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私の子供のころは実に普遍的な生活だった。ただ、その日常はすぐに壊れることになった。
事件が起こったのは小学4年生の頃。ちょうど休み時間の時だった。
どんなクラスに一人はいるような、いつも調子に乗っている男子が冗談半分で私の悪口を言って来た。
本人はネタとしてやっていたようだったが、一般的な女の子ならば泣きだすようなことだったと思う。
しかし私はなんの行動も起こさなかった。涙一滴どころか、眉一つ動かなかったのだ。
その無抵抗さが仇になり、私はいいカモとして扱われるようになった。所謂、いじめが始まったのだ。
それはとどまることを知らず、約1年の間続いた。本来ならば、卒業まで、いや、中学校でも続くことになっていただろう。
終わるきっかけになったのは小学5年生の時だった。
男子に笑いながら蹴られつつ、いつものように蹴飛ばされた机を無表情で片付けていた時だった。
「やめろよ。」というどこかで聞いたことのある声で横やりが入った。
声の主は、あのとき、悪口を言ってきたあの男子だった。
「いまさら何を言っているの?こんなことになったのも全部あなたのせいじゃない。」
そう心の中で毒づきながら、彼の方をじっと睨んだ。彼は一瞬怯えた表情をしたが、次の瞬間には彼の謝罪の声が響いた。「なんだよ、邪魔すんじゃねぇよ。」といった男子を彼は思いっきり殴った。
私は何もなかったかのように自分の作業を再開した。
彼も自分の席の方へ戻っていったので、単なる自己アピールか何かかと思っていた。
しかしそれだけでは終わらなかった。彼は毎日一回謝りに来た。
また、私をいじめようとする人がいれば腕っぷしで黙らせていった。
いったい何がしたいのか当時の私には一切理解ができなかった。
しかし彼が誤るのを始めてから八日目には私が折れて彼を許していた。
「いったいなんであの時に泣かなかったんだ?」と彼は聞いてきた。
デリカシーの無い人だと思いつつ、嫌だったが涙が出てこなかった、今ではほとんどの感情がない、と答えた。
そうか、とだけ彼は言った。その後、ずっと無表情な私を不審に思った母親は私を病院に連れて行った。
医者によると、「精神的ショックによる神経疾患だろう。けれども、詳しいことは分からない。」とのことだった。
何を思ったのか私はそのことを彼に伝えると、「こうなったの自分のせいだ。何か手伝えることはないか。」と聞かれた。
その時は分からない、と答えたが、彼は毎日のように自分なりに考えた方法を実践してきた。
どれも子供のよくする遊びに似たようなもので、単純に彼は私と遊びたかっただけなのかもしれないな、と今は思う。
そうして、私と彼はよく話すような仲になり、一緒にいることが多くなった。
実際彼もクラスでは浮いていて、お互いに独りが多い存在だったので、この関係は都合がよかった。
それに結果的に笑顔だけは取り戻すことができたのだから。