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フェーズ1のR視点でのお話です。
あの時、僕は彼に捨てられたんだ。
元貴とふたりなら、どこまででも行けるって信じていた。
元貴の作る音の世界は哀しいほどに居心地がよくて
夜通し二人で語り合う時間
急に思いついた曲をセッションしてみたり
どんなことでも話し合えたし
どれだけ時間を共にしても飽きることなく
ただただ二人で過ごした。
友達というにはもっと深く
でも恋人というわけじゃなく
まるで自分の半身に出会えたような
どうして元貴は俺のことがそんなに分かるの?
誰にも明け渡したことのない心の内を、
言葉をつくさなくても理解し合えた。
元貴が辛い時はただ傍に寄り添って。
孤独に震える夜も二人なら怖くなかった。
そうやって誰よりも深く繋がっていると、
信じていたんだ。
あの日までは。
「もう、無理なんだ。
このままだと損なってしまう。
消費されていつか捨てられる。
怖くて仕方がない。
息が…出来ないんだ」
真っ白な、何の感情も見えない表情で元貴が言った。
「ミセスを、休止する」