テラーノベル
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朝早くに家を出た戸倉兄妹と私は、10時半に早川さんのオフィスへ集合した。
そして二人に見守られながら、自宅の売買契約を無事に交わす。
「これで……またひとつ軽くなった」
私が思わず言った言葉に、早川さんと永人さんが大きく頷く。
コンコンコン……
「失礼します。一ノ瀬武夫様がお見えになりましたが……」
「えっ、まだ10時40分だね」
いつもの受付さんの声に、永美がスマホを見て呟く。
「会議室で待たせてください。11時になれば、こちらから移動します」
「承知いたしました。あの…弁護士とお二人でお見えです」
「弁護士ねぇ…一緒に待たせて構わない」
「はい」
早川さんの指示を受けて、受付さんが出て行くと
「おそらく、寄付についての話を菊ちゃんが来る前にしたいのだろうね」
と、永人さんが言う。
「でしょうね。菊は寄付していないと、俺に説明する筋書きを考えてきたのでしょう」
コンコンコン……
「失礼します…何度もお邪魔してすみません……」
「木野山か?」
「はい。こちらも弁護士と一緒に……」
「三人で?」
「はい」
受付さんの声に私たちは顔を見合わせる。
「先に会わせるのは、僕たちのいないところで何らかの話をされるので避けた方が無難ですね」
「今日までに話をして、揉めて、弁護士っていう筋書きも考えられるけど」
「戸倉さんの言うことも、菊の言うこともあり得るな。三人は受付前で待たせてください。こちらが会議室へ移動するのと同時に案内をしてください。内線を入れます」
「承知いたしました」
受付さんはトーンを変えることなく出て行く。
「弁護士が必要なことだという認識はあるってことかな?おにい、大丈夫?」
「どういう意味?僕は菊ちゃんについてるんだから、一番簡単な立場だよ」
コメント
5件

おじさんおばさんは、依頼人は嘘をつく系の人かな。

永人さんサラッと頼もしい‼️菊ちゃんをよろしくお願いします。

相手の弁護士さん達は事実を確認しているのかな⁉️