テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
冷蔵庫からタッパーを取り出し、蓋を開ける。 中に入っているのは…チョコだ。
バレンタインの時に多めに買ってしまったせいで余っていたチョコ。溶かして先週の土曜日に作ったはずだ。もう1週間が経とうとしているこのチョコ。本当はもっと数が少なくなるはずだった。
友達にあげようとした。ただ、その友達…彼は私の家を知らないので、私が案内するつもりだった。
そう、うまくはいかない。
彼は彼の友達に連れ回され、結局渡さずじまい。バレンタインの時と同じ袋に入れられたチョコは、またタッパーの中へと戻ってきた。
こう見ると、やっぱり元々は家でただ食べる用に作っただけあって、少し不格好だ。ただ、前回とあまり変わらないような気がしなくもない。
ホワイトを一つ、口に入れる。これは覚えている。彼に渡すために入れていた袋のやつ。甘ったるく、今の私の気持ちにはあまり似つかわしくない。が、妙な安心感もある。
少々気持ち悪くなりながら、ミルクも口に入れる。相変わらず甘ったるい。1週間も経っているせいか、味が落ちていて、少々不味い気もする。ただ、作った私の責任だ。食べなくてはならないだろう。
タッパーの蓋を閉め、机に向かう。私にはやらなければならない勉強があるのだ。今日は理科をやろうか、なんて考えていたのに、教室へ忘れてきてしまったようだ。仕方なく数学を手に取り、進める。
授業でやったところから遥かに遅れているドリルを解く。私がこんなに怠け者でなければ、今頃授業と同スピードで進めていられるのだろうけれど、あいにく私は裏表が激しいタイプなのか、家では表では想像もできないほどの怠け具合だ。
作図の問題が出てくる。道具はある。なぜ、こういうものだけ忘れないのか。
1人でいれば、自責の念に駆られてなお、動けない。そんな自分が憎い。
表ではいい顔をしようとしている。いや、できているはず。ただ、それが悪い『クセ』となり、困っている人がいれば、手を貸さずにはいられなくなってしまった。いつしかそれは私の『性格』となってしまった。
勇気がない私は、全てに手を貸し、助けることはできない。ただ、みんなは助けないのだ。みんなが自分のことで精一杯なのかもしれないが、私にはそうは見えない。へらへらと笑い、揶揄い、勉強などまともにせず、のうのうと生きている。そんな風に見えてしまう。
みんなの視野は案外狭いのか、私が気付いたことは、大抵みんなは気付かないものだ。そんな些細な、どうでもいいこと。ただ、私がやらなければ、誰もやらない。やろうとしない。声をかけても動くか動かないかはギャンブルに近しい。ならば、こちらが声をかけるメリットは特にない。
基本人間なんてものは自己中心的に動く。自分の利益を得たいのなら、他人すらも利用すればいいものを。みんなは自分が楽しければ良いように動く。未だ幼い脳では快楽に逆らえないのもまた事実。家での私はまさしくこれかもしれない。なぜみんな家のように過ごすのか。表と裏なんてない人がほとんどなのだろうか。
ただ、彼はなんとなく面白い。そこに存在するだけで面白い。人が自然と寄ってくるような、自称コミュ障で陰キャの人気者。私には恋人が既にいるので関係はないが、なんとなく彼を狙っている女子がいる雰囲気もある。ならば近くにいるべきではないかと、なんとなく距離を感じる。
でも、私は彼を信頼している。そばにいてくれれば安心するのもまた事実。
ただ、私は、
誰も
信頼できない。
頼れないのだ。
そんな自分が憎くて
嫌いだ。
私はいつからこうなってしまったのだろう。
ごめんなさい。こんな私になるはずはなかったのに。
ごめんなさい。
また彼も、『ともだち』でしかないのだ。今、心から友達だと言えるのは間違いなく彼だ。
ただ、まだ、恐怖は消えない。完全に信頼しているわけではない。
私は虐められているわけでも、障害があるわけでもない。けど、苦しい。
私が今信頼できるのは誰だろうか。