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「…一ノ瀬くんってさ、か、紙袋に入れてるラブレター…手紙って、どうするの?」
そう、蓮の隣にいた鈴宮が言った。
「…どうするか、決めてないの?」
「…いつも、入らなくなったら捨ててる」
問いかけられた蓮は面倒くさそうにボソッと答える。
「え”、」
その返答に鈴宮は体を硬直させ、キラキラと光る飴玉ような大きな瞳を溢れんばかりに見開いて蓮のことを見ていた。
「なんだよ」
「それは、失礼だよ!」
俯き、爪がくい込んでしまうほどの力で手を握り、大きなハッキリとした声で言った。
「…っ!?」
その声に蓮は驚き、先程の鈴宮と同じように体を硬直させ、目を見開いた。
「…それはっ、!…ラブレターは!好きな相手のことを想って、、一生懸命頑張って悩みながら書いていくものなんだよ!」
「…」
いつも、声を荒げないと周りの人間から言われている鈴宮が声を荒らげ蓮は少し何故なのか理解が追いつかなかった。
「…一ノ瀬くんは、書いたことないの…?」
あるわけないだろ…だって俺は……
人を好きになったことがない。
「…俺は、…おれは…っ」
「…い、一ノ瀬くんっ、…大丈夫?、嫌なこと、聞いちゃったかな……」
「いや、…いい、」
そう言う蓮は少し苦しそうな顔から、いつもの無表情に戻っていた。
「…蓮くん、僕になんか聞きたいことある?」
そう、先程の話がなかったかのように穏やかに笑って蓮に聞いてきた。
聞きたいこと、か…
「…お前は、なんでいつも笑ってるんだ?」
「へぁっ!?」
蓮がそう言うと、鈴宮は少し間抜けな声を出し、またもや大きな瞳を見開いた。
「…なんで笑ってるって、…」
そう、少し呆れ気味に鈴宮は言った。
「…たしかに、なんでなんだろうね。」
だか、その後に少し遠い目をしながら言った。
いつもの人懐っこい笑顔が消え、虚ろな目をしていた。
「まぁ、好きな人にわらってほしいからかな…僕が笑ったら、相手も笑ってくれるかなー?って思ってるから…だから笑う。」
鈴宮はそう言うと、また穏やかに笑っていた。
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