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「貴方達が居ると云う事は、彼も·····長月も生きているのかしら?」
「いや。奴は多分死んだぜ」
「そう、ですか。彼にはもう少し働いて頂きたかった故、とても残念です。それにしても、一人も巻き添えに出来ないなんて無駄死ににも程がある。人選を誤ったかしら?」
「·····貴方、何なんですか。其の云い分、まるで貴方が彼を動かしていたみたい。首領は長月では無いの?」
「いいえ、確かに彼は首領。けれど、必ずしも首領が命令を出す訳では御座いませんのよ?」
詰り、裏の支配者と云う事か。
結局、長月と云う男は使われていたに過ぎなかった。あの部屋に行ったのは無駄な事だったようだ。死ななかったから善かったものの、まんまと彼女に嵌められた。
「と云う事は·····」
「手前を倒せば、終わりってことだな」
彼女が消えれば、司令塔も消える。
私達は、夕稀から目を離さずに云った。
「俺があいつの気を引く」
「其の間に私が仕留めます」
私の隣で風が吹いた。
先刻まで隣に居た中也さんは、もう居なかった。
「流石中也さん・・・」
あの疾さなら、彼女を錯乱させるには十分だろう。
と、誰もが思うだろうし、実際そうなった。だが其れは、本当に一瞬の事でしかなかった。
「おい、今のうちに·····っ!?」
「中也さん!?」
夕稀の後方で、何かが飛んでいった。見れば、中也さんが壁に打ち付けられていた。
「組織を動かしている私が、直ぐに倒せるような弱い者だとでも?」
「!!」
彼女の周りには、灰色がかった人が五人。皆、先刻までは居なかった人達だ。
「うふふ。私の能力は、過去二週間の間に殺した人間を召喚する事が出来ますの。不意を突くには、とても良い異能でしょう?」
真坂、異能者だったなんて。然も、中也さんを負傷させる程の人間を召喚出来るとは。此の人は一体、如何程の人達を殺してきたのだろう。それも、二週間と云う、決して長くはない期間の間に。
「ぐっ·····」
「っ、中也さん!大丈夫ですか!?ぼろぼろじゃないですか!」
中也さんは、壁に打ち付けられていたと云うより、減り込んでいたと云う方が正しい状態だった。相当の打撃を受けたに違いない。
「手前に心配される程、じゃねぇよ·····」
そう云って立ち上がろうとしたが、激痛らしい。呻き声をあげて、再び壁へと倒れこんだ。