「うぅぅぅー……」
私は遂に声をあげて泣いてしまった。
まるで子どもみたいに。
小さい頃から、なんかあったらすぐ泣いてしまう癖は、直したいのになかなか抜けない。
「なんで泣いてるんですか?」
るぅ💛さんはそう言いながら、私の頭を優しく撫でた。
「…………わかんない。」
「んー、どーしたら良いですかねー。」
「ごっ、ごめんなさ、」
「いーですよ、大丈夫です。」
「おいで」と言ってるぅ💛さんは両手を軽く広げた。
私は何も考えずに、大人しくるぅ💛さんに抱かれた。
「じゃあ、白川さんにこれをあげちゃいます。」
そう言ってるぅ💛さんは、私の手に何かを持たせた。
2枚の紙切れで、内容を見ると、そこには、
「ゆうえんち……?」
「そのチケットです。一緒に行きましょう。」
驚いて声が出ない。それどころか涙が引っ込んでしまった。
「白川さん、もう僕と会えないって思ってたでしょ。僕はまだ会うつもりだったのに。」
「え……。な、んで…。」
「僕は、白川さんと一緒に居ると、楽しいんです。
音楽の話も、他愛もない話も、もっとしたいんです。ただそれだけですよ。」
「………っでも、るぅ💛さんと一緒にいると、迷惑かかっちゃうし!他のリスナーさんに悪いし……。」
「……白川さんは、今も僕を『推し』として見てるんですか。」
その言葉にドキッとする。
最初は、そう見てた。いや見ないように心がけていたが。
「僕は、一人の人間です。今も、『るぅ💛』の時も。
それを一番理解してるのは白川さんでしょ。」
そうだ。私は、目の前にいるこの人を「るぅ💛くん」としてじゃない。
「るぅ💛さん」として、
この人を好きになったんだ。
なんで、今更気づいたんだろう。
いや、ずっとわかっていたんだ。
でも、それは駄目だって言い聞かせて、自分の気持ちに嘘をついたんだ。
気づきたくなかった。
こんな、無謀で、叶わない恋心に。
絶対に、実らないのに。
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