テラーノベル
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崩壊の始まりは高野と綾華の脱退だった。
先のことを話していると2人からの言葉とは裏腹に嘘の色が見えて、でも俺はお気楽に不安からかな言ってるのかな、なんて考えていた。けど辞めたい···と言われた時に全てが繋がってそれを見過ごしていた俺はなんて馬鹿なんだろうと自分が嫌になった。
嘘に気づいていたのに2人に嘘をつかせて、なのにその意味なんてなんにもわかってなくて人を気遣う色の嘘を吐かせて···俺は、最低だ。
膝を抱えて暗い部屋で引き籠っていた俺にりょうちゃんと若井は毎日会いに来てくれた。
「最悪だ···もう無理」
「元貴!そんなことない、俺とりょうちゃんがいるから···まだまだ元貴の歌が聞きたいよ···」
「そうだよ、ほらご飯食べよう?元気でないよ···」
若井とりょうちゃんの言葉には嘘が見えない。毎日おんなじようなやり取りをしている僕をうっとおしがる様子も見せずに優しく話しかけて、毎日じゃないけど出来る限りご飯を一緒に食べて泊まっていってくれたりした。
その時、2人は関係を深めるためにも一緒に暮らしだしたところだった。
だから3人でお風呂も泊まるのもご飯を作るのも2人分も一緒だと笑ってくれた。
優しい2人。
なのにグズグズと去っていった2人を引きずる僕。
そんな自分は最低だと思っているのに動き出せない。
「元貴、フルーツとかプリンとか買ってこようか?」
「わ、いいねぇ。僕も食べたいー」
「りょうちゃんはプリンでしょ?元貴は?何がいい?」
「······みかん」
「わかった!ちょっと行ってくる」
バタン、とドアが閉まりよく考えたら久しぶりにりょうちゃんと2人きりで、若井の前では恥ずかしくて出来なかったことをお願いする。
「りょうちゃん···抱きしめて」
「うん、ほらぎゅう〜」
りょうちゃんは俺の甘えをいつだって受け入れて飲み込んでくれる。
若井には照れくさくて出来ないこともりょうちゃんには素直に出来た。
それは···りょうちゃんに恋心を抱いているから素直に甘えたくなるのだと、俺はずっと前から気づいていた。
「···りょうちゃんは、居なくならない?」
「うん、いなくならない。元貴といる」
「俺のこと嫌いにならない?」
「嫌いにならないよ、好きだよ。若井もそう思ってるよ」
···嘘じゃない。
彼の言葉は全て本当だ。
けどその“好き”はメンバーとして友人としてだよね?
りょうちゃんの服の柔軟剤の匂いも、シャンプーの匂いも若井と一緒。
そして前より仲の良い2人にもやもやと黒い気持ちが広がる。
「若井との同居はどう?」
「んー、意外とうまくいってる、と思う・・・たぶん僕のせいで色々困らせてると思うけど怒ったりとかなくて。優しい思いやりのある人だってちゃんと知ったっていうか・・・」
「そっか、良かったね」
聞いておいて言葉を遮るように話しを終わらせる。
胸がじりじりと痛い。
こんなにも良くしてくれている若井に嫉妬するのを感じた。
こんな時に。
いや、こんな時だからこそりょうちゃんを取られたようで悔しかった。
コメント
12件
弱ってる時ってなんでも悪い方に考えちゃうよね。分かるわぁ⋯⋯
涼ちゃんのオーラって綺麗なんだろうなぁ🫶