だけで早く駅着きそうだけど、以外に人身事故とか弱いんだよね。」

「ほんとにそうです。私もこの前かなり遅刻ギリギリな時に高速線の電車が数分遅れることがあってその時は待てなくて違う線で行ったんです。堀越線で行きました。」

「分かる。遅れてたらほんとにめんどくさいよね。」

「ですね。」

気づいたら私たちは校門を出ていて駅の目の前まで来ていた。私たちが来た時間の数分後に電車が来る事だったので、ホームで先輩と電車が来るまで待つことになった。

「なんか、時間経つの早いよね。真由ちゃんは1年生だけど今後演奏会やったらすぐ2年生になっちゃう。時の流れ早すぎてびっくりだなぁ笑笑」

先輩が空を見上げながら呟いた。

「そうですね。」

私はスマホのインスタのストーリーでいいねを押しながら言った。

「明日から練習か。真由ちゃんは吹奏楽部好き?」

空を見上げていたはずの先輩が突然私の顔を見て声をかけた。

「好きではないですけど、楽しそうでいいなと思いました。」

「そっか笑まぁこれからだし明日練習頑張ろ!1年生だったらまずは30分からだね。」

先輩は私にそう言ってから静かに微笑んだ。

電車が来た頃には空はオレンジ色と水色のちょうどいい色に染まっていた。ホームにある電子時計を見ると、夕方の5時過ぎを示していた。

今日が終わるのは少し寂しいけれど、また明日から練習と思うと自然と自信が湧いてきた。

これから毎日一日一日を大切にしようと思った。

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