テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
2,134
1,040
411
静まりかえった夜に
響くクリック音
彼はパソコンを起動していた
パソコンの画面には
作曲アプリが開いている
彼はただ無心に
曲を作っていた
曲の数が増えることはない
1曲だけ
その1曲を
変えていく
少しずつ いい方向へ
日付が変わった頃、
彼はヘッドホンを外した
パソコンの電源を落とし、
フラフラの足取りで
ベットへ向かう
布団に入ると同時に
彼は深い眠りについた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
やぁ、
久しぶりだね
まだ物語は続くさ
ここまでの違和感
君は気づいたかい?
今まで、
彼自身、過去を振り返ったことがないんだよ
「この前」とか「先週の」とかね
私が言ったことはもしかしたらあると思うよ?
でも、
彼は一度も使ったことがないんだ
これは彼の物語だからね
彼が使っていなかったら、思わなかったら
私だって使わないよ
あとは、
彼、
いつも足取りが悪いよね?
最小限しか入ってないはずのカバン
それすらも彼には重く感じてるんだ
さぁ、
彼は今までに
食事をとったことはあったかい?
ないだろう
学校のカバンには定期が入っていたね?
つまり、電車かバス通学
そうすると
私立に通っているよね?
基本的には給食ではなく、
お弁当のはずだけど
彼の持ち物には入っていないね?
彼の家庭環境も気になるし、
毎朝早起きして読んでいる
あの本
彼のことが書かれているよね
あとは、赤
赤が彼の名前を呼びたびに言葉が詰まっている
時々見せる苦しそうな顔
別れた後に言った
彼の呼び方
不明な点ばかりだね
大丈夫さ
少しずつ見えてくる
ーーーーーーUnknown points
コメント
1件
ああ、第19話──この話、すごく好きだな。深夜の作曲シーンの静けさから、あの「やぁ」で突然視点が切り替わる感じ、ゾクっとしたよ。しかも「彼は過去形を使ったことがない」「カバンすら重そう」「食事をとった描写がない」って…読み手の違和感をここでちゃんと言語化してくれるんだね。そして**赤**って呼ばれるキャラ──彼/彼女が名前を呼ぶたびに詰まるのは、何かを知ってて言い淀んでるのかな。まだまだ「不明な点」だらけだけど、少しずつ見えてくるのが楽しみだ。翡翠さんの構成、本当に上手い。