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やっとモチベが出てきました
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デナリー「──おい、なんだこれは…」峠を超えた時、デナリーがそう漏らした。
ショゴス乗越を越えた頃、山はその姿を大きく変える、はずだった。
標高6000mを越えた先には、雪のない漆黒の山脈が広がっているというのが、航空写真の分析から明らかになっていた、”狂気山脈”の大きな特徴の一つであったはずだ。
しかし、視界の先に広がっていたのは、雪を纏った白き峰々であった。
所々に露出した岩肌の黒が、まるで白い図面に筆で描かれた模様のようだと感じた。
…よく良く考えれば。
本来は標高が高い場所こそ、白い峰となる方が自然の道理である。
つまり、今目の前に広がっている光景は、何ら不思議では無いはずだ。
しかし、ショゴス谷の崩落といい、事前情報からのあまりの差異と、奇妙な既視感との齟齬により、君たちの精神は、ひどく掻き乱されるのであった。
そしてワンは山にショックを受けたのか、はたまた己の絶対的な自信に傷がついたのか、
その何かを取り戻すために、ワンは何も告げずに1人で突き進み始める。
更に4人の横では、パニックになったサビタがその場で走り回り、慌ただしい状態になる。
サビタ「あああ…、あああぁぁ…。」
直生「サビタさん、元気ですね…」
白栖「いや絶対そういうのじゃないでしょ」
デナリー「おいサビタ大丈夫か!!」
玲亜「…?」(あれワンさんが居ない…?)
そのような状況でデナリーはサビタをなだめつつ、各々でキャンプの設営を始める。
デナリー「サビタ、大丈夫か?」
サビタ「すみません…少し取り乱しちゃって…」
直生「全くですよ…俺が代わりに…サビタさんの分まで働きました」
玲亜「直生くんそこまでやってなかったでしょ」
白栖「なんかしれっとサボってましたよね」
直生「…」
玲亜「こら黙らない!!」
白栖「というか…ワンさんはどこいったのでしょうか…」
玲亜「そうそう!サビタちゃんがパニックになってた時にはもう居なかったんだよね」
デナリー「…山は自己責任だ」
デナリー「私たちは私たちのペースで登るぞ」
白栖「今日は疲れましたし、ご飯を食べて早めに寝ましょう…」
玲亜「ほら直生くん!準備するよ!!」
直生「はいはいはい…」
玲亜「はいが多すぎる!!」
白栖「…」(あの人の目的ってなんなんだ…。)
白栖「…山を登る理由…か…。」
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夜、全員は夢を見る。
巨大な岩壁を、君はたった一人で、命綱もなしに登っている。
命懸けのフリーソロ。
その岩壁はあまりにも高く、その色はヌラヌラと玉虫色に輝く漆黒で、そして岩は非常に脆かった。
一瞬、足を置いていた岩が剥がれ、下半身が宙に浮く。
辛うじて腕の保持力で堪えたものの、墜落の恐怖から、否応なく君は崖の下の奈落を意識してしまう。
直生、白栖、サビタはこのような夢の続きを見る
崖の下には、暗闇だけが広がっていた。下には何も見えない。
恐怖に体がすくんだ刹那、君の手が掴んでいた岩が剥がれる。
一瞬にも永遠にも思える自由落下の末、
君の身体は、水面に叩きつけられた。
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玲亜、デナリーは、このような夢の続きを見ます。
崖の下には、無数のクライマーたちの無残な残骸が積み重なっていた。
谷底に転がる遺体たちの色とりどりのウェアが、君に『虹の谷』という言葉を思い起こさせた。
その瞬間、君の手が掴んでいた岩が剥がれる。
その奈落へと堕ちゆく最中、自分も虹の谷の一部になるんだと、君は理解した。
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