辺りには白く荒廃した、かつて都市だったであろう様々なものが遺されている 国、国名アルネリア。 ここにはボロボロなり、崩落している白い壁や家、協会、噴水、アルネリア国の象徴である石像など……。
見るも無惨な姿で時が止まっている。
このアルネリア国にはかつては観光客や旅人が集う大都市のある、珍しい国だった。
それだけではなく、アルネリア国の者は稀に魔法などの特別な力を得る者が存在していた。
だが、その頃のアルネリア国は今はもう無い。あるのは酷く崩落し、風が靡く音だけが響く静寂の国。もうあの頃の賑やかさや明るさはなく、遺されたのは白く滅んだ国。
そして、アルネリア国に住む者は一人を除いて誰も居ない。だがしかし、そんな中でもアルネリア国に留まり続け、人々のお墓や街をできる限り再生させ、黙々と生きている人、”シンシア”は、誰よりもこのアルネリア国を想っていて、誰よりもこのアルネリア国を嫌う人物であった……。
『シンシアくーん!こっち手伝ってほしいのら〜!』アルネリア国には生き残りなどは虫ぐらいなのだが、何故か生き残っている変な生き物、リリル。
ウサギのような耳をしており、身体は丸々としている。かつては森にでも住んでいた野生動物なのだろうか?
「……」
リリルを押し潰している瓦礫を浮かせ、横に落とす。無言で手馴れたように魔法を使っている。綺麗な長々とした灰色の髪をしており、紫の目をしているこの少年がシンシアである。
彼は遠い昔、まだ国は滅ぶ影もなく、人で賑わい、様々な国の人が往来し、人々が幸せだった頃。
急な世界戦争が始まった時に生まれてしまった。その頃のアルネリア国はいかに魔法で戦力を付けるかが重視されていた。その時に開発されたのが”不死の呪い”。この呪いにかけられた者はその名の通り不死なる。そして老いることもない、言ってしまえば不老不死。だが、その魔法は不安定でいずれも成功することない……はずだった。
けれど、シンシアは唯一その魔法にかかってしまった。
そのため、12歳で成長が止まり、空腹になることも睡眠が必要なこともない。ただこのアルネリア国で生き続けている……。
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