俺とリト君は現在進行系の恋人同士。仲の良い友人達には報告済みでちょいちょい茶化されたりもする。
世間一般の基準がどのくらいかは分からないけれども仲良しの恋人同士だと思う。
話の内容は男子高校生みたいだとよく言われるけれども、2人でいる時ちゃんと好意を伝え合うし、手を繋いで歩いたりもする。
今だに手を繋いで歩くのに慣れなくて手汗をかいてしまってリト君によく笑われてしまう。
嫌かなって気にして聞いたりしたけれども全然気にしないよって言ってリト君は目を細めた。リト君が手を離すことはなかった。
スキンシップを積極的に取りに行くのは今だに慣れないし、緊張もするけれどハグはなんだかしやすくてよくする。
最初は安心感があるからリト君にしてもらうのがお気に入りだったけれども今はリト君を甘やかすみたいにして抱き締めるほうが好き。
俺は仕事終わりにぎゅっとするのが好きで、リト君は行ってきますの時にハグをするのが好き。
キスは………。額や頬にはすることはある。唇へはお互いに恥ずかしくてあんまりしない。してもせいぜい触れる程度。
初めてしたときは慣れてなさすぎてお互いの歯がぶつかったりもした。あんまりにもぎこちないから2人して笑っちゃったんだっけ。
その先は、恋愛のABCでいうところのCは。
「ねぇ、テツ。俺らは俺らなりに付き合おうよ」
世間一般の基準は知らない。
それの頻度も時間も出会ってどのくらいでするのか、どのくらいで満たされるかも知らない。
だけど耳に入ってくるそういう話は恋人同士なら当たり前にそういうことしているとか。そういう前提の話が多かった。
自分はというと、そういうことはしなくても平気なタイプだった。
手を繋げば握り返してくれるし、背中に手を回せば決まって頭を撫でてくれるし、何か話せば笑いかけてくれるから充分過ぎるくらいに満たされていた。
でも彼は?
そう思い至ってからは随分不安になった。
隠そうと思っても顔に出るのが俺の悪いところ。彼に何悩んでるの?とついに聞かれてしまった。
「あのさ……リト君はその、し、……したいとか思ってない?」
「え?」
「なんかさ。俺はすごい満たされてんのね。コミュニケーションとかハグとかでね。リト君もそうだと思う。思うけど、もっとさ、満たされたいと思ってるんじゃないかなって……」
「……したいってそういうね」
「うん」
「確かにさ、そういう欲が全く無い訳じゃないよ。だけど、したかったらしたいってちゃんと言うよ」
「そっか」
「不安だったの?」
「……うん……我慢させてるんじゃないかなって」
「もー、イッテツ君は気遣い屋なんだから〜」
茶化しながらも俺らは俺らなりに、と彼は言ってくれた。
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