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“セックスしないと出られない部屋”
デカデカとプリントアウトされた紙があった。
最初にそれを見た時、2人はあまりにも非現実的だけれども既視感のあるそれに思わず吹き出した。
「ええ、同人誌でしか見たことないよこんなの」
「いたずらにしては手が込みすぎてんだろ」
数分前、2人はこの部屋のダブルベッドの上で目を覚ました。
宇佐美の寝ていた枕元にその紙が折り畳まれて置かれてあった。
2人とも何も持っていない。この部屋に来た覚えもない。
訪れた覚えはないものの、既視感ありまくりの部屋。
簡素なビジネスホテルの一室といった具合だが、鍵のかかったドアの他にトイレとバスルームに通じるドアがあった。窓はどこにもない。
トイレと風呂分かれてるならホテルではないかも、と佐伯。
備え付けのテーブルとイスの配置とベットの位置、部屋の雰囲気だけはどう見てもビジネスホテルなんだけどな、と宇佐美。
2人は最初、鍵のかかったドアの破壊を試みた。
キリンちゃんは居ないし、変身デバイスは持っていなかったものの、普段はヒーローをやってる成人男性だ。ドアを破るくらい訳ない。
加えて言うなればパワー担当の宇佐美がいるからなんとかなるだろう。佐伯はもとより宇佐美自身そう考えていた。
意気揚々とドアに蹴りやらパンチやら体当たりやら食らわせたが、びくともしない上に傷一つつかない。
「どうする?テツももうちょいやってみる?」
「リト君の怪力で無理なら無理だよ」
次に2人は部屋の中を隅々まで調べることにした。
壁や床に何か仕掛けはないかと探るが何もない。
備え付けの小さなテーブルの上には媚薬と書かれた小瓶が一つとセックスのやり方と書かれた紙が数枚。
やり方については前準備から最後の処理の仕方までご丁寧に、いっそ憎たらしいと思えるくらいに分かりやすく図付きで解説と説明があった。
それぞれ見終わった後、何だか目が合わせられなくなって、冗談も言い合わなくなった。
備え付けのイスにどかっと腰をかける宇佐美。それを見てベッドの端に座る佐伯。
肩を落としながら言いづらそうに佐伯が宇佐美の背に向かって口を開いた。
「マジでさ、その………セ……や、やるしかないのかな」
「……んー。なのかな」